ゆきと道連れ
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陣営:制限なし
推奨人数:1〜2人
推奨スキル:特に無し(PCの親切心)
非推奨スキル/アイテム:戦闘系スキル、武器系アイテム
時間:2〜3時間程度
GMボーナス:ステータス上昇5pt or スキルポイント50pt(※3回まで受取可)
ダンジョン「冬の彩り」専用のシナリオです。
探索のみで、戦闘はありません。
ある雪の降る寒い日のことでした
子供はそっと、"いえ"を抜け出したのです
まだくらやみにおびえていた、小さな子供のおはなし
雰囲気、RPを楽しむことを目的とした、「正解」の無いふんわりシナリオです。
探索者がNPCの事情を聞かなければ、何も分からないまま進む事も出来るでしょうが、
なるべく、NPCの方から会話を繋げてあげましょう。
NPCは自身の正体以外なら、殆どのことは話してくれるでしょう。
(※話せそうな内容は「2.用語やアイテム、人物、舞台」参照)
明記して居ない箇所も多大に含まれると思うので、
GMは自由に脚色してしまって構いません。
※シナリオに書かれていない情報については、GMの裁量にお任せいたします。
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子狐ゆきと共に手を繋いだまま目的地まで行き、買い物を終えて、山まで戻ってくる。
ゆきと共に行くことを頑なに拒んだり、
途中でゆきの変化が完全に解けてしまうようなことがあったり、
PCがNPCへ危害を加えようとすれば、例え其処が室内だろうと、
突然入り込んできた吹きすさぶ雪に襲われて視界がホワイトアウトする。
体が冷え切った状態のまま冬の森で目が覚めることだろう。
この場合、其のPCはシナリオクリア失敗となります。
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一人称:ゆき
人間のことは、つい、「にんげんさん」と呼んでしまう。
雪のように白い髪に丸いつぶらな黒の瞳を持つ、
少し寒そうにジャンパーを着込んで白の手袋をしている、6〜7歳程と見られる幼い子供。
性別はGMの趣味にお任せします。
正体は子狐であり、病気になって寝込んでしまった母を心配して、人に化けて巣穴を飛び出した。
焦ったり、びっくりしたりすると変化が一部解けてしまうことがある。
完全に狐の姿に戻ってしまったら、山へと逃げ帰ってしまうだろう。
人間の事を恐怖の対象と見ているが、
自身のわがままを聞いてくれる探索者には徐々に心を開いていくかもしれない。
また、相手がもし人間ではないと明かされる、
もしくはそう思うことがあれば、容易く心を開くだろう。
大好きなひとの為に、何か、何か、出来る事があるはずなんだ。
山と人里の境にある古びた鳥居。
其の鳥居から山側は、すべて山の神様の領域だ。
"悪いもの"や、"害をなすもの"から、
山に生きる全てのものは神様の手によって守られているのだという。
しかし、一歩でも其の鳥居の向こう側へと足を踏み出してしまえば、
神様でさえ、貴方を守ることは出来なくなる。
"悪いもの"は、守られて居ない危うげな小さな命を暗闇に飲み込もうとするだろう。
子狐も母から"向こう側"には行ってはいけないと強く言い聞かせられていた。
しかし、もしものとき、悪いものに会っても身を守れるようにと。
子狐の母はある"おまじない"を、子狐に教えていた。
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探索者は目が覚めれば、いつの間にやら知らない場所へと迷いこんでいた。
寒々しい周囲を見渡せば現在時刻は深夜のようで、空からは小さな雪が延々と降りている。
どうやら山森の入り口のよう、古びた赤い鳥居がある。
鳥居の下で出会った見知らぬ幼い子供は行きたい場所があるのだと探索者へ乞う。
子供と手を繋ぎ、静まり返った田舎の人里の中、狭狭しい道を並んで歩いて行く。
寒々しい気配から身を守る為と、頼まれるがままに"しりとり"をしながら、
子供は道中、自分の「目的」を探索者へと零すだろう。
辿り着いた先はこんな夜でも唯一光を灯していた「コンビニエンスストア」だ。
こんな場所で、子供の「目的の物」は見つかるのだろうか…?
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星も隠れるような真夜中のこと。
探索者はいつものように、寝具の中で眠りについたことだろう。
…しかし、どういうことだろうか。
気がつけば探索者は、寒々しい空気を纏う冬の森の中にいた。
辺りは暗いが、どうやら山森の入り口なのであろうことが分かる。
直ぐ傍には古びた赤い鳥居が立っているのが分かるだろう。
鳥居の向こう側、道なき道が下る先、
暗闇の中には微かに人里、灯りの消えた家々が並んでいるのが見える。
空からは小さな雪が少しずつ降りだしてきていた。
どうしてこんな所にいるのだろう、と探索者が疑問に思い周囲を見渡していれば。
(※鳥居を潜って探索者が向こう側に行こうとする前に下記イベントを進めて下さい)
「…あの」
突然聞こえた、消えるように小さな声。
そして、探索者の片手に小さな何かが触れる感覚。
其方を見てみれば、幼い子供が小さな手で貴方の手を軽く握り、傍へ立っていた。
⇒「5.ゆきと道連れ」へ
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「あの、」「その、」「にn…、あっ、」「ぅ…」
子供は、探索者の手を握る手を離さない。
少しだけ怯えたような目で探索者を見つめ、迷うようにしながらも言葉を続ける。
「…そ、の、」「い、一緒に、」
「行きたい、ところが、あって」
「おねがいします…」
消え入るような声のまま、ぽそぽそと子供は口にする。
名前を問えば。
ゆき、と答える。
どうしてか、と問えば。
一人と、暗闇が怖いから、という答えが返ってくる。
怖いものが、真っ暗の中に隠れてる、というのだ。
勿論、周りを見てもそんなものは何も見当たらない。
どこに行きたいのか、と問えば。
下り道の先、人里の中、遠くに一つだけついた明かりを指差すだろう。
そこに行って何をするのか、と問えば。
どうしても、欲しいものがあるのだと答えるだろう。
親はどこにいるのか、と問えば。
…泣きそうな顔で、口を噤んでしまう。
深くは話そうとせず、…話せないのかもしれない。
ただ、繋いだ手をきゅっと握り、探索者を見つめるばかりだ。
子供も頑なではない。探索者が辛抱強く、安心させるように尋ねてやれば、
ぽつりぽつりと、自分が其処へ行きたい理由を話すかもしれない。
…自分の正体は、決して話そうとしないが。
理由が分かってか、分からずしてか探索者が共に行くことを、了承してやれば。
子供は仄かに頬を染めて、頷くだろう。
道の先へ行こうと、鳥居を潜った其の瞬間、何か寒気を感じる。
背後を見ても、周りを見ても何も見えないだろう。
子供は、何処か怯えたように、探索者の手を握るばかりだ。
そうして、二人は古びた鳥居を潜り抜けて、道の先へと下りて行く。
⇒「6.てつなぎとしりとり」へ
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手を繋いだまま、探索者と子供は、暗い夜道を歩いていく。
ゆきは忙しなく周囲に目をやり、怯えたように探索者にしがみつく。
探索者も、何かに見られているような気持ちや、嫌な気配を何処からか感じるだろう。
其の正体は、気づく者は気づくかもしれない。(悪霊、といった"悪いもの"だ)
此方の様子を伺っているような其の気配は、姿が見えない。
背後から足跡がもう一つ重なって聞こえてくるような、心地の悪い気持ちの中。
…ゆきがふと、口にする。
「…あの、ね、…しりとり、しない?」
「…あの、…こわいもの、」
「あっちいけってする、おまじない、なんだって」
「…おかあさんが、おしえてくれたの」
ゆきはぎゅ、と目を瞑り、何かから逃れるように、探索者へ身を寄せる。
…よく見てみれば、探索者が手を繋いでいる方とは反対側、
ゆきの其の肩に、何か黒いもやのようなものが一瞬見えたかもしれない。
考えている猶予は、余り無さそうだ。
(因みに、そういうもの専門の人には、それらの黒いもやは彼方此方に居て
祓っても祓ってもキリが無さそうだということが分かって良いです)
ここから、目的地へ着くまでしりとりタイムです。
リアルタイムで5〜10分ほどは最低続くように、頑張ってください。
自手番の持ち時間は30秒ほどとしましょう。
ゆきはあまり難しい言葉は人間界のものの名前は知らず、
自分の身の回りにあるもの(自然界のもの)でしりとりをしようとします。
あんまりにも意地悪をされると困ってしまうかもしれません。
しりとりの合間に少しなら会話を挟むのもいいでしょう。
どちらかがつまづく度に、何らかの心霊現象が身の回りに起きます。
その度、ゆきは慌ててしまい、変化が一部(耳や尻尾等)解けてしまうかもしれません。
変化がとけても直ぐに持ち直しますが、何回も(5回程が目安)つまづいたりすれば、
完全に変化が解けてしまい、恐怖に耐え切れず山へと逃げ帰ってしまうでしょう。
また、一部変化が解けたとしても頑固として自分の正体を隠そうとするだろう。
何故なら、人間とかかわってはだめ、と母親からきつく言われていたせいだ。
しりとりを続けながら、無事たどり着いた先は、
此の夜中でもたった一軒のみ明かりがついていた、コンビニエンスストアだ。
⇒「7.こんびにとほしいもの」へ
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軽快な音楽と自動で開くドアにびく、とゆきは体を震わせる。
潜った先は、知っている者は知っていて、懐かしく感じる者は懐かしく思うだろう。
覚えているがままの、コンビニエンスストアだ。
店員は少し若い男性が一人のみで、他に客は居ない。
ゆきは、とてももの珍しそうに
周囲をきょろきょろ見渡しながらも、探索者から離れようとしない。
欲しいものを尋ねれば、理由と共に教えてくれるだろう。
「…ん、」「あの、ね」
「おかあさん…、おかあさんが、からだ、わるくしちゃってて、」
「なにか…げんきになるようなものが、ほしくって、」
どうやら、病気になってしまった母親の為に、
何かしたいという気持ちだけでここまで連れてきてもらったらしい。
相談にのってやりながら、一緒に買い物をしてやるといいだろう。
(※なお、母親は人間ではないので人間用の薬は効きません)
コンビ二にありそうなものは、あるとして良い。
なるべくRPをゆっくり楽しんで、遊んであげてください。
お金はゆきが葉っぱ型のポーチにぎっしりと入れている…が、何故か100円や10円ばかりだ。
其の中に一枚だけ、煤けて汚れた500円玉が入っている。
(※なお、ほとんどが小石や葉っぱを化かせたものであり、本物ではありません。
本物のお金は500円玉だけです。
偽物のお金もちょっとやそっとじゃ分からない程精巧であり、バレないでしょう)
探索者がこの偽物のお金に気づいたら、
500円玉は本物であることをそっと教えてあげましょう。
偽物のお金はたくさんあるのでそれを使って、
探索者が個人的な買い物をすることも可能です。
買い物を済ませたら、買ったものはレジ袋につめられます。
ゆきは、帰り道も、元の場所まで一緒に帰って貰いたいと、探索者にお願いするだろう。
⇒「8.かえりみちと雪」へ
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帰り道も、同じようにしてしりとりをしながら鳥居まで戻る。
少し積もった雪の上を、二つの足音が続いて行く。
追いかけてくる気配は、徐々に遠くなっていくことだろう。
無事鳥居を潜れば、嫌な気配は消え、ゆきもホッと息をついた。
「…あの、」「ね」「…ありがとう」
「ひとりじゃ、きっとふみだせなかった、から」「…よかった」
「わがまま、いって、つきあってもらって、ごめんなさい」
「…やさしい、にんげんさん」
「ゆき、にんげんって、こわいとおもってた、けど」
「…にんげんさんのことは、すき」
「もう、だいじょうぶ」「ありがとう」
たどたどしくお礼を言って、ゆきは笑い、探索者の手を離す。
あたたかなぬくもりが離れていく。
一歩、二歩離れたゆきは、探索者が瞬きをした瞬間に、一匹の子狐の姿になる。
子狐は探索者の足元にすりより、ひとつ鳴いたあと、
コンビ二のレジ袋を咥えて闇の中に走り去っていくだろう。
探索者が子狐を見送った直ぐあと、
風が一際強く吹き抜けて、探索者は思わず目を閉じた。
・・・
・・
・
…気がつけば、其処は夜が近づき暗くなり始めた、冬の森。
探索者は森の入り口近くに、ぽつんと立ちつくしていた事だろう。
まるで狐に化かされたかのように、其れまでの事は何も覚えて居ない。
ただ、其の手にはずっと誰かと手を繋いでいたような
…そんなぬくもりを覚えるような真っ白な手袋が嵌められていた。
探索者は、指先から伝わる、あたたかな気持ちを抱えながら家路についたことだろう。
セッションクリアとなります。
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▽クリア報酬
・ステータス上昇3pt or スキルポイント30pt
▼追加報酬:ゆきと繋いだ手を離さずに無事元の道まで送り届けたPCへ
・自身の「冬」または「好き」に関する記憶の一部分(要選択)
・アイテム入手「冬の彩り」
不思議とどんな人の手にすっぽりと丁度良く収まる、四指一体型の白い手袋。
望めば、目の前で糸が解かれるようにして五本指型にも変化するだろう。
とてもふかふかな手触りで指先から全身を暖めてくれる。
手袋で繋いだ相手の手にも、貴方の温もりが伝わりますように。
▽特殊入手
【春/「花見る兎」「春衣屋の仕立て屋見習い」】
【夏/「願いを叶える星の子の話」「夏蛍に灯り道」】
【秋/「注文の多いお客様」「秋色森の図書館より」】
【冬/「ゆきと道連れ」「白雪下のかくれんぼ」】
上記シナリオの「春」「夏」「秋」「冬」の内、
其々の季節のシナリオを1つずつクリアした探索者に限り、
アイテム「
四季の彩り」を入手出来ます。
既に入手した探索者であれば、下記リストからひとつ入手して構いません。
(※今回「四季の彩り」を初めて入手する探索者でも、入手後に選択可)
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星の呼び笛
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青空流星ロケット
・
生まれた縁を大切に
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渡り辿りし玉手箱
・
叡智の宝珠
・
開闢の宝珠
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景色の衣替え
・
魂心の終着点
・
仮宿のすゝめ
・
私の記憶とあなたの夢
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