憧れの…/3P
僕が暗部に入隊した時、カカシ先輩は暗部の中核をなす人で、カカシ先輩より後に入った者は皆カカシ先輩に憧れていた。
だけどカカシ先輩は、人を寄せ付けない雰囲気を纏っていて、皆遠くから眺めているだけだった。
いつか一緒に任務をこなしたいと、ただそれを願っていた。
だが、それは以外と早くやってきた。
ある大名の娘が誘拐され、その奪還任務が暗部に舞い込んできたのだ。
こんな任務は通常正規部隊がするのだが、暗部で調べていた件と人物が重なり、面倒を避ける為、暗部に回ってきた。
大体そういうのは、麻薬絡みが多い。
大名が絡んでくると厄介だ。
その任務に新人のテンゾウが組み込まれた。メンバーは、ヒエンと呼ばれる男が隊長に、他、カカシとモズと呼ばれる男。そしてテンゾウだ。
ヒエンとモズはカカシより幾分暗部歴が長い。
そんな連中と任務に就くのだ。緊張しない訳がない。
指定された集合時間、集合場所に来たのは20分も前だ。
だが、時間になっても誰一人集まらないのだ。テンゾウは間違えたかと、何度も確認するが、場所も時間も間違てはいない。
これは、忍としてどうなんだ? と疑問を感じた頃、ヒエンがやってきた。少し遅れてモズが。
「お、テンゾウ、早いな」
二人は悪びれた風もなく、にこやかに言ってのけた。
「時間、過ぎてますよ?いいんですか?」
「ああ、カカシはまだ来ないし。来るまでゆっくりしてくれ」
そうなのだ。憧れていたカカシはまだ来ていない。
どうしたのだろう。
心配になっていると、「心配か?」とヒエンがニヤニヤしながら聞いてきた。
その様子から、顔に出ていたかと己を叱責する。
「気にすることないさ。カカシはいつもそうだから」
内心が表れていた訳ではないのに少し安心し、カカシのことを訪ねた。
「あの、カカシ先輩はいつも遅刻して来るんですか?」
「ああ、まあ…ね…」
歯切れの悪い答えに、何かあるのだろうか?と気になって仕方がないテンゾウ。
それから2時間待ってもカカシは現われない。
いい加減イライラしてきた時、ヒエンが腰をあげた。
「…迎えにいってくるよ」
そう言うが早いが、ドロンとその場から消えた。
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