birthdayの頂き物
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報告書を出し終え、執務室を出たところでばったりとナルトと出会った。


「わ、カカシ先生。久しぶり!」
「よお、任務帰りか?」
「そ。報告書出せば終わり。先生、この後暇ならどう?」


と、ナルトはおちょこを傾ける仕草をした。


「いいよ」
「んじゃ、後でオレん家来てよ。待ってっから」
「わかった」


そう言ってすれ違いざま小声で囁いた。


「そん時はオレ、先生を抱くから。その覚悟で来て」


え、と振り向いた時は「待ってっから!」と笑顔で執務室の中へ消えて行った。

ナルトに強姦されるように抱かれ、その後付き合ってくれと強引に付き合わされる事になって半年が経つ。
その間カカシが許したのはキスまで。抱く事は許してはこなかった。
それが今夜「抱く」と言う。
カカシは、そろそろ年貢の納め時なのかと思う。
「覚悟、決めなきゃかな…」と小さく呟いて家路へと着いた。





その夜遅く、間もなく日付も変わろうかという時間になってナルトがカカシの家を訪れた。


「先生、いるんだろ?開けてくれってばよ」


ドンドンとドアを叩くも中から返事はない。確かに居る気配はするのに、中で動く気配がない。
不審に思ってドアノブに手を掛けると、鍵は掛かっていなかった。


「せんせー、何で来ねーの?そんなにオレに抱かれるの嫌なのかよ」


そう文句を言いながらカカシの気配のする寝室へ入ってみれば、カカシは床に丸くなっていた。


「ど、どうしたんだっては?」
「…ナルト…ごめん。頭痛くて…」
「え? うわ、熱があんじゃん!ベッドで寝てなきゃダメだろ」
「…床の方が冷たくて、気持ちいいんだ…」
「そんな事言ったって、床で寝てたらよけい具合悪くなるだろ。ほら、ベッド行くってばよ」


ナルトはカカシを抱え上げ、ベッドへ寝かせた。


「薬は飲んだのか?」
「…うん…」


顔色の悪いカカシの髪を梳けば、しっとりと湿っている。汗で湿ったにしては濡れすぎてるそれは洗ったのだと思わせた。
カカシの隣に潜り込み、抱き寄せれば仄かに石鹸の香り。


「カカシ先生、具合悪いのに風呂入ったのか?」
「…ん〜、そんなに悪くなかったのよ…。だけど、そのうち悪くなってきちゃって…」
「ったく、あんま無理すんなよな…」
「ん、ごめん…」


ナルトはカカシをあやすように背中を撫でさする。しばらくすると、カカシの寝息が聞こえてきた。
少し苦しげな寝息を聞きながら、しかしナルトは幸せな気分でいた。

無理矢理抱いた後、ごねて付き合うようになって。だがカカシが許したのはキス止まり。
そして今日、抱くからと言って別れカカシが来るのをひたすら待っていた。
もしかしたらカカシは来ないかもしれない。そう覚悟もしていた。
だが──カカシは風呂(シャワーかもしれない)に入っていた。
という事は、自分に抱かれるつもりだったのではないか。自分を受け入れる覚悟をつけてくれたのではないか─とそう思えた。
そんなカカシが愛しくて堪らない。
嬉しくてならない。

ナルトはカカシの額にキスをして、万感の想いを込めて囁いた。



「愛してる、カカシ…」


先生という言葉は飲み込んでみたら、誰が聞いてる訳でもないのにやたらと恥ずかしい。
一人で顔を赤くしながら、それをごまかすようにカカシの髪に顔を埋めた。

朝目覚めたら、真っ先に言おう。


愛してる

そして、誕生日おめでとう


───と。












チュンチュンと小鳥の囀る声や、通りを歩く人々の挨拶の声に目が覚める。カカシを見遣れば、カカシはまだ眠っていた。
その安心しきったような、幾分普段より幼く見える寝顔に自然と笑みが零れる。
顔色も良くなり、熱も大分下がっている。ほっと息を吐き、カカシの髪を梳く。柔らかく冷たい銀糸が指に心地好い。
しばらく梳いているとカカシが目覚め、ゆっくりと目が開かれた。


「おはよー、カカシ先生」
「…おはよ…」


まだ眠そうなカカシにキスを降らせるナルト。瞼、頬、額、鼻そして唇へ。
あいさつのキスにしては濃厚なソレは、やがて欲情の口づけへと変わっていった。


「んっ…ナル…ト…」

「センセーが欲しい…」


「や…ダメだ」
「何で? オレ昨日センセーを抱くって言ったよな?」
「……………」
「覚悟してくれたんだろ?オレのものになってくれんだろ?」


再びの口づけ。
それはカカシを逃がさまいとするきつい口づけだった。


「ちょっ…と、待て…。あ…汗かいたから、シャワーくらい浴びて…」


ほんのりと頬を染めたカカシがナルトを見上げる。その恥ずかしそうな、それでいて少しだけ欲情を滲ませたような表情に、ナルトの中心は途端に熱を持つ。


「いいじゃん別に。どうせ汗かくんだから」
「どうせって…お前、オレは病み上がりだぞ?」
「優しくするってばよ」
「違っ…」


三度(みたび)の口づけに抗議の声は飲み込まれてしまった。
これから新たな熱に翻弄されるのだろう。
カカシの中に少しの諦めと芽生えた少しの欲情と、そして後悔と期待が入り混じる。
ナルトの激情に飲み込まれて、我を忘れてナルトに縋り付くのだろう。

以前ナルトが自分を抱いた時もそうだった。ナルトの激しさに溺れ、息も出来ないような苦しさの中、自分は心を置き去りにして流されていく、ほんの少しの恐怖に震えていた。自分の心が追いつかない。
そんなカカシを察したかのように、今日のナルトの愛撫は丁寧だった。
カカシが怖がらないように。怯えて泣く事のないように。


白い肌が色づいていく。抑えた喘ぎ、淫らに悶える四肢。欲情を孕んだ潤んだ瞳。それら全てがナルトの激情を刺激する。
縋り付くカカシが愛しい。この胸に抱きしめ閉じ込め、何者にも触れさせたくない。
この人はオレだけのものだ。誰にも渡さない。

カカシを抱きながら、それが独占欲と気づくことなく己の想いに溺れていった。



自分の想いを全てカカシの中に吐き出して、荒い息も整わぬままカカシに口づけた。
性の解放の余韻に浸るカカシには、それさえ刺激になるのか、その細い身体を震わせた。



「…お前は…こんな朝っぱらから…」
「へへ…だってしょーがないじゃん。夕べ抱けなかったし」
「だからって…」
「それに、カカシ先生だって嫌がんなかっただろ?それってOKって事だよな?」


そう言って、ニシシと笑う。


「嫌がったら、止めてくれたの?」
「いや、多分止めねぇ。つか、止められない。センセーってば、すっげぇ感じやすいんだもんな。あんな悶えるセンセー見て止められる訳がねっ、たっ〜」


ゴンッと拳がナルトの頭に落ちる。真っ赤な顔をしてカカシが睨んでいた。
そうやって睨まれても、ちっとも怖くない。それどころか、その顔が可愛いと思ってしまう。
そう思ったら、まだカカシの中に挿れたままだった自身がズクリと蠢いた。


「あっ、バカ!お前っ…中で大きくするな!」
「んな事言ったって、センセーが悪いんじゃん」
「オレのどこが…」
「そんな可愛い顔して睨むからさ。きちった」
「きちったって…あっ…動くな…」
「ムリ…」


「あ、そうだ。先生」

「…な…に…」
「誕生日、おめでとう」

「お、前…こんな時…にっ…ぁ…」


カカシの手がシーツを掴む。その手を取り、指にキスして背中に持っていった。


「そんなシーツじゃなくて、オレに縋ってろって」


そして口づけながら囁いた。


「センセーは今まで一人だったけど、これからはそうじゃねぇ。オレがいる。ずっとずっと、傍にいるから」







end.
10.09.11

















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