星歩き屋 リジェトワイル
星空をそのまま映したかのような布でかけられた大きな三角テントが立っている。
近くにいってテント布の表面を見れば、
その星星は本物のもののように明滅しているのが分かるだろう。
どうやら、このテントは定期的に開く個人経営のお店のようだ。
「星歩き屋 リジェトワイル」と書かれた
ブラックボードがイーゼルに立てかけられています。
中に入れば、広々とした空間であるのに何もない、空っぽな印象を受ける。
それも其の筈だろう、テントの中には
店員らしきローブを被った者が一人、他には何も見当たらないのだ。
足元には何やら複雑でとても大きな魔法陣が描かれている。
魔法に幾ら優れている者でも、パッと見で解読は出来ない程に
複雑な文様が組み合わされいている。数式のようにも見えるかもしれない。
「…!いらっしゃイ、いらっしゃイ!お客さんですカ?初めてですカ?」
探索者が中に入ってくれば、
店員は手に持つ大きな杖を軽く床につけ、声をかけてくるでしょう。
その言葉は何処かかたことで機械じみている。
此処は、まるで本物のような星空の中を歩いたり、泳いだり出来る仮想空間のお店です。
幾つか既存星は用意してありますが、現実にある星等も見に行くことができます。
探索者好みの星を自由に生やしても結構です。
そして、探索者が星空の中で気に入った星を見つければ、
その星を星球儀のように育てて観察する事が出来る"星の種"を持ち帰る事ができます。
星の種は探索者一人につき一つまでしか持ち帰る事が出来ません。
(持ち帰ってきた星の種は効果付きアイテムになります)
<店員台詞例>
「ハイ、星歩き屋デス。お一人ですカ?お二人ですカ?」
「ハイ、現在街から観測されている星空の仮想空間を構築してありますデス。
私、魔法陣からご案内している店の人デス。
中入れば、まるで宇宙を歩いているような重力感、
星星の中を歩く事が出来ますデス。癒し、というヤツ」
「ハイ、そしてお好きな星の種を一つ持ち帰って、自分だけの星を作る事が出来ますデス。
最初は小さな小さなミニですが、育てば星球儀のようになるマス。
そこまでなれば、専用の望遠鏡で観察して楽しむ事も出来マス。今ならセットでお得デス」
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仮想空間へと入室する料金は、
お一人につき綺麗な星の欠片一つか普通の星の欠片二つになります。
「ハイ、受け取りマス」
店員はお代を受け取ると、代わりに球型のガラス瓶を探索者へと渡す。
蓋はコルクで閉めるタイプのようだ。
「ハイ、気に入った星あれバ、その星から種をこの瓶で掬い取ってくるデス」
「"種"は星の中に入ればどんなものか一眼で分かるマス」
「帰る時は北極星まで戻ってきてくださいマス、其処出口デス」
店員が持っていた杖でカツ、と床を叩く。
…すると、魔法陣が発光した、と思った次の瞬間には
まるで水に落ちたかのように身体が真下へと落ちていった。
一時の暗闇と慣れない浮遊感、瞬きをして開いた先には、
どこまでも深い黒を下地にした、満点の星空の中に、探索者は浮かんでいた。
上も下も、右も左もない。何処へも行けないようで何処へでも行ける世界がそこにある。
感覚的にはまるで水中にいるようだ、と感じるだろう。
かきわけるように泳いだり、足を進める事で先へ進める。
どんな星を見たい、など具体的なイメージがあれば
周囲の星星が流星のように線を描いて、その星の近くへと連れていってくれるだろう。
…だが、忘れてはいけない。どんなに綺麗で美しても、それはまやかしの幻影だ。
気に入った星へと近づこうとすれば、
……貴方が思い浮かんだ星が、そのまま目前に広がっている。
近づけても、それは一定の距離までで。
一線を超えれば幻覚のようにすり抜けてしまう。
そのハリボテの星の中には、内から生まれ出すように淡い白色の光の粒子が溢れ出ていた。
貴方は直感するだろう。…きっと、これが星の種。源泉となりうる粒。
ガラス瓶にこの粒を拾っていけば、これは貴方の星となる。
種は一度に一つしか入れられないので、
他に星を見つけたら一度いれた種は放たなければなりません。ご注意を。
【既存星】
choiceで一つだけ選び、
その時間帯で一番綺麗に見える星だと探索者に開示して下さい。
例)「ハイ、今の時間は南のリンゴ座流星群がオススメなのデス」
※点線下記情報はクリア後に公開。
その星屑達は眩い程に燃えていた。
幾百もの流線が、まるで追いかけっこをしているかのように星空を走っていくのが見える。
光は赤や金、時には白、黄緑に色を変えつつも決して途絶える事はない。
それを眺め惚ける者の傍を
心地いい音を立てて過ぎ去る事もあるが、決して傷つける事はない。
やんちゃ盛りのような星屑達を捕まえるのには難儀しそうだが、出来なくもなさそうだ。
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◎効果
自動発動。
アイテム使用者は、自身へ向けられた
火/光属性の攻撃ダメージを半減させる事が出来る。
また、使用者が何かしらの"火"や"光"を発する物を併用して
「ヒーリング」を使用すればそれは其の手の中で、「癒しと再生の光炎」となる。
「ヒーリング」の回復値に+2d6を追加する事が出来る。
他スキル/アイテム効果とも併用可能。
"どれだけの傷を負っても どれだけの痛みを負っても 貴方は彼方へ走っていく"
其の形は、耳を真っ直ぐに立てた白兎のようであった。
少しずつ、それでいて実際は幾年も経過しなければ見えないのだろう、
些細ながらも時の躍動を感じさせる波を生みながら、星雲は闇の中に浮かんでいた。
色は白から淡い橙色へ柔らかくその身を、光を変化させていく。
傍へ寄れば、無音の中に無数の光が生む微かな温度を感じる事が出来るかもしれない。
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◎効果
セッション中三度のみ、宣言で効果発動。
効果のついていない"食物"系アイテムを口に含む/含ませる事で
-数値を無視し、HPの値を20回復させる。
その際、アイテム使用対象が「死亡」状態になっていれば状態異常が解除される。
"この身が焼けて爛れ朽ちても 貴方の口を満たせたとしたら"
其の星は金色と銀色の縞を自身の周囲へ渦のように漂わせた漆黒の地惑星だった。
ガスか、それとも他の何かか、星の地上では小さな爆発が頻繁に起きているようで
星の上に星空が広がるかのように、光が現れては消える。
爆発を中心に、漆黒の地は斑に色が変化しては、元の色に戻っていく。
耳が良いものであれば、光を見る度に、パチパチと心地いい弾ける音を聴くかもしれない。
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◎効果
セッション中、自身が「希望」または「絶望」を心に抱いた時に宣言で効果発動。
満たされる、心からそれ以外のものが押し出される。
既に取得していた感情スキルを全て破棄してから、
自身が感情スキルを取得していた全ての相手に
新たに感情スキルを2つずつ取得しなおす事が可能。
その際、破棄前に取得していた感情スキルをもう一度含ませ取得する事も可能。
"闇がなければ 光すらも見えなかった"
小さく、しかし鮮やかな色を持つその星は、水をたっぷりと湛えている。
揺らぐ水面と、揺らぐオーロラ。
星の一部にかかった鮮やかなカーテンが、この星の鮮やかさたる由縁だろう。
そうして、透き通るようなその星の群青の、内側から、外へ。
しずくが、落ちていくのだ。星の表層に向かって、波紋を広げながら。
ぽつり。閉じた蕾が開くように。あぶくが海底から空を求めるように。
あるいは、無駄だと知りながらもあがくように。
星の表層よりも外へは、けして行けはしないのに。
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◎効果
セッション中三度のみ、宣言で効果発動。
1d20以上の「水」に関するスキル/アイテム他の判定を行う時、
出目+-15の有利的補正を加えて良い。
または、上記効果を宣言しない代わりに、
セッション中の「水」に関する記憶の一部分を持ち帰って良い。
"見つめていれば、其の芯すらも青に染まるようだ"
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憩いの時間を終え、帰ろうと。北極星へ向かい探索者は歩いていく。
想えばすぐだろう、目の前に眩しい光が見えたと思った瞬間…、
・・・
・・
・
次に瞼を開けば、探索者ははじまりのテントへと足をつけていたことだろう。
ゆらりと、足元の魔法陣が微かに揺らめいた気がした。
「はい、お帰りなさいデス。楽しめましたカ?ウイ、それは良かったデス。
星の種はお持ちかえりデスカ?」
店員が変わらずに迎えてくれる。
星の種を持ち帰っていれば、店員は探索者から星の種を受け取ると
大事そうに包み、シンプルな黒色の紙袋にいれて渡してくれます。
星が浮かんでいない、始まりの宇宙の色だ。
「ハイ、承知デス。育成キットと小型望遠鏡も付属してありますデス。良い星ヲ」
紙袋を手渡せば、仕事は終わりと言わんばかりに店員はぴくりとも動かなくなる。
◆入手アイテム
「星の種」(※お好きな名称)
オリジナルであれば、フレーバー/効果はGMまたはPLが作成する事になります。
頑張ってください。
書物類等と同様に、事前使用アイテムとして使用する為、
ダンジョン内に持ち込まずとも効果は発揮します。
あえて持ち込む事も可能です。