柚井 瑞希
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◆陣営 : Justice
◆名前 : 柚井 瑞希 (ゆい みずき)
◆性別 : 男
◆年齢 : 26
◆身長 : 168cm
◆体重 : 60s台
◆血液型 : O型
◆ステータス
【HP/8(+10)、攻撃/7(+2)、魔適/10(+8)、耐久/7(+3)、魔耐/1(+6)、敏捷/10】
◆装着スキル / SP : 300(+230)
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個人ページ
「え〜っと、こんにちは。でいいのかな?
…その、わからないことだらけなんですけど、よろしくお願いします。」
顔立ちや体つきは東洋人のそれである。
やや癖のある黒髪に、目はぱっちりと少し大きめ、
実年齢より若く見られることもあるかもしれない。左目の瞼にはホクロがある。
身長は決して高いとは言えないが、
力仕事をしていたのだろうか、それなりにしっかりと筋肉はついている。
表情は豊かで、リアクションもそこそこ大きい。
争いを好まない温和な気性、お人好しな性格のためかよく人には振り回されているタイプ。
根は臆病で小心者なので、頼のもしい雰囲気はあまりない。
ちょっとしたことでたじろぐし、ビビる。
人とある程度は仲良くなるも、どこかで線を引き、
物理的にも精神的にも一定の距離を保とうとする。
そのためパーソナルスペースもさほど狭くはない。
記憶がないこと、よくわからない場所にいることによる心細さはあれど、
性格面には変化はみられない。
むしろどこか開放的な様で、距離を置く行動も現状ではやや弱い。
記憶を取り戻したいという思いもあるが、無意識に思い出すことへの不安も抱えている。
いつの間にか大事そうに手にしていた一眼レフのカメラを共に、彼の探索は始まる。
◆返還記憶-----
たのしそうに笑い合う両親。
差し伸べられる手に無条件に甘えて、幸せいっぱいだった幼い自分。
一人っ子だったから、両親に甘えるのが普通で、当たり前だった。
お母さんもお父さんも大好きだったし、彼らもまた自分を愛していた。
しかし二人は決めていた、別々の未来を選ぶことを。
「瑞希が大人になるまで一緒にいるよ。」
「今すぐじゃないから大丈夫。…でもずっとは一緒に入られないの。ごめんなさい。」
この告白を子供の自分には、うまく受け止めきることができなかった。
二人のことが好きだからこそ、どちらかに甘えることがうまくできなくなっていった。
彼らに愛されていたこと、そして幸せな子供時代に終わりがあることを知った。
そこにあるものを、この時を留めておきたくて、
ファインダーに目の前に"在る"ものを納める。
それは赤と青のグラデーション。それから…
"朝が来た"
カメラをおろした時、それとは対照的に日は昇る。
この空間に優しく響き渡るように、澄んだ綺麗な声が、はじまりと、おわりを告げた。
次の瞬間には告げられた通り、世界が光でいっぱいになる。
この光が好きだ。
どんなに寂しい夜でも、いつかは朝になるんだと教えてくれる。
だから、朝が好きだと応えたことに嘘はない。
けれど今日の朝は少し寂しい気持ちもできてしまったのを、
あなたにいつか伝えられるだろうか。
その時が来たら。また、いつか。
最初に意識したのは「女の子」みたいな名前だということ。だから名乗るのが未だに恥ずかしい。
それから使われている漢字も、仰々しいというか。
名前負けしている気がして、やっぱり恥ずかしい。
「それでも瑞希の名前、私は好きだよ」
「それに、綺麗だよ」
そう言って笑った君の方が、ずっと…。
その言葉を言うことなく飲み込んでしまった自分は、
やっぱりどうしようもない臆病者なのだと思った。
それは昔、共に時を過ごした彼女との記憶。
こんな俺の名前を褒めてくれた君の今後の人生が、幸せでありますように。
「カシャリ」
音とともに出てきたものは一枚の紙。
なんだろう? 不思議に思いながらそれを見ていた。
しばし見ていれば、紙には次第に色が滲みだす。
そしてそこに徐々に現れたのは、紛れもなく自分の顔で。
すごい、すごい、とはしゃぐ自分と、
それを嬉しそうに笑う父親と、その声を聞いて笑う母親の声と。
手渡されたその魔法の箱を手に、夢中で遊んだのはいつの頃だったろう。
それから何年も経った今もまだ、自分はこの魔法の箱を手にここにいる。
刹那の出来事を、押しとどめるために。
いつまでも、覚えておけるように。
そう願いながら、何度も、何度も、これから先も写真を撮るんだろう。
きっとこれは、『自分』のきっかけ、はじまりの記憶。
こころの底からの感動と、誰かの笑顔を作るたのしさを知った。大切な思い出。
「…カードを一枚、持っていくといいでしょう。きっと貴方への導きになりますから」
そう言われた時に、"自身の終着点"を現したカードが良いだろうと思った。
それが良い結果にしろ悪い結果にしろ、
人の生きるはずだった時間を奪ってなお今ある、俺の人生に"決着がつく"のなら、と。
けれど、目に留まってしまった。
「法王のカード」
俺の周りにいる人たち。
気が付かなかっただけで、本当はいつも気にかけてくれてた友達や、探偵所員の人たち。
この箱庭のような世界で出会った優しくて頼もしい仲間たち。
かけがえのない存在。
こんな俺にでも、大切を分け与えてくれる人たちの顔が浮かんでしまったから。
手を伸ばさずにはいられなかった。
「……そっか」
その声は、いつも聞いているようで違う響きのように感じた。
「今の俺の周りには、大切な人が沢山いる。
だからその人達を信じてみたいって、思うんだ」
だから信じてやってよ。
困ったように眉を下げて笑う顔を見て、少し気恥しくなった。
俺は今まで、こんな顔をして笑っているのだろうか。
「……うん。 信じたい、な」
鏡写しのように、目の前の笑顔と同じものを浮かべながら。
きっと彼らがそれぞれ抱く正しい決断の末に、
それでも共に笑い合える日があるかも知れない未来を。
信じたいと、願う。
痛みがわからない、と彼は言う。
そう零された言葉が耳に入るよりも前に、
彼の腕を伝う赤が目に入っていたものだから、その言葉を飲み込むまでは少し時間がかかった。
あまりにも痛そうで、苦しくて。
俺の、胸が、痛くて。
自分の事を「異常」だと、「排除すべき存在」だと、彼は言う。
淡々と、仕方のない事のように諦めきった表情で零す彼を見て、俺は思った。
彼はずっと、気づかないその胸の内でずっと、痛がっているんだろうと。
痛いのがわからないから、気づいていないだけなのだと。
臆病で、一人で抱え込んでしまう彼に。
誰かの面影が重なった気がしたのは、……気のせいだろうか。
形の定まらない、揺らいだ姿。
真っ黒な影そのものような彼が、人の姿をとろうと蠢いている。
自分と言葉満足に交わしたいらしく、
何度も練習しているのをおやつのホットミルクとカステラを用意しながら横目に見ていた。
おやつと言っても、今は深夜の3時。
彼はとっくに眠るべき時間なのだけれども、俺に合わせて起きていることが最近増えた。
「そのままでもかわいいのに」
そう言うと決まって、不機嫌そうな掠れた低い声が、途切れ途切れに否定の言葉を発する。
そこがまた可愛いのだけれども、言えばきっと怒るだろうから言わないでおこう。
本当は、君の昼間の姿だって知っているのだけれども。
こうして頑張って、俺とコンタクトをとろうと努力する姿は、どんな見目でも可愛く見えるもので……。
そういえば、とあったまったホットミルクに一つ。
木の棒の先にまん丸く固められたチョコレートの塊をそっと入れる。
持ち手を握ってそれをくるくるかき回していれば、
先ほどまでソファーの辺りで奮闘していた影が、匂いにつられてやってくる。
なんだろう? と言いたげに蠢く様がまた可愛い。
「今日はバレンタインでしょう」
この日の為に、館長にねだって買ってきてもらったホットチョコレート用のお菓子だ。
その事を告げると、ざわざわっと影が膨張して飛び跳ねるようにのたうち回るので、喜んでいるのだとわかった。
二度と朝には出会えないけれど。
俺にとって彼と過ごすこの時間が、昼間の陽だまりのようにあたたかくて、大切な宝物なのだ。
最初は、なんとなくだった。
父親が愛用している"それ"を手に取ったのも。
バレないように素早く、ポケットにしまい込んだのも。
悪いことだという自覚はあった。
少し震えた手で、火をつけて吸い込んだ煙は本当に苦くて、おいしいなんて微塵も思えなかった。
だというのに、繰り返して煙を吸おうとする自分がいることにも驚いた。
どうせ欲しい結末が手に入らないのなら、全部どうにでもなってしまえ。
そんな気持ちが後から後から沸いてきて背中を押すから、歯止めが利かなくなってしまったのかもしれない。
自分を痛めつけるように、煙を吸って。
誰にもバレないようにと、臆病な心で隠し続けたから、訴えたい相手に届くはずもなくて。
わかっていながら、子供の俺は、この愚かで矮小な非行をやめることができなかった。
みんなが部活を始める放課後、立ち入り禁止の屋上で煙をふかす。
一人で空を独り占めしてるみたいで好きだったから、そこで吸うのが習慣になっていた。
バレないように、いつも一本だけ。
その日もいつものように、こっそりと、平穏に過ごすハズだった。
がちゃり、扉を開ける音がした。
それは俺にとって、平穏が崩壊する音だった。
咄嗟に隠れた影から覗いて見えたのは、陽の光をキラキラと返す金の髪。
一目で目を引くその容姿から、彼が同じクラスの有名人の一人であることがわかった。
なにしに来たのだろう、バレたらどうしよう、とか情けない考えを巡らせながら様子を見ていたように思う。
その最中、彼は突然その身をフェンスの上に乗りだそうとしたもんだから、思わず声を上げて飛びついてしまった。
驚いたように見開かれた、ピーコックブルーの瞳と目が合った。
果たして、彼の瞳に俺はどう映ったのだろう。
そこで俺は、はじめて彼が笑う顔を見たのだった。
人は色んなものを信じて生きている。
仏様だったり、八百万の神様だったり、遠い国で生まれた神様の子だったり、果てには異形の恐ろしい神様だったり、とにかく色んなもの。
それらはすべて、生きるための心の支えとしてあるものだと思っていた。
けれど時に、自身の生よりも信じるものの為にどんなことでもしてしまう人もいる。
俺には到底、信じられない事だけれども。
"神様"に捧げられるためだけに生まれた子供がいた。
親の勝手を押し付けられて、最後にはバケモノにされてしまった子供。
子供にとって、お父さんもお母さんも、大きな存在で。
「それこそ、神様みたいなものなのに」
ぽつりと、そんなことを思いながら零してしまった。
信じる心を踏みにじられた子を癒すのに、いったい何がいるんだろう。
自分の胸の内にもある、この強い不信は、どうしたら消えてくれるのだろう。
振り回されてばかりだし、話せばどこかちぐはぐで、互いに適当な態度ばっかりで。
本当のところは君が何を考えてるかなんて、ちっともわからなかったけれど。
君のしたい事はなんとなくわかって、その通り動けば君もまたそれに応えてくれた。
一緒にいても構えずにいられた。ただなんとなく一緒にいて、楽だった。
全然違うのに、なんでだろう。似てるかなって思ったんだ。