Kiss(2013 バレンタイン)
「カカシは何か欲しいものある?」
あれはいつだったか…。
センセがオレに聞いてきた。
「別に…」
それがオレの答え。本当に特に欲しいものなんてなかったから。
「もう、カカシは本当に欲がないなあ…。じゃあ、して欲しいことは?」
「して欲しいこと?」
「そ。何かない?」
「…修行…みて欲しい…かな?」
「あー、それ却下」
「なんで!?」
「修行なら何時でもみてあげられるでしょ? 特別な日なんだから、特別なことしてあげたいの」
「特別なこと?」
そんな事を言われてもますます困ってしまう。
考えてみたけど、何も思い浮かばない。ちらっとセンセを見れば、ワクワクと期待に満ちた目でオレを見ている。
何も思い付かなかったから、オレはキスを強請ってみるかとにした。センセはキス魔だし、センセとのキスは気持ちいいから。
「じゃあ、キス…」
「え?」
「キスしてください」
センセは驚いた顔したけど、直ぐに笑顔になってオレを抱きしめた。
「じゃあ、特別なキスをお前に…」
そう言って優しいキスをくれた。もちろんそれはキスだけでは終わらなかったけれど。
その日以来、特別な日には特別なキスがプレゼントされるようになった。
そんな事を思い出していたら、にゅっと小さな花束が目の前に差し出された。驚いて顔を上げれば、ナルトが照れくさそうな顔をして立っていた。
「その…テレビで余所の国ではバレンタインはチョコじゃなくて花なんかを贈るってやってたから…。カカシ先生はチョコ食べられないから、これ…」
白を基調としたその花束は匂いもきつくなく、ナルトの心遣いが感じられた。
「ありがとう、嬉しいよ」
そう言うと嬉しそうに笑う。
「じゃあ、オレはこれをあげる」
さっきまでセンセのキスを思い出していたからだろうか。ナルトにキスをした。もちろん唇に。そしていつもより丁寧に。
「なっ…なっ…なっ……」
案の定ナルトはうろたえている。クスクスと笑えば、ナルトは少し怒ったような拗ねているような感じで言ってきた。
「カカシ先生からキスなんて…」
「ん? 嫌だった?」
「ンな訳ねぇじゃん! 嬉しいってばよ。でも、何で?」
「…特別な日は、特別なキスを…ね…」
「特別なキス!?」
ナルトは怪訝な顔をする。これがセンセとの習慣だと気づいたのかもしれない。けれど、直ぐにニタッと笑って言った。
「じゃあ、オレもセンセーに特別なキスを贈るってばよ」
ナルトはオレの腰をがっちりホールドすると、ニタニタする顔を近づけてきた。けれど唇に触れるキスは優しくて…。
それが濃厚な口づけに変わるのに時間は掛からなかった。
ナルトがオレをぐっと引き寄せれば、ナルトの硬くなったモノが当たる。腰を掴んでいた手はスルリと降りてきて、尻を撫でさすっている。
「特別なキスであって、特別なコトじゃ…ないんだぞ?」
少しだけ上がってしまった息に恥ずかしさを覚えながら言えば、
「じゃ、普通のえっちで」
と、のたまった。
13/02/14
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