沁堂
◆Image◆
◆陣営 : Evil
◆名前 : 沁堂(しんどう)
◆性別 : 男性
◆年齢 : 33歳
◆身長 : 177cm
◆体重 : 63kg
◆ステータス
【HP/8、攻撃/3(+6)、魔適/8(+5)、耐久/10、魔耐/6、敏捷/5】
◆装着スキル / SP : 300(+50)
◆
個人ページ
「沁堂」というのは苗字でも名前でもない。
咄嗟に口に出してしまうくらいには馴染み深いものなのだろう。
それが自分にとっての何であるかは、分からないけれど。
嬉しいときも悲しいときもふわりとした微笑みをこぼす。
誰に対しても柔和な姿勢を崩さないように心掛けているが、
同時に誰を相手にしても壁を一枚隔てることで距離感をたもつ。
深い感情をもたないまま、いつでも縁が切れるように。
自分が「できる」か「できない」かの二択を基準に置いて行動することが多々ある。
可能性というものをあまり見出そうとせず、数秒先の未来にさえも希望や期待を抱かない。
……ようにしているつもり。
愛煙家で、味わいながらゆっくりと吸うことを好む。
流れてゆく煙を眺めていると、懐かしい気持ちが芽生えてくる。
記憶をなくしてからはぼんやりすることが多くなった。
取り戻すほどの大切な日々があるのだろうか。愛しい思い出があったのだろうか。
ただ自分が「植物」と「毒」に依存していることだけは、この体が覚えている。
◆返還記憶-----
長い坂の上にある、海を臨む一軒の建物。
掲げられた小さな看板には丸い筆文字で「沁堂」と書かれてある。
白い日向と青い影に満たされた室内。
微かな花の香りと、誰かが紙をめくる音が聞こえる。
足元に揺らめく水面の幻影には、長い尾をはためかせる魚が優雅に泳いでいた。
まどろみの縁で見る夢のよう。
ここは、俺を肯定してくれる人たちがいる大切な居場所。
---
「日永」と名前をつけたのは、一体誰だっただろうか。
光を宿したこの名前は、自分には似つかわしくないほどにあたたかくて穏やかだ。
まるで春の日の午後のように。
沢山の人に、沢山の声音で呼ばれ、今日までともに歩んできた。
多分、これからもずっと共にあるのだろう。
自分が生涯隣にあり続ける存在で居たいと、そう願ったことは一度ばかりではない。
それが特定の人物に向けた感情であると気づいてしまったときには、
胸の奥を荒く撫でられたような気持ちになった。
ずっと好きな人がいた。
けれど、ある朝には忽然と姿を消していた。
周囲の人々は駆け落ちだと静かな噂を流している。
有限の時間の中で見つけ出した大切な人は、決して自分などではない。
大きくあたたかな手のひらに撫でられた感触。
とけた琥珀の瞳は笑うと一層に光を宿した。
もう一度触れてほしい、笑いかけてほしい、言葉を聞かせてほしい。
あの人にとって俺は、ただの子供でしかなかったのかもしれない。
なんて浅ましい夢。
浅い闇の底は、安っぽくて甘い缶コーヒーの味がした。
程度の軽い夜遊びを覚えたのは十代半ばの頃だっただろうか。
しじまに包まれた街の中を歩いて、歩いて、歩いて。
穏やかなノイズを引き続ける浜辺で、短い旅を終えてやって来る朝日を待った。
ぼんやりとした夢の狭間に立っているような気分だ。
俺は、それがたまらなく好きだった。
「洸介くん」「結雨ちゃん」
ともに日々を歩んでいくことになった幼い子供たち。
赤く目を腫らした小学生の男の子と、まだ言葉も光も知らない小さな赤ん坊。
”君たち”とは初めましての関係のはずで、子供と接することなんて滅多になかったはずなのに。
どうして彼らを迎え入れたのだろうだなんて、今更なことを考えて。
少年の涙に心が揺れてしまったから?
施設に入ったら、唯一の肉親と離れ離れになってしまうと聞かされたから?
……恋をしていた人の、忘れ形見だから?
どれでもないと言えば、嘘になるけれど。
それでも今ここにいる2人が、俺の手を、指を、しっかりと握りしめているのは確かなことで。
小さく伝わるこの熱が、俺の生きる意味になったような気がした……。
「これから、よろしくね。」