ユウム
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◆陣営 : Justice
◆名前 : ユウム
◆性別 : 男
◆年齢 : 19歳
◆身長 : 175cm(+15p高下駄)
◆体重 : 62kg
◆血液型 : 不明
◆ステータス
【HP/6(+25)、攻撃/10(+30)、魔適/3(+1)、耐久/6(+14)、魔耐/2、敏捷/10】
◆装着スキル / SP : 300(+200)
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個人ページ
◆概要
雪を思わせる真っ白な髪と、世界の青を写したような青い瞳。
瞳は正の感情だと真っ青な空色に、負の感情だと深い海色に染まって見える。
身の丈ほどの日本刀を背負い、天狗を思わせる一本歯の高下駄を履いていることが多い。
大太刀を振り回すだけあって体格はそれなりにいいようだ。
幼児退行しており、精神年齢が7〜10歳ほど。
そのため実年齢に見合わない、子供っぽい言動をとる。
純真無垢な性格だが、反面、無邪気故の残酷さを伴う。
言動こそ幼いが、これでも"ぷろ"である。
妖怪専門の退治屋であるために、ひとたび仕事だと感じれば表情ごと変わる。
いい妖怪は斬らないとのことだが、妖怪に限らず「敵」だと認識すれば容赦しない。
一人称「僕」/二人称「君」「お前」
「僕、これ、すき!」
「敵は、斬る」
「あのね、皆いっしょに、笑うの。そうしたら、楽しい! ね?」
「むずかしいこと、わからない。でも、それはだめ。かなしいの、だめなの」
何故か魔物など、人間ではない生命体相手に強い嫌悪感と殺意を覚える。
特に「妖怪」には拒否反応と呼べるレベルの反応を示す。
ただし仲間や味方であれば平気らしい。なぜ平気なのかは本人にも不明。
記憶喪失の状態についてはしっくり来ているらしく、とても落ち着いている。
似たような状況に陥ったことがあるのかもしれない。
自分が置かれた状況に関しては深く考えず、楽しければそれでいいと考えている。
◆返還記憶による変化
元々精神的な負荷に弱いために幼児退行をしているためか、
戻ってきた記憶の一部によって頭痛が起きるようになっている。
また、その負荷を減らすための忘却癖が起きやすいようだ。
ただ、本人の精神は少しずつ成長を重ねているようで、
幼い子供のような言動はほぼ変わりないが、ほんの少し年齢があがっているようにも感じる。
忘却癖の頻度も下がったらしい。
◆返還記憶-----
*(Idler Tailor:「記憶が戻ったとき」に関する記憶を代償に差し出した)
白刃が舞う。
妖怪を相手に、自分の父が刀を振るう姿を、僕はよく目にしていた。
ああなりたい。ああなれたら。
自分の年が10を数える頃、僕は父に刀をもらった。
僕はその日から、「妖怪退治屋」になった。
「大人」ではない。だけど、「子供」でもなくなった瞬間だった。
──記憶のなかの自分は、何故か今の僕よりずっと大人びていた。
自分の記憶のはずなのに、拭いようの無い違和感を覚えるのは、どうして?
なんにも思い出せない。なんにも分からない。
僕は誰で、どんな名前で、何をしていたんだっけ。
何も無い、なんにも。僕の中はからっぽだった。
なんでだろう? 考えようとしては頭痛がして、考えるのが嫌になった。
からっぽの中にほんの少し残っていたのは、妖怪への憎悪と嫌悪、それから戦い方。
同業者も、少し、苦手。
それくらいだった。この名前が本当に僕のものなのかもよくわからない。
なんにも無かったから、これしかなかったから。
だから僕は刀を振るった。そうしていれば楽だったから。
そうしている間は不安も無かったから。
だけど、ちょっと怖いって思ってることもあるんだ。
もっともっと強くなって、例えば妖怪がいなくなったとして。
……そうしたら、僕には、何が残るんだろう。
頭の中が靄でいっぱいになって、うまく考えられなくて。
よくわからないから、怖いから、僕は笑っておこうと思った。
笑うところには福が来るって誰かが言ってたから。
でも、なんでかな。なんで皆、僕を怖がるの?
どうして誰も教えてくれないの。
会いたい。どこにいるの。さみしいよ。
君にもらったものを抱きしめて、君にもらった着物をはおって、
それでもずっとずっとさみしいの。
会いたい、会いたいな。だけどその言葉は言えないまま。
「ひめちゃん、げんきかなぁ」
僕は今日も、桃色の羽を思い出しながら一人で眠った。
仕事で立ち寄った町で、君をみかけた。
だから、思わず駆けよって、
そこで、君が女の人を口説いてて、
君の青い瞳が僕を見た。僕に気付いた。
僕は思わず逃げた。見たくなかった、知りたくなかった。
「ユウム!」
呼ばれても僕は知らないふり。でも、結局君に捕まって、僕の前に青い瞳が現れて、
君は必死に僕を捕まえていた。僕は、涙をこぼしていた。
なんで涙がこぼれるのか、なんで胸がきゅうってなるのかわからなくて、
何かを言い返した気がするけど、あんまり覚えてない。
あとからしゅーかちゃんに話したら、「あなたも前より心が増えましたね」って。
僕はよく分からなかったけど、「そっか」と悲しい気持ちを抱えたまま返した。
……でも、しゅーかちゃん、なんで斧の素振りをしてるんだろう?
真っ赤な着物が頭に焼き付いている。
大きな斧を背負った、僕より小さな子。
片目を隠した君は、いつも僕のことを見てくれていた。
皆が僕に近づかないときも、君は隣にいた。
「仕事ですから」
君はそう言うけど、仕事以外でも僕の相手をしてくれていたことを知っている。
「しゅーかちゃんではありません、シユカです」
律儀にそう返してくれることにも嬉しくて、僕は何度も君を呼ぶ。
独りぼっちな僕のそばにいてくれた、赤い退治屋。優しい女の子。
真っ白な景色。
肌を突き刺すような寒さ。
視界の端に映る赤と人の腕。
誰かに抱きしめられて、視界が真暗になる。
「大丈夫よ、ユウム」
何が?
「大丈夫……」
何が大丈夫なの?
途端、開ける視界。散らばる赤。
さっきまで抱きしめられていたのに。
僕に絡められた腕が、ずるりと落ちた。
視線を落とせば、僕と同じ白が、赤くなって、
隣に人がいる時に、不覚を取られた。
大きな妖怪が腕を振り上げて……僕は、また、また……
「もう、嫌だ」
そう心で否定したら、
指を届かせてくれたみたいに。
勇気をくれたみたいに。
力に、心に、強さが溢れて、それは『救える強さ』になった。
腕に襲われる前にその腕を落として、僕は妖怪を見事一網打尽にしたんだ。
僕が妖怪を嫌いな理由。
僕が妖怪退治屋を嫌いな理由。
それはきっと記憶を失くしてしまったがゆえに歪んでしまっただけで。
本当に嫌悪していたのは、本当に憎んでいたのは、
僕の両親を殺した、あいつらだった。
今でも許せないと思ってる。今でも嫌悪している。
それでも。
……それでも、すべてを嫌悪する理由には、ならない。
ずっと理由が分からずに存在した憎しみに理性が生まれて、
視野が、だいぶ広がった。……そう思う。
「前より表情が明るくなりましたね」
隣で笑う君に、僕はきっと笑みを返したんだろう。
妖怪がきらい。
なんで?
妖怪退治屋もきらい。
なんで?
わからない。
理由が思いだせない。
……頭が、いたい。
ただ、じっとしてられなくて、
ただ、あばれたくて、
気づいたら妖怪の腕がころがっていた。
まっしろなせかいで、僕の髪も、雪も、ぜんぶ
あかいろ だった。
しろとあかはきらい。頭が、いたいから。
僕の手、まっか。
なんにもない。なんにももってない。
……からっぽ。
いつまで、いつまで。
君のそれはまるで呪いのようだ。
「見つかるといいなあ」
君の嘆きが途絶えるように。
君の探し物が見つかるように。
(見つけたら、僕といっしょにいてくれる?)
それは僕のわがままで、だからきっと君に言うことはない。
「……僕がいっしょにいけたら」
まだ、叶わない。
まだ終わっていないから。
すべてが終わったなら、
(君の探し物をいっしょに探したいって、伝えてみようかな)
真っ暗な空の向こう、
桃色の羽は、どこかで羽ばたいているのだろうか。
普通の子は、寺子屋に行って、たまにおでかけして、楽しんでるのかな。
僕は退治屋だから。それ以外を知らないから。
僕は“そういうの”がよくわからなかった。
一緒にあそべる子がいなかったからかな。
なんでいなかったんだっけ。……なんでだっけ。
だから、“こういうの”をもらってもよくわからないんだ。
お菓子とか、着物とか、けんだまとか、おはじきとか。
皆こういうので遊んでるのかなぁ。こういうので楽しんでるのかなぁ。
どうすればいいのか分からなくて、でも捨てるのもだめな気がして。
僕は適当な箱にぎゅうっとしまっておくことにした。
……また着物増えた。今度は赤色の綺麗な着物だった。
箱、もっと大きいのにしなきゃだめかな。そろそろ入らなくなっちゃう。
あれ? これ、誰からもらったんだっけ?
待ち望んだその時、僕は自分の心が思った以上に冷静なことに驚いた。
ずっとずっと憎んでいた仇を目の前に、
嫌悪し殺したいと願った妖怪の下卑た笑みを前に、
僕はただ、冷静に相手を見つめるだけだった。
僕は妖怪退治屋。
目の前の妖怪は退治対象に指定されている悪い妖怪。
なんだいつも通りじゃないか。
あいつは僕を忘れているようだった。ああ、好都合だ。
下手に覚えられていて対応されるより、ずっと楽だ。
「退治対象と見受ける。――斬る」
桃色の羽がひらりと舞った気がした。……心配性だなあ。
窓辺に置かれ続けた桃色の羽を集めて、眺める。
ぼうっとしていれば、隣にいた君が僕の頭を撫ぜた。
僕はきっと泣きそうな顔で君を見ている。
あれだけ拒絶したのに。
あれだけ傷つけたのに。
それでも君は僕の隣にいてくれた。
「記憶が戻って混乱していたのだろう」
だからいいのだと、そう言って君は笑う。
「記憶が戻ってもお前様はお前様だ」
だろう、ユウム。
そんなことを言う君の声が心地よかった。
きっと僕の記憶が戻ったのは、君が居たからだ。
君が居たから、独りじゃなかったから。
記憶が戻っても耐えられると思ったから、思い出した。
……なんて、照れくさくて言えなかったけど。