南野 海
◆陣営 : Evil
◆名前 : 南野 海 (みなみの かい)
◆性別 : 男
◆年齢 : 15
◆身長 : 157cm
◆ステータス
【HP/1(+16)、攻撃/6(-1)、魔適/9(+1)、耐久/2(+7)、魔耐/10(-2)、敏捷/5(+20)】
◆装着スキル / SP : 300(+410)
◆
個人ページ
少し柔らかめの髪質である飴色の髪に、パッチリと開かれた瑠璃色の瞳。
一部だけ長く伸ばした後ろ髪は赤い女性ものの結紐で一括りに結んでいる。
結紐の結び目には短い赤のリボン紐が絡められているようだ。
基本明るく上向き加減。その視線の先は良く移り変わり、ジッとしていられない。
まだまだ少年らしい、幼げな顔立ち。
常に何処か楽しそうに口角があがっている、わらっている。
そう思いきや怒ったり、無駄に悲しんだり、表情はコロコロと変わり後を引かない。
歳上には敬語、同年代や歳下にはタメ口を使う。
歳相応には思えない、賢さを感じるかもしれない。
時に、まるで幽霊のように曖昧な存在の虚ろさを感じる。
そうしている時、そうしたい時、瞳に力はなく光も見えていないのだろう。
他人の不幸は蜜の味だ、けれど、自身にとって其れは溝の泥にすらならない。
何をしたいのかも、するべきなのかも分からない。
灰色の空しか見えない、空虚なモノ。
記憶を無くしていることに関してはどうでもいいとさえ思っている。
記憶は消えても、"今更何を無くしても変わらない"という虚ろな感覚は残ったままだ。
◆返還記憶-----
綺麗なところも汚いところも。
何かをしても何もしなくても。
終わる、終わる。おわった。
"終わり"は何時も呆気なく、
それでも、遺される呪いだけを楽しみに選んでいた。
『"もういいよ。もう、いいよ。俺は、終わっていいんだよ"』
『"でも、願わくば、そう、"』
『"どうか貴方に、生なる地獄が、現れますように"』
嘘つき狼は、しにました。
放った銃音の音までを一言に詰めて。
空いた穴を句点の代わりにした。
………………………。
…した、よね?
…あれ、
また、
しくじった、かな。
僕は、皆様の"殴られ役"です。
殴られ、詰られ、罵られる為だけに生を受けました。
日に数度ばかりそうした役目をこなしています。
でも、それでも皆様の怒りは過ぎないようなので、僕も、僕を殺す事にしました。
頭の中で、僕は幾度も"僕"を殺します。
殴って殺しました、蹴って殺しました、焼いて殺しました、斬って殺しました、貫き殺しました、引き摺り殺しました、括って殺しました、吊って殺しました、絞めて殺しました、沈めて殺しました、感電させて殺しました、もいで殺しました、千切り殺しました、埋めて殺しました、抉って殺しました、裂いて殺しました、犯し殺しました、茹でて殺しました、炙り殺しました、投げて殺しました、削って殺しました、落として殺しました、打ち殺しました、感電させて殺しました、中毒で殺しました、刺して殺しました、撃って、殺しました
喉から股まで縦に引き裂いて、
一つ一つお腹の物を引き摺りだして、痙攣する様を楽しみながら殺しました。
少しずつ首を絞める手に力を入れて、
魚のように漏れ出る泡をぼんやりと眺めながら笑みを浮かべて殺しました。
適当に引っ掴んだ薬剤を残さず胃へと流し入れて、
毒が身を侵し暴れ狂う其の様を傍らで見届けながら殺しました。
でも、こんなものすらもまだ、甘いというのでしょう。
だって、元凶は、まだこうして生きている。
体の全てが健康体で、五指の先まで何処にも痛みすら無い。
だから、僕はずっと待っている。
誰かが、ついに、僕を殺してくれる日を。
60000通りにも及ぶ其の何れかで、此の戒めを手にかけてくれる事を。
ずっと、待っている。
ずっと、ずっと、
……ずっと、
一歩、二歩、三歩…、
十には満たぬ歩数で行き着く四方の壁が、与えられた世界。
高い柵塀の壁がこの離れと外との境界を囲む。
縁側から臨める小さな庭には愛らしい花が咲いている。
片隅に植えられた小さな樹に咲く花の名を、僕は今でも知らない。
枝に止まる見知らぬ鳥は、良く仲間と一緒に歌ってくれた。
高い壁の向こうからは、未だ姿も見たことのない幼い"弟"の笑い声がする。
弟の母は、愛しそうに子をあやしている。
音を立てないようにして、静かに其の声を耳にしていた。
僕の隣に誰かの音が響くことは無い。
春、夏、秋、冬、春、夏、秋…、冬、
変わる花と変わる鳥を見て、四季を見送った。
広がる空だけは、いつ見上げても、余り変わらなかった。
一度も口を開かなくても、生きていける部屋。
一度も目を開かなくても、生きていける部屋。
そうして、僕は生きていた。
生きている、…だけの僕だった。
何時からか、役立たずの僕にも出来る"役割"が与えられたけれど。
其れは、また別のお話にしよう。
赤だ、
赤い。
赤。
赤。
血のように赤い泡が、人間の口から漏れ出している。
真っ白な石鹸のような清潔さはどこにも見当たらない。
跳ね飛ばされた食事の器が辺りに転がって、
姉さんに叩かれた手も赤く色づいて、後からじんじんとした痛みが追いかけてくる。
普段なら身を竦ませてしまいそうな怒声や、頭を痛ませるような悲鳴が周囲に響いてる。
死んだ、死んだ死んだ。知らない人ばっかりだ。
本当に殺したかったのは、僕だったのだろうか。
そうなんだろうな、きっと。
ごめんなんて言っても、聞かないだろうな。
…でもさ。
僕、決して"嫌"じゃないよ。君達のそういうところ。
本当だよ、だって、………。
全ての始まりは、タン、と響く小さな音だった。
産声ほども続かない其れは余りにも一瞬の音で、
僕が何度瞬きを繰り返しても何が起こったのか分からなかった。
ただ、傍に控えていた貴女だけが、
立ち上がりかけたような中途半端な体勢のまま畳の上に上半身を崩れ落とした。
ぴく、ぴく、と彼女は動く。
まるで。
…なんだっけ。
あ、そうだ。
死にかけの虫の、其の様相にとても良く似ていた。
庭にいた、誰かに踏み潰された蟻のように身じろぎをして。
小さな痙攣は断続的に続いていたけれど、それも直ぐに収まった。
そうしてから、えっと…どうしよう。僕はようやく、彼女に触れる。
軽く揺さぶっても、彼女はもう動きを見せる事はない。
僕は、名前を呼んだ。
「…、亜紀姉?どうしたの?」
…何処か懐かしい、"普通"の夢の中で出会った二人の声は、確かに届いていた。
君を殴った手は、痛かった。
でも、君はもっと痛かったんだろうな、ごめんね、ごめん。
貴方を退けた声は、諦めていた。
でも、貴方は諦めなかったんだろうな、ごめんなさい。
本当に、誰かが来るなんて、本当に、思っていなかったんだ。
こうして、後から記憶が戻る事もあるって事、可能性としては知っていたけれど。
よりにもよって"忘れて"と願われた、願った言葉を、思い出してしまうなんて。
…、嘘になってしまったね。
でも、僕が発した全ての言葉は、確かに、本当だったよ。疑わないで。
約束通り、此れを"縁"とは、しないから。
何時もどおり、僕だけの中に閉まっておこうね。
椅子に掛ける貴方は、一冊の日記帳を膝の上に乗せていた。
「海君、人を操るにはどうすればいいと思うかな」
新緑を思わせる瞳は、ひたすらに文字を追っている。
「僕には分かりかねます」
「はは、つれないな。君も」
答えを放棄して待機する僕に、彼は柔らかく微笑むのだ。
「何も、難しい事は無かったんだ。
恐怖も、痛みも、愛さえも今は必要無い。
都合の良い"目的"さえ拵えてやれば、それだけで人は充分なのさ」
その日記帳一つで、かつて幾人もの生が狂ったのだろう。
人が一人省かれるだけで、どれだけの人が困るのかも分からない。
「さて。次は何をしようか、海君」
「王様のやる事に、口を出してはいけませんよ」
僕はただ、彼に対して微笑むことを選んでいる。
主は仰いました。
「×にたいのなら、×ねば良いじゃあないか。」と。
言われた言葉の内容をまともに理解出来ていない、
長年口にも出来なかった"その方法を知らなかった"、
諦めていた、だから、それ程の衝撃を受け止めるのに時間がかかった、自分を見て。
貴方は可笑しそうに、笑ってる。
「どうして?どうしてそんな顔をするんだ、海君。
君はタダの道化人形かもしれないが、
自分で糸を断ち切ってしまえば良かったじゃあ無いか。
そんな簡単な方法を、誰も教えてくれなかったのかな?」
クスクスと小さく漏れる笑い声は直ぐに止んで、
おいで、と優しい声で其の足元へと僕を誘う。
密やかな蜜事のように貴方は囁くのだ。
「×にたいのなら、×んで良いのだよ」
囁く。
「理由が無いと言うのなら、その為だけに役割もあげよう」
「君がそう想うだけの理由も、境遇も、感情も。僕には、僕だけは理解してあげよう」
「君の尊い命一つが、失われる事を赦し、許してあげよう」
「此処まで、良く頑張ったね」
「いい子だから、後少しだけでいい。頑張ってね」
純粋な生娘であれば、錯覚してしまいそうな程に優しい声音だった。
甘く誘う手つきであった。
嘘つきめ。
でも、嫌いにはなれないから。
僕は脳裏で唾を吐く。
…其の言葉を僕に告げてくれる人が、貴方じゃなければ良かったのに。
彼女が体を動かした為か、綺麗な黒髪が揺れる、瞳に其の色が強く色づく。
黒髪が頬にかかる、結わえた紅いリボンが重なる、瞳に其の色が強く色づく。
部屋に現れた彼が取り出した其れから、庇うかのように愛しい彼女が遮る。
射線が消えて、そして、でも、待って、僕は、…"私"は、
"嫌だ"。
大好きだから、死んで欲しい。
大好きだから、離れて欲しい。
でも、こんなものは、"いやだ"。
「…………っ!」
いやだよ、
姉さん、待って。
音より反応より早く咄嗟に動かした体は、今更意思を持っていた。
瞬間的な、刹那。
伸ばした手は、
届いた筈なのに、
あ、れ、
タン、と音が小さく響いた。
終わる、終わっていく。
"おわった"まえの、終わる跡のような。
海の中に、沈んでいくみたいな。
" "の中に、呑まれていくみたいな。
これは僕だと思いますか?
いいえ、違います。
これは、"死"です。
"死"に向かって、最期に"僕"は笑顔を向けてみました。
かなしみを向けてみました。
怒りも向けてみました。
楽しみも、底にあったかもしれません。
僕は最期に、"嘘"を"憑"かせてみました。
僕は、俺は、僕は、
貴方達も"嘘"が"憑"けるように、願いました。
僕は。俺は。僕は。
『嘘憑』の願いが叶ったところで、
物語はきっと、おわったのでしょう。
自分より大きな父様の手が僕の手首を強く握る。
僕も、成長すればこのような手になるのだろうか。
伸びた髪が少し鬱陶しく首に絡まる。
そろそろ、綺麗に切り揃えて貰わないとな。
他愛のない会話も許されず、関連の無い思考もやがて霧散する。
肉が絡まる音と、粘液が泡立つ音、皮膚が引きつるような痛みと、ゴムの匂い。
逃げようとする快楽を必死で追いかけて、刺激に背筋を伸ばす。
悲鳴は飲み込まず素直に出して、仕置を受ける。
惨めに、浅ましく、だらしがなく、弱者でいて、
僕がそうだと、胸がスッキリするんだって、
だから、そう、父様を怒らせないように、
すこしでも、よろこんで、もら、え、たら、なぁ………………………、なんて、
終われば、頭がぐちゃぐちゃだ。幼い思考で考える事もダメだった。
何かを考えていたのかもしれない、そうでもなかったのかもしれない。
気が付けばいつも涙の後を拭って、始末の余韻に息を乱していた。
誰かが行為を知っていれば、"支配"とでも名前を付けたのだろうか。
…いいや、これは、ただの、そう、普通の、接触なんだと思う。
此の国、此の世界は"創造主"という者が作ったらしい。
神にも等しかった、其の人。…今は、何処にも居ない。
歴史は物語は長い年月に埋もれて、遠く彼方へと過ぎ去ってしまったけれど、
其の血脈は受け継がれてきているのだとか。
此の身体には、特に強く。
此の国を統べる"王"と成り得るかもしれない血なんて、
俺なんて物に与えられるべきでは無かった。
……………………許される事なんて、決して、無かった。
春の、暖かな空気だった。
名も知らぬ花々は咲き誇り、姿も見えぬ鳥達はさえずり歌っている。
変わらない、日常の中だった。
「けっこん?」
僕は首を傾げて、貴女の言葉を反復する。
「ええ、坊ちゃん。結婚、です」
「といっても、私、まだお相手の方の御顔も拝見したこと無いのですけれど」
少しだけ頬を染めて、困ったように笑う。
「それって、どういうことなの?」
「結婚って?」
何も分からない僕には、何処か楽しそうな声に聞こえて、興味を持ち身体を起こす。
貴女はどうしてか、眉を下げて微笑むばかりだ。
今なら、彼女のその仕草が、悲しがっていた、と、見えるかもしれない。
「…その頃までには、坊ちゃんと共に、海を見に行きましょうね」
愛しい貴女の横顔に、最後が近づいてくる。
……………………、誰も止められなかった。
"3" 中途半端な数字、完成されない数字、淘汰される数字。
浮かんだものは。自分をも含めた血の繋がらぬ【兄弟】のこと。
『選んでね。僕か、兄か』
『選んでね。どちらを残すか』
『1+1+1=3』
そのままであれば、一人だった其の場所に、僕が紛れ込んでしまった。
そう、悪いのは僕だったというのに。
どうして、
『3-1-1=1』
先ず、彼が死んで、そして、僕も。
…………取り残された1の顔なんて、想像もしたくなかった。
其れでも、好きだったよ。
伝えず終えた、僕が悪い。
暖かな陽だまりの中に居た。
日がな一日中、殆ど何も考えずに眠っていて。
黒くて細い身体は沢山のお日様を吸うから、気持ちが良くて。
数日食べなかった身体はもう、骨と皮ばかりの薄汚いものになっていた。
泥が跳ねた毛並みを整える元気も無くて、
小さく腹を上下させて、ウトウトと、眠りに落ちようとしていた。
「ねこちゃん」
日が陰る。誰かが、僕の傍にしゃがみ込んだんだ。
こんなものに触れようとしてくるから、遺る力で引っ掻いた。
毛も生えていない君の変な色の手には、赤い三本の傷が残った。
茶色の毛が視界の端に見えたのを最後に、瞼を閉じる。
また、お日様の暖かさを感じるようになったけど、その"気配"は、ずっとそこに居た。
……あぁ、本当に、暖かいんだな。
僕のお終いが、こんなに暖かくてもいいのなら、
…もう、いいや、
あの人が、指を振れば。
それだけで大勢の人間を動かす事が出来た。
蟻の中の女王のように、
壇上で音を動かす指揮者のように。
人を虜にする蠱惑的な表情で、笑う、笑う。
あの人の前に傅く人達に混ざって、僕も心を地べたに擦り付ける。
次は、何処で動けばいいのか。
指示を頭に埋めて貰いながら、ぼんやりと考えた。
幕間は、まだ長く続いている。
始まらないまま、終わる為の計画を聞いていた。
……あの人と同じ顔で、そんな表情をしないでよ。
…………、
之は、もう、遅い、幕引き後の、独り言。
……。
………。
死にたくなかった。
君の笑う所を、未来を見てみたかった。
隣に居たかった。
僕が悪いだなんて、言われたくなかった。
誰かを幸せにしてあげられる、そんなモノに生まれたかった。
『独りになりたくなかった』
『自分のせいで、死ぬ誰かを生みたくなかった』
『あなたの所為にしたくなかった』
『生きていたくなんてなくなった』
『死にたくなった』
『みんなに生きて欲しかった』
僕が悪いんだから、もう、仕方なかった!
『私が悪い事にしていいから、もう、悪く言わないで!』
たすけてよ、
たすけたかった
もう、何も、言いたくない。
差し出されたのは、小さな壺。
中には、沢山の灰色の砂のようなものと、小さな石の欠片のようなものだけが入っていた。
彼は、酷く、酷くやつれていて。
目の下に目立つクマを作ったまま、泣き腫らした目に暗い光を宿していた。
僕は、"ソレ"が何かなんて、検討もつかなくて。
手を伸ばして、中の"石"をひとつまみして、言った。
「……これ、なんですか?」
息を呑む声が微かに聞こえて、
其れでも、抑えきれなかったのだろう憎悪と激昂のうねりが、暴力となって僕に降り掛かる。
砂がばら蒔かれて、足にかかる。
強く叩かれた頬の痛みに思考が追いつく暇もなく、胸元を強く掴み掛かられた。
苦しくて、息を吸う。
「"亜紀姉さん"だ……!コレは、俺の、姉さんだ……!!」
「お前が、お前の所為で死んだ姉さんだ!!!!」
「巫山戯るな、巫山戯るなよ、お前、姉さんが、こんな姿になって、」
「お前の所為で、お前の……っ!」
彼は、泣いていた。
「お前が、お前が×ねば、×んでいれば、姉さんは……っ、」
「…ぁ、」
死ななかったのに。