鷺ノ宮 櫂
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◆陣営: Evil
◆名前:鷺ノ宮 櫂(さぎのみや かい)
◆性別:男
◆年齢:18
◆身長:187cm
◆体重:75kg
◆血液型:O
◆ステータス
【HP/5(+22)、攻撃/4(+6)、魔適/6(+34)、耐久/5(+6)、魔耐/10(+6)、敏捷/4(+4)】
◆装着スキル / SP : 300(+210)
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個人ページ
輝くような金髪に瑠璃色の瞳。
色白で、整った顔立ちは絵本のなかに出てくる王子様を思わせる。
誰にでも朗らかに対応する青年。
同年代以下の男性には名字にくん付け、
それ以外には名字にさん付けで呼びかける。
一人称は僕。年上には基本的に敬語で話す。
大きいことから小さいことまで、”悪いこと”をするのが大好き。
他人への嫌がらせのために突飛な行動をすることもしばしば。
また、自分がどのくらいその人にとって悪いことをしたのか
思い知れるが故に他人に恨まれたり嫌われたりするととても嬉しそうに顔を輝かせる。
一度決めるとしつこいが、無理だと思ったら
あっさり諦めるなど切り替えはいいほう。
ちなみにどちらかといえば甘党。
記憶が無いことや異世界にいる現状について
不思議がってはいるものの特に気にしていない。
記憶を無くす前は「悪い子」を自称しており、
そのためあえて子供っぽく振る舞っているところもあったが、
その記憶が喪失した今、比較的彼の素に近い状態になっている。
◆返還記憶-----
*(Idler Tailor:「義妹 鷺ノ宮紅」記憶を代償に差し出した)
「何故」と問い詰める声が聞こえた。
「どうして」と嘆く声が聞こえた。
「なんのために」と、憎しみで燃える声が聞こえた。
そのどれもが、僕にとっては楽しくて楽しくて面白くて。
だから僕は得意げに口を開き、皆にこう宣告するんだ。
「そんなの決まってるじゃないか! だって僕は」・・・あれ、なんだっけ?
両親の目の前で、台に乗っている花瓶を突き落とした。
華美な模様の描かれたそれが、
床に叩きつけられた衝撃でめちゃくちゃに砕け散って、
バラバラになって、粉々になって、
花瓶の断末魔と白い破片が周囲に飛び散って。
あれ。
どうして自分はこんなにも高揚しているのだろう。
自分の親戚である、本仮屋ブルックリンの存在。
そして彼女が彼女の実家に対し行った「反逆」を思い出します。
やっぱり彼女はちょっと面白いな。
このまま正義の味方にでもなってくれないかな。
そしたらもっと、面白いのに。
義妹を腹立たしく思ったこと。
誕生日に託けて、とても大きなことがしたかったこと。
ある方法を思いつき、そして実行したことを、思い出します。
Happy birthday to ×××.
この日はとっても素敵な日。
そしてそのために、鷺ノ宮櫂は死にました。
君のこと、本当に大好きなんだ。
好きで、好きで、大好きで。
知らず口元が緩んでしまうくらいに。
温かいなにかが、ふんわり身体中に満ちてくるぐらいに。
その柔らかなミルクティーブラウンの髪にキスしたくなるくらいに。
ねえ、悪いこと以外でこんなにも何かを好きなったの、初めてなんだよ。
甘えるように抱きつくと、 煩わしそうに僕を軽く叩いた君の、顔、は。
どうやら先生が死んだらしい。
癌を告知されて、家で首を吊ったんだとか。
なんでそれで死ぬのかさっぱりわからないや。
ああ、そういえば彼女には何度か怒られたっけ。
「悪い子はおやつ抜きだからね!」ってさ。
っふ、あはは 今思い返すとちょっと可笑しくなってくるよ。
「お前ははじめに生まれた栄標。栄えある標。誉れ高き標縄。
一歳がこれからも、末広がりに繁栄するよう祈りを込めて。」
一歳の分家が一つ、鷺ノ宮家の長男であり、
栄標の名と役割を生まれた頃より背負っていたことを、
そして、自分の終わりが決まっていたことを思い出します。
・・・あれ?
「一青瀬日探」という人物のことを、思い出します。
少し長めの黒髪に、瑠璃色を点々と宿した緑の瞳の持ち主であるということを。
よく柔和な微笑みを浮かべていた人であることを。
自分の名を呼ぶその声は、いつも優しげであったということを。
好きな植物はロベリアとイラクサだと語っていたことを。
彼が、悪であるということを。
あれは、突然の事故だった。
機材が倒れこんでくる、だなんて、
フィクションではよくあるけれどなかなか遭遇しない事故。
凶器となった数kgの鉄の塊は、僕の顔に深く深く傷をつけた。
医者曰く、この傷跡は一生消えないらしい。
たとえ演技力があったとしても、
顔に大きな傷のある俳優が、
一体どんなドラマで、舞台で、起用されると言うのだろう。
ガラガラと音を立てて足元が崩れていく感覚、なんてものはしないけれど。
でも、ああ、なんだ、僕はこんなにも演技が好きだったのか。
顔を大事に思ったのは、生まれて初めてのことだった。
「嗚呼、可哀想に」
彼は微笑んでいた。
「可哀想に」
目を細めて、微笑んでいた。
嗚呼、ここからだとよく見える。
彼の瞳、イラクサの緑に点々と浮かぶ瑠璃色は、まるでロベリアのようだ。
イラクサ、ロベリア。彼の好きな植物。
彼のシャツの襟元には、それらを模したピンが二つ、光を反射して輝いている。
「何者にもなれない」
彼の大きな手が、僕の頬に触れる。
一青瀬日探と交わしたある会話の全容を、思い出します。
一つ、いいことをしないこと。
一つ、悪いことをすること。
一つ、決して謝らないこと。
一つ、子どもらしく振舞うこと。
一つ、この胸の高鳴りに従うこと。
これら全部、自分にとって大切なことであったということ、
そして、これらを遵守しようと日々努力していたことを思い出します。
「だって僕は、悪い子だからね」
「黒好きだねえ」
今より幼い自分の声。
「落ちつくんだよ」
聞き覚えのある、落ち着いた声。
星の見えない夜空のような、真っ黒な髪に、
虚無を孕んだ闇のような、真っ黒な瞳。
身にまとうのは真っ黒な学ランに、紫色のなまずのマフラー。
買って行ったのはたくさんのブレザーと、黒い財布に黒い鞄。
異世界の人って変わった人しかいないのかな。黒ばっかりだったら暗すぎるじゃない。
しかもネクタイもちゃんと結べないだなんて。
とある午後の日の暇つぶしを思い出します。
浮かぶ様々な人の、顔。
共通しているのはどれもおぼろげだということだ。
皆それぞれ泣いたり恐れていたり呆然としていたり、でも、一番多いのは怒りの表情。
本当に様々な人たちだ。場所も服装も性別も年齢も皆、バラバラで。
だけど皆が皆、異口同音に「どうして」と口にしている。
僕を憎むように睨んでいる。敵意を込めて涙を浮かべている。
そんな人たちの顔が次々と、浮かんでは消えていって。
そして消える直前に毎回耳を掠めるのは、判を押したような同じ一言。
「だって僕は悪い子だからね」
まったく、馬鹿の一つ覚えじゃないんだから。
それでも、嗚呼、じんわりとした熱が、高揚が、僕の中に広がってくる。
この人たちが僕に向ける表情は、嫌いじゃない。
海に近いという立地からか、ふとした瞬間、
かすかな潮の匂いに気づくことがよくあったことを覚えている。
教室にいても、廊下にいても。
誰かと話していたときも。
とある町にある、五月の名を冠する高校のことを思い出します。
彼の名の由来を聞いたことを思い出します。
悪はひととせあなたのそばに。
悪はひととせあなたのなかに。
いつ、どんなときでも。
たとえ彼がその場にいなくとも、"彼"はいつでも僕のそばにあるのだと。
名を問われ、僕は答える。
「僕は櫂ノ宮ヴィルヘルムだよ。よろしくね」
偽名を答えたのはちょっとした遊び心。
とっても面白い状況なんだから、僕だって少しぐらい面白いことをしないとね。
「……わぁ…!かっこいい名前ですね…!ハーフさんなんですか…?」
顔を綻ばせてそう言うミルクティー色の彼に、僕は微笑みながら頷いた。
己こそが秩序、と言わんばかりに自由で、傲慢で、
そして、なんだか美味しそうな人だった。
とある魔女のことを覚えています。
あ、また花表くんがアピスくんとバチバチ火花散らしてる。
他校とはいえ同じセッターなのに、いや、だからこそなのかな? わかんないや。
「よく飽きねえな」隣の波事くんが呟いた。
とある高校でバレー部に所属していたこと、そこでの日々を思い出します。
ああ、あれはまさしく青春と呼ぶべき毎日でした。
特に思い出せることはありませんでした。
だって彼は、
あれは、9歳くらいの頃だった。
ずっと空室だった隣の部屋に、たくさんの人とたくさんの荷物がやってきて、
なんだろうと、不思議に思って覗いてみたら
たくさんの青い制服の人のなかに混じる
一人だけ茶色い服の、とても背が高い人に目が引き寄せられた。
ミルクティブラウンの髪に、柔らかな顔立ち。
緑色の瞳がとてもきれい。
じ、と見ていると、視線に気付いたのか、
その人は僕のほうに顔を向けて、少し不思議そうな表情を浮かべる。
僕は口を開いた。
「はじめまして」
気づけば悲鳴が口から迸っていた。
目の前の三人組が何か言っているような気がするけどよく聞こえない。
それよりも僕を内側から焼き尽くすような飲み込むようなぐちゃぐちゃに掻き混ぜるような痛みが熱くて熱くて熱くて痛くてあつい熱いあついいたいこわいこわいやだなにかが痛くていたいいたくて僕をなにかに変えちゃうような暑さが痛くていたくてあついあ、ぁ、ぁぁあああああぁぁあああああぁぁああぁぁぁぁぁああぁあああああああ
「こんなの間違ってる!!」
憎々しげに、悔しげに彼は喚く。
「こんなの、おかしい、絶対ばかにしてんだよあいつらオレを、オレを、くそっ!」
そうだよね、おかしいよね。僕でもちゃんとわかるのに。
・・・ねえ、カーライル。
「なんだよ」
僕、ずっと考えてたんだ。どうすれば皆にわかってもらえるか。
やっぱりわかりやすく大声で、皆に言わなきゃだめなんだよ。
きっとそうするのが一番いいんだ。
「・・・?」
だからね、カーライル、
あのね、
身体を禊ぎ、白の衣を身に纏う。
冷たい床に直接座して、目を瞑り、
僕は滔々と祝詞をあげる。
心を隅の隅へと寄せて、
“かれら”が入れる隙間を作って、
僕は霊に、身を開く。
神に対し、身を開く。
―――それこそが、僕の役目なのだから。
占い屋・鷺ノ宮の後継であること、
神や霊をその身に降ろしていたことを思い出します。
道具を詰めた鞄を背負い、歩き出す。
さあ、旅に出よう。
探すために、旅に出よう。
求めるために、旅に出よう。
扉をくぐり、廊下へと足を踏み入れる。
ドアノブに手をかけたところで
ふと、部屋の奥、中央の椅子に座る僕を一瞥し、
そうして僕は扉を閉めた。
細いピンクのリボンを頭に結んだ彼は、
まるで隠れるということをしない人だった。
夢の世界で見かけるたび、
ときには現実世界ですら、
どこか離れた高い場所に座り、こちらを見下ろしているのだ。
ねえ、それ、そんなに面白い?
とある場所での後輩のことを思い出します。
目が覚める。
横にあるのは、空っぽの空間。
・・・ひさぐはもうどこかに行ってしまったようだ。
なんとなく、真っ白なスペースを見ていたくなくて
ごろり、転がれば、自然と窓の外に視線が向いた。
薄く広がっている夜を追い出すように、
白と太陽の色が滲み始めてて。
・・・・・・もう、朝か。
なんだかさむくて、毛布を強く、引き寄せた。
僕らの朝は、一つのアナウンスで始まる。
“Good morning, children.
Good morning, children.”
眠い目をこすり、周囲の皆も次々と起きて身支度を始める。
寝過ごせば朝食を食べられなくなることを知っているからだ。
僕もまたベッドから出て洗面所へと向かう。
今日は、なにを実験するんだろう。
気にしたところで、特に意味なんてないけれど。
今日も魔女を、訪れる。
今日も彼と、言葉を交わす。
“魔女”という存在に惹かれ、探し求めたこと、
やがてそのうちが一人、偽りの魔女に辿り着いたこと、
彼女を訪れれば、その従者である“籠花”―――幼馴染の彼と
いつも顔を合わせていたことを、思い出します。
愛を向けられるのを気持ち悪がるなんて、まったく損な性格だ。
どうしてわざわざ生きにくい方を選ぶんだろう?
君は僕みたいなものなのに、僕と似たようなものなのに、
そこだけはよくわからないよ。
どれだけ気持ち悪かったとしても、適当に流してしまえばいいのにね。
「どうしたの、采」
「なんでもないよ、櫂」
僕と同じ顔をした櫂に向かって笑ったら、
不思議そうな顔をしつつもまぁいいやと流された。
そんなんだからいいように僕に使われるんだよ、オニイチャン。
宙に浮かぶ、たくさんの鏡の破片たちは
きらきら輝きながら色んな"僕"を映し出していた。
どこからか意地悪な笑い声がする。
がっかりした? それとも失望したかしら。
ねぇ、気付いてらして? 貴方ってどこでもーーー。
ぶわり、僕の周囲に緑色の文字が広がる。
次々に記されたのは八つの箇条と、
それがいつどこで、どのように達成されたか。
文字たちがくるくると回り僕のなかへ飛び込んでいく。
一つ、なかに入るたび何かが僕と繋がって、
一つ、僕のなかに消えるたび、僕は何かと繋がれて、
一つ、まばたきをし終われば、
自分が"何"になったのかを、理解した。
ずっと、見ないふりをしていた。
お願いだから(僕はお母さんが大好きで)そのままでいさせてって
(だから毎日ハグもしたし)僕は(ちゃんといい子にしてたよ)
ずっと目をつぶって(お父さんのことも)僕はずっと、
(好きで、褒めてほしくて)( してほしくて)( が欲しくて)(でも)
やっぱりだめだったんだ。
かたすみで聞こえた、ことば。
消去、再利用、ゆーずどどーる、ぼく、また、さいしょから。
気づいたら僕は走りだして、どうして だって、
……、たくさんの花のなかで眠る、きれいな、死体。
閉じられたまま開かないあの瞳の色も、
少しだけ乱れた柔らかい髪も、そう、君の姿を知っている。
そうでない、君も、とろけるように笑う、君。
興味のなさそうな目、優しく撫でる、手、
起きた時、そばにあった体温、あったかい、
そらされる、かお。足音。胸に耳を当てて、
眠る君、僕を、抱きしめて、ぼくが、だきしめて。
ぼくは、
ぼくは、きみを、わすれたくない。
外に出られたら、いきられますかと聞いたとき、彼の瞳に一瞬走ったひかりがやけに眩しく見えて。
外に出すと言ったら、どうしますかと聞いたとき、向けられた縋るような目が、僕を確かに、捕まえて。
ああ、なんだ。なんだ。それは真っ逆さまに、僕の中に落ちてきた。
なんだ。
だったら、今すぐやらなければ。
「今すぐ払うのでも後払いでもどちらでもいいですから、千円」
そして僕は、彼に微笑む。少し壊れかけてる彼に。
信じられないという気持ちと希望の狭間で揺れてる瞳に。ああなんて綺麗なグリーンアイズ。
大丈夫。彼はきっと、僕に払う。ハッピーエンドはもうすぐそこに。
だからほら、大丈夫。どうぞご安心くださいな。
一番大事なもののためだったら、なんでも壊せるし捨てられるんです。
あなたが、生きて、幸せでいてくれるなら、それだけで僕はもう、大丈夫、大丈夫。
あなたが救われたのであれば、僕はとても嬉しいから。
それこそが、僕にとっての救いなんです。
ねえ、だから、どうか。
差し出された千円札を受け取った僕の手は、震えていなかっただろうか。いや、きっと大丈夫だろう。
ふりをするのは、昔から、とても得意だ。