螽斯
◆陣営:Justice
◆名前:螽斯 (きりぎりす)
◆性別:男
◆年齢:26
◆身長:196cm
◆ステータス
【HP/6、攻撃/10(+25)、魔適/9(+1)、耐久/9、魔耐/8(+2)、敏捷/7(+8)】
◆装着スキル / SP : 300(+100)
◆
個人ページ
髪の毛先に少しだけ茶を残した淡い金色の髪に、
鮮やかな琥珀のように不思議な色合いを瞳に持つ。
長く長く、膝程迄に伸ばされた後ろ髪は重そうな三つ編みにして結わえられている。
右耳に3つ、左耳に2つピアスをあけているが、髪に隠れて見えないだろう。
身体の輪郭を隠すような、ゆったりとした服ばかりを身に纏う。
吟遊詩人を思わせる民族調の面影と人懐こそうな表情は、
不思議と相対する者の警戒を緩ませるようだ。
酒は好きだが煙草は嫌い。
何よりも"自由"を大事にしている、行動派。
兎に角、どんな障害があろうと、感情や意思に正直に自身のやりたい事をやるだろう。
様々な物事の経験が多いのか多趣味で他人の価値観に寛容、
常識や礼儀は多少持ち合わせている方だ。
自身の記憶が無い事には、"不愉快"といった感想を述べている。
自身のものを手の内に戻す為、積極的に記憶を取り戻そうと行動するだろう。
◆返還記憶-----
表紙と、頁の左端が赤黒くなってしまった本を捲る。
ただ、ただ、捲り、目を走らせた。
最後の頁まで辿り着いてしまっても、
右にやった頁を全て左へ戻し、また、始めから捲る。
時間が少しでも空けば、飽きずに繰り返した。
全ての文を空で言える程になっても、本を手放さなかった。
『あの丘の向こうにあるものが、見たくはないか?』
主人公は誘われた、誘ってくれる者がいた。
その展開に、機会に、夢に見る程恋焦がれた。
自分が少しずつ可笑しくなっていく。
自覚のある狂いは、やがて抑えきれなくなって…、
…………未だ、来ない。
だが、そう。……それなら、もう、独りでもいいから、丘の向こうに行こう。
持ちうる全てを捨ててでも。此の恋を、叶える為に。
視界も朧気で、感覚もあやふやな世界の中にいた。
それなのに聴覚だけが確かなものとしてあり、
産まれて間もなく響くもうひとつの、空気を裂くような大声を聴いて僕も声を上げた。
「…あなたは、花」
「あなたは……切子、」
「ごめんなさい、ごめんね、ちゃんと、産んであげられなくて、」
「………花、あなたは、いつか、いつか誰かの為に咲ける花に、なりなさいね」
「切子、あなたは、」
「……きっと、一生、自由にはなれないわ」
「死ぬ迄、人を切り続けることに、なるのよ」
意味さえも理解出来ずに。
その弱々しい、悲しげな誰かの声だけを、何時までも…覚えていた。
勿体ない、と。本当に残念そうなため息が幾つも聞こえた。
「刃を扱う才は、本当に、類を見ない程天才的だというのに」
「何故だ?構えも、形も、扱う為の素材も……何処も可笑しくは無い筈なのに」
「教育の方針を改めた方が良いのでは?此の子なら、一点特化でも至上の成果をあげてくれる」
「……"才能"、なのでしょうね」
……どうしても、手に、しっくりとこない。
思うのは、其れだけ。本当に、其れだけ。
使い辛いものを使おうとするのは、ムダな時間で、ただ効率が悪いだけの事で……。
狙ったはずが、狙ったところに当たらない、穴の開いた壁を見つめている。
…………ただ、此れからも、ひとに言われたものを"切る"だけ。
其れだけの毎日が、変わらない。
三日月が定めた"良い子"でいると、"ソレ"が決まって差し出された。
普段の味気なく詰まらない食事を上塗りするかのように、強烈に印象付けるもの。
甘く、舌の上で柔らかく蕩けていくもの。
お菓子は、チョコレートというものだそうだ。
差し出した両手の上に、溢れる程に乗せられる"良い子のご褒美"。
「よく出来ましたね、切子」
仕方なく口に含み、転がしていればいつの間にか消えていく。
まるで薬みたいだ、……好きになれと、誰かに強要されているような心地だった。