クラーマレ
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◆陣営 : Justice
◆名前 : クラーマレ
◆性別 : 男
◆年齢 : 約27歳
◆身長 : 178cm(+5pヒール)
◆体重 : 65kg
◆血液型 : 不明
◆ステータス
【HP/5(+10)、攻撃/10(+17)、魔適/9(+31)、耐久/1(+5)、魔耐/3(+12)、敏捷/9】
◆装着スキル / SP : 300(+550)
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個人ページ
◆概要
巻かれ、独特な形に結われたくすんだ色味の金髪。
アメジストを思わせる紫色の瞳は決して目つきがいいとは言えず、四白眼気味。
だが持つ雰囲気ゆえか、どこか柔らかい印象を与えることが多いようだ。
27歳という年齢にしてはどこか言動が幼く、知識にも偏りが見られる。
穏やかで底抜けに優しい、善人という言葉が似合う、そんな性格。
ときどき大雑把な面を見せるが、それが一番素の性格なのかもしれない。
仕草は男性的、女性的、子供的であったりとまちまち。
オネェ口調だが切羽詰まったりすると中性的な口調になることがある。
明るい声を好み、悲鳴や怒声が苦手。
人とおしゃべりすることが好き。
演技は得意なようだが、長く続けるとストレスを感じる。
一人称「私」(「僕」)/二人称「あなた」「君」
「私はクラーマレっていうの。よろしくね?」
「冷たい音もいっぱいあったけど、今は温かい音がいっぱいだわ」
「わ、私、何かしちゃったかしら……」
「えっと……あの……手をつなぎたい、な……って……だめ?」
失ったのはエピソード記憶のみのはずなのに
ファミリーネームが思い出せなかったり自身の年齢があやふやだったりする。
おそらく元からの性質なのだろう。
何が起きても平常心でいることが多く、
もしかしたら記憶を失う前は劣悪な環境にいたのかもしれない。
が、本人は至って気にしていない。
思い出すことに関して期待も不安も無く、なるようになるでしょ、と思っている。
同じように記憶を失っている皆の支えになれたらいいと思っている。
◆返還記憶による変化
底抜けの善人のような心と、それに見合わない大きな罪の意識を持っている。
自分は死ぬべき存在だという自覚、元の世界に死が待っている可能性の大きさ。
それに反して彼は強く生きることを望んでいる。
皆とともに笑って生きたい、それが彼の「わがまま」。
いつか帰るそのときまで皆の支えであれたなら。そう思わずにはいられない。
人を傷つけることに強い抵抗があり、酷いとトラウマのフラッシュバックに襲われる。
自己肯定ができず、自己犠牲が目立っていたが、人との交流によって治ってきた。
今では人に頼ることを少しずつ覚え、精神面のいびつさが解消されつつある。
おおまかな記憶が揃ったゆえか、記憶返還にともなう不安定さはだいぶなくなっている。
◆返還記憶-----
クラーマレの脳裏に断片的に、虐待されていた記憶が浮かぶ。
そして能力が発現し錯乱していたこと、
錯乱が酷かった頃にある少年に出会ったことも思い出す。
その少年から赤い石のブローチをもらったのだ。
だが、その少年について思い出そうとすると空を掴むように遠く霞む。
あの少年は誰だろう。
ブローチの石は今、彼(女)のピアスとして鮮やかに輝いている。
どうして皆と同じようになれないんだろう。
どうして私は化け物なのだろう。
生まれ持った力が私を縛る。
ただ居場所が欲しかった。
人と同じように過ごしたかった。
だから与えられたこの居場所を守りたかった。
それだけだったのに……私は多くの人を傷つけた。
ああ、もう、戻れないところまで来てしまったんだ。
償いきれない罪を私は生み出した。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
どうか私を、許して。
幼い少女の身が目の前で崩れた。
赤を撒き散らし、それはただの物になった。
私は叫んだ。悲鳴が自分への凶器となることなどどうでもよかった。
ただただ少女を喪うことが怖かった。恐ろしかった。
全てに見放された私を、唯一私自身を見てくれた彼女。
いつも私の手を引っ張ってくれた、強くて優しい女の子。
誰かが嘲笑った。「あなたのせいですよ」と。
私のせいで、喪った。
私は意識を手放した──意識が途切れる寸前、温かい手が私の手に触れた気がした。
ああ、この温もりの正体を私は知っている。いつもと同じ、あの子の手だ。
……あの子は死んだ、はず、なのに?
それはあまりにのどかで穏やかな光景。
皆でお茶会を開いている。どこかの屋敷の庭のようだ。
そっくりな顔を持つ双子の青年。
そんな彼らを慕うように集まる“仲間たち”。
「化け物」で「罪人」な私には似つかわしくない光景。
衝撃だった。私がその場にいることが。
そして、もうひとつ。
「クラーマレ、お茶会、楽しい?」
いつかの記憶で失ったと思った姿が、
死んだと思ったあの女の子が、記憶の中の私と楽しそうに手を繋いでいる。
「ふふ、とても」くすくすと、今の私と同じ格好をした“私”が笑う。
「少しは馴染めたかい?」
黒い貴族服に身を包んだ双子の片割れが“私”に声をかける。
「それなりに、かしら」肩を竦めて青年をみやる。
「わがままを言ってくれても構わないよ?
君たちにはこれからも働いてもらうことになるし。
それに……僕は叶え屋だからね」くす、と黒い青年が微笑んだ。
「うーん……十分甘えさせてもらってると思うんだけど」“私”は苦笑を返した。
そんな、平和な時間を送っていたときだった。
「あら? ……あれ、何?」“私”が何かを見つけた。きらりと、小さな光。
“私”は女の子の手を離し、黒い青年が止める声も聞かずに、
その光を調べようと近づいた──
しくじった、と思った。
私はなす術もなくその場から逃げ出した。
「殺される」そう思った。
ああ、彼はなんて恐ろしい目をしているんだろう。
なんて冷たい目をしているんだろう。
どうして、彼は怒っているんだろう。
私は何か悪いことをしたのだろうか。
頭が痛い。痛い、いたい。
──どうして、こんなことをしているんだろう。
それは唐突な自覚。夢から覚めた愚か者。
私は罪を犯した。
私を傷つけたあいつらと、同類になってしまった。
怒り狂った黒い青年が抱えた、仮面をつけた白い青年。
怒るのは当たり前だ。私があの白い子を傷つけたんだから。
どうしてそんなことをしてしまったのか。
「あら、クラーマレ。顔色が悪いですわよ?」
軽やかに、その女性は目の前に現れた。
──そうだ、この人が、こいつが、私を。
「大丈夫ですよ。あなたは何も考えず、
私の手足となってくださればそれでいいのだから」
──こいつが、私を、操って、
そこは、私の知らない“世界”。
身に馴染んだ石畳の道や煉瓦作りの建物は
そこでは珍しいようで、大きな石のような建物がたくさんあった。
「ビル」というらしい。
他にも緑黄赤のランプやしましまの線。
「信号機」に「横断歩道」……どれも“里”では見ないものだ。
「響」
「……」
「ひーびーきー?」
「…………」
「……クラーマレ、」
「え?」
小声で呼ばれた名前を私の耳は綺麗に拾う。
反応を示すと、軽く頭を叩かれた。いたい。
「なにするのよ!?」
「何するのじゃないって。君は今“九良響”なんだよ?」
「……あ」
黒い青年に言われたクラヒビキという名前。
そうだ、ここは“外”だから日本名を名乗らなきゃいけないんだ。
「もう、君からも何か言ってよ」
「……響は、ドジ」
「う……」
何もそこまで言わなくても、と女の子をじと目でみやる。
「折角の休暇だけど、その辺の気は緩めないでね?」
「……了解」
「りょうかい」
「二人して堅苦しいなぁ……まあ、いいけど」
黒い青年はこほん、と咳払いをした。
「目指すはこの地方で有名なテーマパーク! 遊ぶよー!」
青年は楽しそうに駆けていく。
そういえば彼もテーマパークとやらにちゃんと入るのは久しぶりだと言っていたっけ。
「……楽しもう」
「ええ、そうね」
三人で行ったテーマパークはとても楽しくて、
こんな時間がこれから先の日常なのだと思うと、言い様の無いよろこびを感じたのだ。
何もかもが遅すぎた。
すべて、すべて、間違えてきた。
挫けて、折れて、何も残りやしない。
──だからこそ。
「私はもう、間違えたくない……間違えない!」
絡繰糸を千切り捨てる。滅茶苦茶な拒絶。
無理な拒絶は、きっと今の私では耐えられない。
恐らく私は壊れるだろう。
だけど。それでも。
例えこの心が壊れても、この体が壊れても。
最後でいい。今だけでいい。
もう、失いたく無いんだ。
悪に染められた人形は、ノイズを奏でて人形使いに牙を剥く。
「悪意」はそれを許さない。
大切なものにせまる死の音。
彼は守ろうと自身を盾とする。
大きな衝撃が、彼を襲った。
炎が舐めるように街を覆っていく。
燃える赤が黒い空に眩しい。
なんでこんなことをしているんだっけ。
悲鳴が、怒声が、痛い、いたい。
音が溢れている。いやだ、そっちには行きたくない。
体は勝手に動く。動かされる。
なんで。どうして。
私の手が、目が、勝手に力を振るう。
また悲鳴が聞こえる。
いやだ、傷つけたくない、いやだいやだ、なんで。
ごめんなさい、いやだ、ごめんなさい、違う、こんなことしたくない。
もう、力を使いたくない。誰か、誰でもいい。
誰か私を助けて。
──僕を殺してくれ。
背後で少女のような女性が、いびつに笑っていた。
「お人形はお人形らしく、あなたの最期まで私を楽しませてくださいな」
私は周りに恵まれた。
優しい仲間に囲まれて、居場所をもらって。
そのきっかけを作り出してくれたのは、
間違いなくあなた。
黒い道化のような衣装に身を包んで、
炎のように熱い思いを持って、
あなたは私に微笑んだ。
愛する仲間、ユメト・クラウニー。
私を救いだした、黒い青年。
「今度歓迎会しないとなぁ。ね、クラーマレ?」
私をまるで、「当たり前」のように光へ連れ出した。
私はその光に、少しでも釣り合えるだろうか。
──自身の“今の”上司、ユメト・クラウニーに関する記憶。
私は罪人で化け物だ。なのに、どうして。
「もう大丈夫」
「ここが今日から、君が住む場所だよ」
「君が望んでくれるなら、ここはいつだって君の居場所だ」
黒い青年が。白い青年が。
代わる代わる、私に言葉を投げる。
「「ようこそ、クラウニー家へ!」」
私はここに居ることを許された。
生きることを許された。
私は、生きていていい存在じゃないのに。
嬉しかった、だから。
居場所をくれた人たちに。温かい仲間たちに。
少しでも何かを返したくて、報いたくて、必死で。
だけどやっぱり、私なんかがそこにいていい理由がわからなくて。
理由が欲しくて、私なんかどうでもよくて、だから。
だから私は“私”を捨てて、全て周りのために。
なんだ、私は生きたかったのか。
それで理由を、死ななくてもいい理由を、
存在してもいい理由を、作ろうとして。
なんて、滑稽なんだろう。
こんな私でも、どうか、
ここに在ることを許してくれますか。
動かない体。霞んだ思考。
私はまるで捨てられた人形のように、言葉を話すこともできない。
「クラーマレ、」
だからあの子の声が聞こえても。
私は言葉を返さない。返せない。
私の体は私の意思を映してくれない。
あの子のぼさぼさの髪が視界に入る。
「クラーマレは悪くないよ。悪いのはあいつなんだから」
拙い言葉が私にかかる。
「……泣かないで」
あの子の大きな赤い目が、私を見つめる。
「絶対、助けるから」
それは、一方的な約束。
私は止めることもできず、立ち去るあの子を捕まえることもできず。
ただ、静かに涙を流していた。
花畑、青い空、涼しい風と柔らかな日差し。
ここはどこだろう。
いつもの癖で耳を澄まそうとして、拾える音が少ないことに気付く。
ああ、そうか。これは夢だ。眠るときに見る、あの夢。
だけどここまで穏やかな夢は久しぶりに見た。
悪夢を見ることが多かったから。
さく、と地面を踏む音が後ろから聞こえた。
振り返ると、優しい笑みを浮かべた女性が一人。
薄い茶色の長い髪に、深い翡翠を思わせる緑の瞳。
『あの子たちに明るい未来を忘れないでいてほしい。――あなたも』
そこで夢は途切れた。
後からユメトに話したら、泣きそうな顔をして教えてくれた。
「その人は僕の、ずっと昔に亡くなった母様だよ」と。
私は罪人で化け物だ。
誰かに愛されることも認められることも、望むなんて馬鹿げている。
そうは思っていても、考えていても、きっと心のどこかで望んでいたんだろう。
だから、あなたの存在を、ほんの少し希望に思ったのかもしれない。
黒い瞳で私を見るあなたとの時間は、私のとって普通でいられる、
罪人という縛りも、化け物という枷もない――夢のような時間だった。
この時間に、終わりが来なければいいのに。
仕事だというのに、そんな不謹慎なことを考えながら。
現代的な町並みの中、私は、僕は、「九良響」として、笑った。
私が生まれた場所は「魔霊の里」と呼ばれる場所だった。
そこは少し変わった人間たちが住まう隠れ里。
長い歴史、というほどなのか分からないけど、
この里は私が生まれるずっとずっと前からある。
不思議な力が、道具が、里の生活を支えている。
中には「貴族」と呼ばれる人たちもいて……。
里の中心にある時計塔にいつか登ってみたいなんて、
子供みたいなことを考えていたっけ。
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「魔霊の里」に関する歴史、言語、大まかな街並み、種族、文化、
および魔法とは別の「スキル」に関して、記憶とともに知識として蘇りました。
ここで見られる楽器は一通り触れているけれど、僕が一番得意なのは笛だ。
笛を吹く、澄んだ高い音を青空に飛ばすようにして「私」は奏でる。
でも、僕が得意なのは楽器に限ったものじゃない。舞もまた、得意なものだ。
煌びやかな着物と化粧をして、扇を手に。
ひとつの娯楽、遊戯、甘楽の家に相応しくなるように、華やかに鮮やかに「私」は舞う。
だけど、こういう場に出れば否が応でも人の目を、声を、聞くわけで。
「(ああ、嫌な目)」
瞳の紫が深く滲む。この目は、この耳は、どうにも人の心を読みすぎる。
自身の感情を飲み込み、「私」はほほ笑む。
「私」がどれほど空虚でも、甘楽らしく華やかであれば関係ないのだろう。
──それでも。
「音刃」
聞き知った声にそう呼ばれて、「私」は僕になる。
「ああ、見に来てたのか。言ってくれればよかったのに」
緩んだ顔で、僕は笑った。次の舞は、少しは心を籠められるだろうか。
扇を手に取る、ひとつ息を吸う。
僕は舞う、静かに、凛と。
舞を終えて、僕はその人のところへ行く。
いつものようにそこにいてくれる、生きてくれている。そのことに僕は安堵する。
僕が僕でいられる場所。
この場所を失わずにいられるなら、この場所で僕の音を、舞を、魅せられるなら。
僕なんかを見てくれる君を、失わずにいられるだろうか。
僕はそれが不安で仕方ないんだ。
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いつかの記憶、遠い記憶。「甘楽ノ祝 九良響・音刃」の記憶。
これは私の罪なのに。
私のせいであの人は死んだのに。
守るべき力が無いなら引き受けるべきじゃなかった。
あなたのせいじゃない、私の、私のせいなのに、
「いっそ全て、何もかもを私のせいにしてしまいなさい」
違う、どうしてそんなこと言うの。
私が背負わなきゃいけないのに、どうしてあなたが。
「ごめんなさい」あなたに背負わせることを、どうか許して。
自分で背負えない私を許して。
「変わった体質だな。……いや、気付きにくいからこそデータが少ないとも言えるが」
金髪を揺らし、赤い瞳を細めて、男性が私を見つめる。
「使いこなせれば便利だろうが……一歩間違えれば、死ぬぞ」
煙草をくわえて、彼は私を見つめた。
私はくす、と笑みを浮かべて、言い放った。
「それで誰かのためになるのなら」
目の前の彼が顔をしかめる。私は何かおかしなことを言っただろうか。
「……お前はそのうち、誰かを傷つける」
「え、」
「どうしてこうも、あの家には厄介なヤツが集まるんだろうな」
はぁ、と溜息を吐いて、わずかに皺の見える目元を抑える。
「いいか、何かあったら僕のところに来い。下手な医者よりはなんとかできる」
「……ええ、分かったわ」
納得がいかないままに返事をする。
何にせよ、私のこれはきっと皆の役に立てる。
ああ、よかった、私にはまだ生きる理由がある。
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自身の特異体質について思い出した。