ニャンともわんダブル 1
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Sランク任務を2つ終わらせて、ふらふらになって帰って来た。報告書を提出すれば、

「trick or treat !」

と叫ばれ、問答無用と術が発動された。
ボフンと白煙をあげて現れたのは、14.5才くらいのカカシ。頭に猫耳らしきものとふさふさの尻尾をくっ付けて。


「にゃっ、にゃに!?」


一番驚いたのは当のカカシ本人であるが、更に言葉までおかしくなって軽くパニクッている。
それを見て、周りに居る者達は可愛いと悶えまくっているのだ。その中で一番喜んでいるのは、ナルトとサクラであろう。二人は身悶えしながらも、カカシから目を離せなかった。


(か…可愛いってばよー)
(なんて可愛いのっ!)


暫く茫然自失していたカカシだが、何故こんな事になったか説明を求めるように頬を染めているナルトに目を向けた。


「ハロウィンだってばよ」


と、術の巻物を見せる。


「…だからって、にゃんで…」


普通に話そうとしても、猫語になってしまう。カカシは口を押さえ、頬を染めた。


「おっ、何だ?」


ノックと共に入って来たのは奈良シカク。彼はカカシを見た途端、笑い出した。


「カカシか? 懐かしい姿だな!」
「笑わにゃいでくださいよ…。オレだって、好きでこんにゃ姿してる訳じゃ…」
「言葉もあの時のまんまか!」


そう言って更にゲラゲラ笑う。


「……帰る…」


がっくりと肩を落とし、ふらふらと窓辺に寄り出て行こうとするカカシ。


「どこに行くってばよ」


制止するナルトを殺気と共にギロリと睨み、ナルトが怯んだ隙に出て行ってしまった。


「カカシの奴、ふらふらじゃねぇか。チャクラ切れか?」


カカシの覚束ない足取りを見送ってシカクが呟く。


「ギリギリかもしれませんね。解術もしないなんて…」
「いや、あのミナトの術はトラップが仕掛けてあってな。解術すると猫になっちまうんだ」
「猫?」
「ああ。以前カカシとオビトっていう奴がミナトに遊ばれてな。オビトが解術した途端、猫になっちまったんだ」
「ひでぇ…」
「カカシに術を掛けた奴の言うセリフか?」
「だって、オレ知らなかったし。あ、じゃあ、どうすればいいってば?」
「心配しなくても、24時間経てば元に戻る」
「そっか。良かった」
「安心するのはまだ早いぞ。チャクラ切れのカカシが、どこでぶっ倒れてるか分からねぇからな。やばい奴に捕まる前に見つけねぇと」
「そうだってばよ!」


カカシは良くも悪くも狙われている。カカシに恋をする者もいれば、命を狙う者もいる。里の者で命を狙う者はいないであろうが、ビンゴブックに名を連ねるのは伊達じゃないのだ。
ナルトは慌てて飛び出して行く。
カカシを見つけるのはいつも容易ではない。内心かなり焦りながら探せば、カカシはけっこう早く見つける事が出来た。
火影邸近くの大木の大枝にぐったりと寄り掛かっていたのだ。


「大丈夫か、カカシ先生?」


カカシからの返事はなかった。ただ、ジロリと睨まれたが。


「ごめんってばよ…。帰ろう、先生」


無言のカカシを抱き上げる。いつものカカシより軽いと感じた。それに細い。
今だって細くはあるが、少年のカカシは華奢にすら感じる。こんな細い身体で第一線で頑張ってきたのかと、ナルトは何となくやるせなさを感じた。
部屋に着いて飯食えるかと問えば、力なく首を振る。
ならば冷えた身体を温めようと風呂へ向かえば僅かばかりの抵抗にあったが、チャクラ切れのせいか大した力ではなかった。それにもナルトは罪悪感を感じる。ごめんと繰り返しながらカカシの身体を洗っていく。
耳や尻尾を洗えば、触るにゃと殴られる。が、力ないそれはポコンといった感じで、痛みはまったくと言っていいほどなかった。
それどころか、猫語が可愛いと密かに身悶えた。


「…ったく、人が抵抗出来にゃいのをいいことに…」
「だから、ごめんってばよ。先生チャクラ切れだろ?もう大人しく寝るってばよ」
「お前と一緒は嫌にゃ」
「何でだってばよ? オレは先生と一緒がいいってば。何もしないから、な?な?」


けれど、カカシは首を横に振る。まともに歩けないカカシを強引に抱きベッドまで連れて来ると、カカシは布団にくるまってしまった。


「カカシ先生〜。オレも入れてってば。一緒に寝ようってばよ〜」
「五月蝿い」
「カカシ先生〜」


ナルトは情けない声を上げたが、カカシは無視した。諦めきれないナルトは、布団の上からカカシを抱きしめる。


「せんせー、寒いってばよ〜。お願いだから入れてってばよ〜」


それでもカカシは布団に籠城(?)したまま。
仕方なくナルトは毛布にくるまりカカシの隣に寝転んだ。カカシ先生、ごめんってばよ…と何度も謝りながら。








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