▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
・・・
・・
・
時間、それに距離すらも、此の世界ではどうにも曖昧だ。
進んでいるのか、戻っているのか、分からなくなってしまいそうで。
心地の悪い気持ち、……不安も生まれるかもしれない。
大した距離でも無い筈なのに、
何処まで来たのか分からなくなりそうな程のものが経った時、
あなたは目的と定めていたであろう場所に辿り着いた。
森の木々が避けたかのように、其処だけが開いていた。
此の世界にぽっかりと空いた、穴のような空間。
一本の小さな小さな樹が、其処に生えていた。
容易く手折れてしまいそうな、今にも途絶えてしまいそうな印象を受ける、柔くて脆いモノ。
其れでも、此の命は今、"生まれようとしている"と、感じたのだ。
あなたが歩みを止めれば、…ふと、何処からか、声が聞こえました。
声の主の姿は、見えない。
「……あなた、あなた」
「あなたは、生まれたものですか?」
「あなたは、"生きて"いますか?」
声に探索者が答えれば、ぼんやりとした光が、樹の枝の一つに宿る。
眼を向ければ、枝にもたれかかるように座る主がひとり、確かに其処に居た。
掌に乗る程の大きさ、虫のような光る羽の生えたとても小さなひと
、…"妖精"を、あなたは知っていただろうか。
もし知らずとも、あまり意味は成さないだろう。
彼とも彼女ともつかない妖精は、今目の前に居るあなたへと言葉を続ける。
「問いに答えを返せるのであれば、あなたは、生きるひと」
「もし、もしお時間宜しければ、あなたの御手を貸しては頂けないでしょうか」
「旅の片手間の、ほんの、少しで良いのです。
わたし達は、其の手助けを、必要としているのです」
「わたしは、"○"を司る為に、此の樹より生まれた妖精です」
「此の場所、わたし……あなたに求める手助けに、それらは関係致します」
「言葉を続けましょう。
此の何も無くなってしまった世界に、新しい【妖精】を新生させなければいけません」
「其の手助けを、わたしはあなたに求めているのです」
※探索者が妖精に質問をするのであれば、
妖精が答えられるものは答えてしまって構いません。
「此の樹は、妖精の領域"フィラメア"と呼ばれています」
「何らかの理由で、何も無くなってしまった場所。全てが停滞し、生まれ出るものが無くなった場所」
「壊れる事……死や消滅すら、無くなってしまった"無"の土地」
「そのような場所が世界に生じれば、フィラメアは根を差すのです」
「此の樹からは、"妖精"が生まれるのです。【何か】をひとつ、司る、妖精が生まれるのです」
「分かりません、無くなった後に生まれたわたしには、知る術がありません」
「其れでも、此処に"何も無い"という事実は、見れば理解出来る事でしょう」
「【時】を司る妖精が生まれれば、此の領域の中に【時間】の流れが生まれるでしょう」
「【地】を司る妖精が生まれれば、只其処にあるだけであった大地は、命を育む為の【土壌】にもなれるでしょう」
「妖精が持つ力は、世界を動かす為のもの。世界を回る力や仕組みが実体化したようなものだと捉えて下さい」
「わたし、分からないのです」
「"此処には、何が在ればいい?"」
「此処には、【何もかもが足りない】のです」
「手も足も頭も、わたしには足りないのです」
「何が足りない?何が在れば、此の世界に大切なものとなる?」
何度見渡しても、探索者の頭に浮かぶのは、【何も無い】という言葉だけだ。
在っても、意味を成せない。何にもなれず、何にもならないものばかり。
其れは目に視えるものも視えないものも関係無い、概念すらも【何も無い】のだろう。
「司るものがある妖精は、"力の方向性"なのです」
「無いものだとされているものを"其処に在る"のだと、世界に認識させてやらなければいけないのです」
「フィラメアの樹の木の実に手を添えて、助けてやって下さい」
「世界へと生まれてくるのを、待っている筈なのです」
「"どうして"、あなたが生まれてくるのか、教えてやりたいのです」
→探索者が妖精の願いを了承し、妖精を新生させるのであれば、「6.新生" "」へ
◎skill情報--------
「注視/幻視」→周囲
木々に囲まれた中にぽつんと開かれた空間。
樹、空気、土、空……確かに其処に在るのに、在ると感じられない。
"存在"を感じられるのは、流れたまま時を止めた小さな小川くらいだろう。
「注視」→妖精
○色の髪に○色の瞳の彼、もしくは彼女。
透けた葉に似た柔らかそうな薄い布地の服を身に纏い、背からは虫のものに似た羽が生えている。
妖精という言葉を知っていれば、其れが一番しっくりと当て嵌るだろう。
「幻視」→妖精
○色の髪に○色の瞳の彼、もしくは彼女。
透けた葉に似た柔らかそうな薄い布地の服を身に纏い、背からは虫のものに似た羽が生えている。
妖精という言葉を知っていれば、其れが一番しっくりと当て嵌るだろう。
彼、もしくは彼女を構成しているものがあなたには視える。
生物というには違い、形容し難いエネルギーの塊だ。
世界の仕組み、其の一部、"自然"のように感じる。
それでも確かに今其処に居て、【生きている】ものであるのだろう。
「注視」→樹
幾つにもねじれた植物が重なりあったように幹を形成している、微かに光を放つ不思議な樹。
幼さを感じる小ささだ。
何か"感覚"の阻害を受けているようで、本当に其処に在るのか無いのか、どうにも曖昧だ。
あなたの手の届く程の枝に、ひとつだけ、身にそぐわない大きな木の実がついている。
「幻視」→樹
幾つにもねじれた植物が重なりあったように幹を形成している、微かに光を放つ不思議な樹。
幼さを感じる小ささだ。
何か"感覚"の阻害を受けているようで、本当に其処に在るのか無いのか、どうにも曖昧だ。
あなたの手の届く程の枝に、ひとつだけ、身にそぐわない大きな木の実がついている。
生きていないように見えてしまうのに、生きているようにも感じてしまうのは、
其の木の実が関係しているのだろうと察するだろう。
「聞き耳」→周囲
何も聞こえない。
自分の鼓動の音すらも、遠く感じるような心地だ。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲