ハイネ
◆陣営 : Evil
◆名前 : ハイネ
◆性別 : 女
◆年齢 : 20歳程(外見年齢)
◆身長 : 170cm
◆ステータス
【HP/10(+5)、攻撃/10(+29)、魔適/1、耐久/4(+10)、魔耐/8、敏捷/7】
◆装着スキル / SP : 300(+300)
◆
個人ページ
陽に透ける淡い金から眩い赤へと光る髪に、紅薔薇のような瞳を持つ。
騎士のような出で立ちをしている。
性格は実直で正直、勉強熱心。
自分がそうだからと他者を疑うことをせず、
自身に非があれば素直に謝る等、所謂真っ直ぐな性格をしている。
頼みごとをすれば快く引き受けてくれるだろう。
正直過ぎるが故、他者を怒らせる事も多いが
全く悪びれないどころか、なぜ怒っているのか分からないといった顔をする。
「真っ直ぐ」が故の、残酷さも持ち合わせており、
それが正しいと信じた故の行動であれば、後悔の念を一切持たない。
自分で思考するという事をあまりしない為、他者の言葉に流されやすい。
考えるより先に行動してしまい、問題事を起こすことも多い。
また、「必要が無かった」為、性的な知識は全く無い様子。
記憶を無くしていることは全く気にしていない様子。
人と話す事が好きで、誰か見つけるとふらふらと寄っていくようだ。
自身の世界と違う異世界の知識を得るべく、拠点内を良くうろついていることだろう。
◆返還記憶-----
*(Idler Tailor:「故郷の、一番好きな場所から見た風景」に関する記憶の代償)
想いのままに力を振り下ろす。
殺し、殺し、殺し、いつしか私も皆のように赤くなってしまった。
彼らは、偽りを掲げ、大切な創造主様を蔑ろにした。
それは悪い事だと、だから仕方がないことなのだと。
彼らを斬れば斬る程、想いが内から湧き出るかのように胸が痛い、苦しい。
…これは、「悲しみ」なのだろうか?
喉から湧いて出た私の声には、聞こえない振りをした。
私には父と母がいた。
父上は厳粛で勇敢な素晴らしい騎士。
母上は慎ましやかで優しく美しい母。
私はそんな二人を親に持てて幸せだ。
「『剣聖』に並ぶような素晴らしい騎士になりますように」
父と母はそう望んで私を子とした。
私が生まれた理由は、そのまま私の生きる目標となる。
しっかりしろ、と倒れた彼女を抱き起こすが、
血塗れの彼女は目を開けたまま動かない。
「……大丈夫だからな、クローネ」
刹那の微笑み。
私は彼女の死体を敵の体へと叩きつけ、それごと切り伏せた。
「大丈夫だからな」
私は笑って、戦場を駆ける。
この戦いが終われば
すぐに、すぐに、創造主様がお前を生き返らせてくれる。
そう、きちんと創造主様はこたえてくれる。
例外なんてあるはずがない。
大丈夫だ、また会えるよ、クローネ。
すぐに、元通りだ。
主は間違えたのだと言った。
王は間違えたのだと言った。
父は、苦虫を噛み潰したような顔で、私にそう言った。
父は何を言っているのだろう?
私に何を伝えているのだろう?
理解が、出来ない。
母の押し殺したような悲鳴が背後から聴こえる。
このままでは、父は主に背く反逆者になってしまう。
それだけは、それだけはいけない。
私の父は聡明で勇敢で、主に忠実な僕でなければいけない。
私は徐に刃を振り上げて 父へと 何度も 何度も 振り下ろし
そして主へと生を嘆願し 再度父に 話そう どうして また刃を 再度
分かってくれない どうして
再度 嘆願
嘆願し
ああ
主よ
どうし
て
…………。
幾度目かの問答の後、ようやく父は首を縦に振ってくれた。
私は安心し、笑った。
まばゆく輝く金色の。
あの方と同じ色の、騎士団正装を身に纏う。
私の使命。
私の生きる意味。
全てを蒸発させる程の熱い意思。
エクスハティオ。
名を呼ぶ、それは私、剣。
私を、あの方の元まで導かん。
我が国と同盟関係である隣国のハルモニアへと出向いた事がある。
其の国には、「姫」と言う者が居るのだ。
「姫」というのは…そうだな、何と言葉にすればいいのか、
とにかく、王子である剣聖と同等程のハルモニアでは高貴な身分の女性のお方なのだ。
私は騎士団の者と共にお付で出向いただけで、周辺警備の最中の事であったが、
剣聖と親しげに、仲睦まじく語らう美しき「姫」の姿を拝見出来たことがあった。
華美ながらも上品な、走るには不向きなように誂えたドレス、
綺麗に結わえ上げられた髪には、光を眩く纏う装飾品、
剣など持たぬ傷一つ無い細い手指は何処までも白くたおやかな女性でいて。
彼へと微笑む其の笑顔は、これまで見た何物にも例えようの無いほどに、鮮やかであった。
彼の隣に寄り添う其の様は、これまで見た何者よりも、似合いの光景であった。
ただ、ただ、そう、彼女は美しかったのだ。
二者の間には何の境も見えず…、
もしや、二国間で婚姻の話でも上がっているのだろうか?
………、
ああ、もしそうだというのなら、
何と、
何と、美しい光景なのだろうか。
…幸福なことだ。
私が居た世界には、三つの国があった。
一つは、キリエ。
純白を象徴する私の生まれ育った国であり、
私達の何よりも尊い創造主様が居られる国でもある。
此の素晴らしい国を"騎士"として守護出来るという事を、私は誇らしく思っている。
一つは、ハルモニア。
大きく栄え過ぎたキリエ国から民の住まいを分けて創られた国であり、
そして、現在キリエと友好関係を結んでいる同盟国でもある。
此処には、この世界の"外"から移住してきた民が居るのだとか。
…そして、もう一つは、フィリア。
キリエの真反対の位置に領地を陣取る、敵国だ。
キリエは、このフィリアと戦争を繰り返している。
彼等は、"敵"だ。其の色、其の身の元などはまだ良い。良いんだ。
決して許してはいけないのは、
彼等は、私達の創造主様を蔑ろにしていることだ。
どうして、そのような真似が出来るのだろう。
彼等と私たちが分かり合う、
…彼等が創造主様の尊さを理解する事は、本当に、無いのだろうか?
難しい話なのかもしれないな。
初めて彼の姿を拝めたのは、
私が騎士団に入団した時、叙任式を終えた後のことだった。
沢山の同輩達の群れに埋もれて、私は輝く瞳を隠しもせずに貴方だけを見上げていた。
貴方の言葉を一言も漏らさずに聞いていた。
貴方の一挙一動を脇目も振らずに視ていた。
貴方だけを、この瞳に映していた。
…貴方の視線は、一度も此方と合わなかった。
ああ、剣聖よ、聞いてくださらないだろうか。
生まれた時から、私は貴方のことを識っていたんだ。
私は、貴方のように成り得る為に生まれてきたんだ。
其れが私で、私の生を受けた理由なんだ。
…………剣聖。
どうか私が貴方のように、真の強さを得られた時。
其の時こそは、次こそは、……今度は、
私を、見留めて下さい。
額から流れ出る血が片目を塞ぐ。
此の刃が、届かない。
天を駆けるような鉄の塊が、雨のように私達を貫いていく。
主に願う暇すら、与えぬとでもいうように。
私達が死んでいく。
青い空が、晴れているのに、黒の斜線で汚されていく。
エクスハティオで自分の身は庇えても、他の者が守れない。
それなら、せめて、視界の端に映った指揮官だけでも、と。
注意を逸らしてしまったのは一瞬だけだった。
されど、一瞬があってしまった。
私の死角を狙い接近した其の刃を代わりに受けたのは、
彼女だった。眩い赤。
べたつく雨が降ってきた。
…クローネ、
私との約束は、…約束が、
……、
身体を今蓄えられる限界まで鍛え上げた。
精神を今備えられる限界まで培い育てた。
健全なる肉体と健全なる精神を揃えた者だけが、其の栄誉に選ばれる。
此の日、此の時を迎えられた事が当然だと自負して。
幼き目で何度も夢見、喉から手が出る程に欲しがった其の紋章を見に纏う。
キリエ騎士団の一席を賜った。
其の栄誉を、純白の誇りを決して汚さぬ事を此処に誓おう。
此の身、此の心、
全てを主の為に捧げ、全てを主の為に燃やし尽くす事を。
此処に誓おう。
私は、主に仕える事を認められた、騎士だ。
其の日は朝から何処か気持ちが浮き足立ってしまっていた。
焦燥感の中に隠せない楽しさ、期待が入り混じり、
思わず気が抜けそうになるのを何十回と律したんだ。
はは、そう笑うもんじゃない。
今はこうだが、私にだってそんな時があったのだぞ?
そう。クローネ、君と初めて出会った日の事だ。
君の噂は私の耳に聞こえていた。
選抜模擬試合を一度も折れずに勝ち抜いた"期待の新人"らしいじゃないか?
其処までの才能ある若者の教育係になれる等、
私はなんと光栄な事だろう。
そう、楽しみだったんだ。
君に会う事が、其れも数日も前からだ。
初めて顔をつき合わせた君は、
想像していたよりもずっと、少女を極めていて、美しかった。
私は、此の世界が好きだ。
ああ、愛している等とのたまうつもりは無いんだ、
此の世界を一番に愛しているのは主なのだろうから。
何処まで行っても澄み渡る蒼空が好きだ。
何処まで走っても終わらない草原が好きだ。
花開くような笑顔があちらこちらで咲く民達が好きだ。
穢れ無き白に染まるキリエ国が好きだ。
そして何よりも、私達を愛してくれる主の事が大好きだ。
大好きなんだ、私の住む此の美しい世界の事が。
……なのに、どうしてだろう。
此の美しくも素晴らしい景色を翳らせるものが、此の世界に存在するのは。
おかしくは無いだろうか?