夜の抱籠
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
陣営:制限無し
推奨人数:2人
推奨スキル:注視、聞き耳、技術_アイドル、精神分析or精神対話
準推奨スキル:戦闘スキル全般
時間:5時間程度
GMボーナス:ステータス成長5pt
ダンジョン「夜闇の館」専用シナリオです。
探索がメインです。ルートによって戦闘があります。
場合によってはクリア失敗がありえます。
特殊ルールや謎解き要素があります。
GMを希望される方はシナリオをよく読み込んでください。
◎制限時間はなし。
※シナリオに書かれていない情報については、GMの裁量にお任せいたします。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
時計のカギを発見し、館から脱出する。
【エンディング】
時計をくぐると、後ろで針がカチリ、と動き出す音がする。
まるで、"この時が過ぎ去っていくこと"を願うように、
鐘は何度も、重い音を立てて鳴り続ける。
気がつけば、あなたは見慣れた拠点へとたどりついていた。
空の夜闇をまとうその色に、あれは夢であったのだと、あなたは思う。
その記憶の残がいが、ぽろぽろとこぼれおちていく。
……あの子守唄の生暖かい声が、耳についてまだ、離れない……。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
「夜闇」の名をもつ魔女がつくりだした"過去"の世界。
館の中は暗闇と静寂に支配されている。
シナリオ「星の籠庭」の魔術師の館と構造は同じである。
魔女と、その子供たちが辿った悲劇の跡が、いたるところに残されている。
"魔女は「愛」を知っていはいけない"
心を持たない魔女が「愛」を知れば、その魔女は気が狂ってしまうだろう、という掟。
魔女の言葉で愛を口にしたり、記そうとすれば、
「meek LUK Le'a, ziz ziz (禁忌を知る者に 罰を 罰を)」という言葉に変わる。
夜闇の魔女は自分の魔力を分けた実子たちに対し、
愛を知りたいと嘆き、徐々に狂気にのまれていった。
完全に気が狂う前に、どうかあなたの手で、と愛する息子に自分の喉を裂かせて、死んだ。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
開始前に、以下の内容の共有メモを作成し、
ステータス欄に「呪縛」「抵抗」の欄を足してください。
GMもプレイ前にルールの把握をお願いします。
入力する数値は
「呪縛」 ⇒ 探索者の(耐久の初期値+魔耐の初期値)*4
「抵抗」 ⇒ 探索者の(耐久の初期値+魔耐の初期値)*2
となります。
「初期値」とは、成長分のステータスを配分していない、
箱庭に加入した当初の数値のことです。
3に達すると、「不安」状態になる。
自身のトラウマに関する恐怖感にとらわれ、行動に制限を受ける。
5に達すると、「狂気」状態となる。
自身のトラウマに関する幻覚にとらわれ、行動に制限を受ける。
6に達すると、呪いにより体と心を侵され、行動不能となる。
呪縛判定ポイントごとに、(耐久の初期値+魔耐の初期値)*4の数値で判定する。
▼スキル「精神分析」による一時的な治療が可能。
探索者の呪縛者への呼びかけのロールによって、
成功値は上昇する。初期値は(耐久の初期値+魔耐の初期値)*2。
この復帰判定ダイスは呼びかけられた人が振る。
成功すれば、1時間、あるいは1d3ターンの間呪縛から解放される。
※ロールの内容次第で、
この判定の成功・失敗に関わらず、解放経過時間のあと、呪縛を-1していい。
▼スキル「精神対話」による治療が可能。
探索者の呪縛者への呼びかけのロールによって、
成功値は上昇する。初期値は(耐久の初期値+魔耐の初期値)*2。
この復帰判定ダイスは呼びかけられた人が振る。
成功すれば、1d5+1で出た数値、呪縛を減らせる。
※この判定に失敗した場合でも、ロールの内容次第で、1d3の数呪縛を減らせる。
▼「不安」状態
自動成功のものも含め、行動判定に-20%の補正がつく。
失敗すれば、ざわざわと蜘蛛が這い寄る音とともに大きな不安に襲われ、行動は失敗する。
▼「狂気」状態
自動成功のものも含め、行動判定に-45%の補正がつく。
失敗すれば、生暖かい声の子守唄の幻聴を聞き、
自身のトラウマに関する幻覚に襲われ、行動は失敗する。
▼「行動不能」状態
呪いによって体と心を侵され、廃人のようになる。一切の行動が不能となる。
※廃人状態のロールや、ほかの探索者の助けを借りることは可能。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
深夜。あなたは眠りについている。
……なにか、首を這うものがある。
貴方は、手癖でその首を掻いた。
しかし、それはおさまらない。
掻いても、掻いても、貴方の首を這いあがり、
たまらず目を覚ませば、貴方の首を這っていたのは、無数の蜘蛛だった。
貴方はそれを確認すると、ふっと深い闇に落ちていく。
掻いた指についた体液の黒が、視界を覆うように、広がっていく。
……やがて。
⇒【広間】へ
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
意識を取り戻すと、そこは暗闇だった。
目を凝らせば、ここがどこかの屋敷の広間だと理解する。
しんとした、どこか陰鬱な空気が漂っている。
闇にむしばまれるような感覚を覚えるだろう。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒周囲
明かりはついておらず、部屋は暗い。
窓から照らす月明かりをたよりに見れば、テーブルの上に蝋台とマッチがあることがわかる。
「注視」 ⇒大きな仕掛け時計
時計の針は止まっている。
回転式の12星座と7つの惑星のモチーフと、
数字の仕掛けがついており、「双子座」「火星」「2」に合ったまま動かない。
また、文字盤の下に、小さな鍵穴があることに気づく。
*この鍵穴は、「鍵開け」では開くことができません。
実行した場合、鍵穴から無数の蜘蛛が這い出てくる幻覚に襲われ、
成功で0、失敗で1d3の呪縛判定となります。
*実験室で手に入れた小さな鍵を使えば、
時計は扉のように開き、奥には暗闇が広がっています。
▼時計をくぐる⇒【エンディング】へ
「注視」 ⇒絵画
照らした瞬間、ぎょろりと何かと目が合う。
……蜘蛛だ。おぞましい8本の脚、無数の目。
動くことはない、これは絵画のようだ。
しかし、その筆跡は体毛の一つ一つまで緻密に描かれ
腹から這い出るおびただしい数の子蜘蛛が、うごめいているように見えた。
あなたは、それが体中に這うような感覚を、得る。
発見者は成功で0、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
……その絵画から、小さな蜘蛛たちがどこかへ向かって群がっているのがわかる。
▼辿ると、【朽ちた扉】へ
「聞き耳」 ⇒周囲
子供の話し声が、けらけらと聞こえてくる。
「かあさんは、なにをしりたかったの?」
「だれでもしってることさ」
「あたしはしらないわ。あなたがとっちゃったもの」
「おれだって、ほんものはしらないよ」
やがて喧嘩のようになって騒がしくなり、
なにかをひっかく音、物を投げる音、叫び声……、
そのあと、ぐすぐすと泣く声が聞こえてくる。
「かあさん どうしておしえてくれなかったの」
声は重なるように響く。
懐かしく、狂おしいその声に、ざわざわと心をかき乱される感覚を覚える。
聞いた者は、成功で0、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
笑い声をたどっていけば、夜闇色の幕が下りた場所へたどりつくことができる。
▼くぐると、【夜闇の褥】へ
部屋を照らすことができる。
明かりをつけた後に再度広間を見渡すと、大きな仕掛け時計と絵画があることがわかる。
奥に扉がひとつある。
窓から庭へ出ることもできるようだ。
また、二階にあがる階段へは、なにか黒ずみがみえる。
それを明かりで照らす。
鼻をつく、鉄のにおい。
血だ。
ずるずると、血塗れの何かが引き摺られた跡がある。
黒く、長く伸びた髪の毛が、血にこびりつき固まっていた。
ここで惨劇が起きたことを、あなたは感じとってしまう。
発見者は成功で1d3、失敗で1d6の呪縛判定を行う。
……血の跡は、庭から、二階へと続いている。
二階は吹き抜けだ。
通路があり、手前と奥にひとつづつ扉がある。
……血の跡は、手前の扉に続いているようだ。
注視・聞き耳で得られる情報は特にない。
▼手前の扉へ行く⇒【子供部屋】へ
▼奥の扉へ行く ⇒【図書室】へ
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
奇妙な形をした食虫花や寄生花たちが咲いている。
塀の外をみても、建物の明かりはない。
月が柔らかな光を落としている。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒周囲
館から続く石畳は、乾いた血で染まっている。
植え込みから少し離れた場所に、土が掘り返された跡がある。
そばには、小石と、土がかぶさった花が落ちている。
また、日記の一片が落ちていることに気づく。
内容は以下のとおり。
「母さんの墓は悪魔が掘り返した
母さんは叫ぶこともしなかった
眠ったまま体を弄ばれるのを見た
そのまま腕や足や臓物を引き裂かれて
どこかへ連れ去られた
もうたくさんだ
★D.H.2067 Gemini Saturn-2nd」
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
広間から幕をくぐると、夜闇色の天蓋がかかったベットのある部屋へたどりつく。
部屋は暗く、照らしても明るくなることはない。
夜闇にすべて、飲まれるのだ。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒ベット
ベットの上には、見知らぬ言語の本が置いてある。
『 meek LUK Le'a, ziz ziz 』
という文章が、隙間なくページを埋めている。
女性の手で書かれたもののようで、……何かを求めるように、文字は続いている。
▼スキルなどを使って文字を解読する
あなたは文字を解読する。
"禁忌を知る者に 罰を 罰を"
その意味を理解した瞬間、すさまじい悪寒と、恐怖が襲う。
その言葉は呪いのように、怒号となってあなたの耳に届く。
解読者は成功で1、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
「聞き耳」 ⇒周囲、子守唄
「……meem LATA ruz……」
「……meem LATA vzik……」
「"………" ET elsia」
「"………" ET elsia」
聞いたことのない言語の歌だが、
どこか子供のころを思い出すような、仄暗い安心感を覚えた。
母の胎へ帰りたくなるような、抱く腕のぬくもりに焦がれるような、
胸を締め付ける感覚を、その鎖にとらわれる感覚を、あなたは得る。
聞いた者は、成功で1、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
蜘蛛の群れを辿っていけば、朽ちた扉がある。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒扉
朽ちた扉には、無数の子蜘蛛が群がっている。
ざわざわと群れ、蠢く。
あなたは思わず、首のあたりを確認する。
……あの、自分の首を這いまわるものの感触を、
掻いても、掻いても逃れることのできないその悪寒が、蘇る。
成功で0、失敗で1d3の呪縛判定。
「聞き耳」 ⇒扉
……奥から、なにか巨大なものがうごめく音がする。
中に入ると、エネミーとの戦闘になる。
スキルを使用した逃走が可能。
倒すと、部屋の奥にくぼみがあることに気づく。
くぼみを調べると、アイテム【熟れ過ぎた林檎】を手に入れる。
[HP45 攻撃35 魔適15 耐久30 魔耐35 敏捷5 (耐久30以上のPCがいる場合35)]
◎固有スキル
【Give me " "】
べとべととした糸をはき、相手にからみつかせる。
生身や武器で受けた場合、耐久の初期値*5で判定を行い、
失敗すると呪縛が+1され、1d3ターン行動不能、その間毎ターン1d5+1のダメージを受ける。
回避や直感回避が可能。
【Why don't tell me?】
耳をつんざくような奇怪な鳴き声を上げる。
聞いたものは体を蝕まれるような感覚にとらわれ、1d3+1の呪縛を受ける。
自身を除く、その場にいる全員が対象となる。
耳をふさぐなどのロールをしたうえで、回避か直感回避が可能。
【I want know】
おぞましい8本の腕で対象を引き裂く。
1d8回の攻撃となり、一回でも生身で受けると<毒>状態に陥る。
*宣言により、足を狙って攻撃することもできます。
その場合一本ごとに足のHPを5とし、0にすれば足の数を減らし、
I want knowによる攻撃回数を減らすことができます。
◎装着スキル
回避(35)
直感回避(130)
甘い蜜の滴る、熟れ過ぎた林檎。
"知られぬうちに、愛は熟れ過ぎた"
……林檎には、「Give me」と子供の字で刻まれている。
所持していると、感情スキルがすべて「愛情」で結ばれる。
結んだ相手と自分に効果が反映される。
愛情ダイスを、両者のステータスひとつを-1d5するものに変える。
その代り、愛情を結んでいる限りどちらか一方が死亡に陥ることはない。
敵PTに感情スキル「愛情」で結ばれたPC
またはそれに準じる関係のPCがいた場合(恋愛感情や家族愛など、友情は含まない)
そのPCへのダメージ判定ダイスに+5の固定値がつく。
またシナリオ中、他のPCに一人に対し「Give me」と発言しロールをすることで、
以降の自身の自動成功を含むすべての行動判定に-10の補正をつける代わりに、
対象を「自身のトラウマに関する狂気状態」に陥らせることができる。
効果時間は1時間、または1d3ターン。
狂気状態による行動制限はGM裁量。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
狭い洋室に、本棚がズラリと並んでいる。
窓はあるようだが、カーテンで閉め切られていて、少し埃っぽい。
◎skill情報--------
「注視」⇒ 本棚
古い魔術書が並んでいる。
その中に、手書きの絵本と
赤い表紙の、"L"と刻印された日記がしまわれているのがわかる。
*子供部屋でピアノを弾いたあとにくると、本棚のひとつが不自然に裏返っており、
そこに古い鍵と、古い手記が挟まっているのを発見する。
赤い髪と青い髪をした子供が、母親と仲陸奥まじく暮らしている様子が描かれている。
「おかあさんと、うたをうたったよ」
「ピアノを、おかあさんにほめてもらったよ」
「いっしょに、ほしをみたよるもあったよ」
「さそりのほしには、おれたちのなまえがあるとおしえてくれたよ」
「かあさんはいつも、………」
「あるひおかあさんはいったよ」
「まじょは、" "をしってはいけない」
「おかあさんは、きがくるってしまうんだって」
「そうなるまえに、」
最後のページに、血で押された手形が残っている。
「おかあさんは、ありがとうといった」
「おれは、じょうずにできたかな」
発見者は、成功で0、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
絵本はここで終わっている。
裏表紙には、絵本よりきれいな字で「どうして?」とだけ書かれています。
文面は拙く、どれも赤いインクで書かれているが、
時折、別人のように綺麗な文字で書かれていることがわかる。
-----
ねえさんと おれ たんじょうび!
せんせいが うみをみせてくれた
★D.H.2066 Scorpius Saturn-4th
-----
かあさんと ぴあの なかないで
★D.H.2067 Aries Venus-3rd
-----
今日、母さんを殺した おかげで目が覚めてしまった
血も拭かずに絵本を描いて寝てしまった 代わりにオレが日記を書いている
字の書き方も、今度教えてやろう 読めたものじゃない
ひとつの体に、二つの心 難儀なものだ
★D.H.2067 Gemini Mars-2nd
-----
ずるい おれがレサトだったのに 名前をとられた
おれはピピリって名前になった レサトのほうがかっこいい
レサトはおれがいる間 ずっとねむってたらしい おれがたくさん、
泣いたり叫んだりしたから 起きちゃったんだって
レサトと話すと、いろいろ覚える
★D.H.2067 Gemini Venus-2nd
-----
ページが破かれている
------
おれは本物をしらない 姉さんは毎日おれを責める
誰か信じてよ おれはいつまで 嘘をつかなきゃいけないの
母さん教えて " "してと願ったひとに どうして苦しみを与えたの
ページの真ん中が破られている
★D.H.2067 Leo Mercury-1st
------
かあさんにもらったりんごをなくした
日付なし
------
「魔女語について」と題名がついている。
どうやら見知らぬ言語について、誰かが訳した手記のようだ。
内容は以下の通り。
ruz/ルゾ(焔) vzik/ウジク(吹雪、氷のように冷たい)
lata/ラタ(あなた) et/エト(わたし)
elsia/エルシア(永遠に) meem/メーム(与える)
meek LUK Le'a, ziz ziz "禁忌を知る者に 罰を 罰を"
さらにページをめくると、赤いインクで走り書きがある。
「彼女が" "を記そうとすれば、それは呪いの文に変わった」
「それでも彼女は毎晩、子に『永遠に" "して』と歌う」
「彼女が" "と口にできなかったのは、
魔女が" "を知れば狂ってしまう……その掟によるものだろう」
※GM用解説-----
ピピリが覚えていた子守唄の魔女語を、レサトが訳した手記です。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
天井に満点の星々が描かれた子供部屋だ。
さそり座の毒針の二つの星には、赤で"Lesath"、青で"Shaula"と落書きがある。
部屋にはおもちゃが散乱しており、どれもべっとりと乾いた血がついている。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒周囲
部屋の中心に血だまりがあり、月明かりに照らされ、なにかがきらめいている。
また、奥には黒いグランドピアノがある。
「注視」 ⇒ピアノ
大きなグランドピアノだ。
鍵盤には、かすかに赤い痕がのこっている。
楽譜が乗せてあり、タイトルには「月光」と書かれている。
▼ハサミを拾い上げる
拾い上げてみると、それはハサミであることがわかる。
月光に照らされ、銀色に輝く刃、鼻をつく鉄のにおい。
こぼれた刃は、なにかを引き裂いたことを示していた。
部屋に残る血でさえも、惨劇を思い起こすように、
その色は鮮やかなものに変わり、鉄のにおいに胸やけを起こす。
発見者は成功で1d3、失敗で1d6の呪縛判定を行う。
※ハサミは拾っていくことができる、と伝えてください。
▼ピアノを弾く
鍵盤にふれ、音階に沿って音を奏でる。
何かに捕われたかのように、滑らかに動くその指は、赤い血の痕をたどる。
……あなたは、それが誰かの最期に贈られた曲であることを、理解する。
演奏者は成功で1、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
曲を弾き終われば、隣の部屋のほうからガコン、という音がする。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
扉には鍵がかかっている。
図書室の本棚の裏にあった古い鍵で開けることができる。
*この鍵穴は、「鍵開け」では開くことができません。
実行した場合、鍵穴から無数の蜘蛛が這い出てくる幻覚に襲われ、
成功で0、失敗で1d3の呪縛判定となります。
広間の扉をくぐれば、実験室に出る。
さまざまな形の実験器具、羅針盤のような魔術具などが並んでいる。
◎skill情報--------
「注視」 ⇒周囲
実験器具が目につく。
見たことのない色をした薬品がはいっていたあとや、
人体に使用されるものなのであろう、
拘束具のついた拷問具のような器具がある。
……それをよく見る。
おおよそ人間の世界では見ることはないだろう。
それは禍々しい形状をしており、
暴力、過信、裏切り、死してなお与えられる罰、人間の贖えぬ罪、欲望、それら。
あなたはこれが"悪魔"の成せる業だと、そう直感してしまう。
発見者は成功で1、失敗で1d3の呪縛判定を行う。
その中で、片方の皿が上がっている大きな天秤と、古いメモ用紙を発見するだろう。
「魔術師は作ろうとした 魔女の求める" "に代わるものを」
「悪魔は天秤を与えた " "と比べてみればいいと」
「魔術師は試した 人の心臓 悪魔の目 天使の指」
「そして気づくのだ 自分の狂気に」
「過ちを犯した自身の手を見つめ その狂気こそが 魔女の呪いだったのだと」
そして、最後に赤いインクで走り書きがある。
「" "と釣り合うものを述べろ それが君の真実であれば 天秤は釣り合うだろう」
空白" "の答えは"愛"です。
それを理解したうえで、「愛」と釣り合うと、「自分が」言えるものを述べてください。
抽象的なものでも、言葉で表せれば問題ありません。
その理由をきちんと述べることができれば、天秤はつりあいます。
答える人数に制限はありません。
答えたい人が何人かいる場合、天秤が釣り合うのは、その全員が答えたあとでよいです。
他の探索者に聞かれたくない内容の場合、秘話でも可能ということを伝えてください。
探索者が持っているもので、「自身」の"愛"にまつわるアイテムがあった場合、
それを乗せて釣り合わせることもできます。
ただ、それが確かに愛と釣り合うかどうかは、探索者の心が決めることです。
釣り合うということをきちんとロールできれば、鍵は入手できます。
天秤が釣り合うと、「カタッ」という音のあと、天井から小さなカギが落ちてきます。
カギには、"この時を動かして"と血で文字が書かれています。
ハサミを乗せると、天井から日記の1ページが落ちてきます。
「" "ってなに、" "がほしい、" "はどこ、" "をおしえて」
「だれか本物の" "を おしえて」
……天秤は、曖昧に揺れ動くばかりだ。
※このメッセージに対して探索者が答えた場合(自身のもつ愛について教える、など)
日記に赤いインクの文字が浮かび上がる。
このとき探索者は、「真実」の記憶を得ます。(イベント報酬)
「答えはない。だが、共に過ごした『時間』は真実だ」
文字を確認すると、日記とハサミは燃え、赤い焔となって消える。
……天秤の皿は、カタンとまた元の位置に戻る。
※GM用解説-----
魔女を殺した「おれ」=ピピリの「本物の愛を教えて」という願いについて、
「オレ」=レサトが出した答えが『時間』です。
『時間』という、その身を刻む、血肉のひとつともいえるその対価を払うことで、
"愛"と釣り合う="愛"を証明できるものが『時間』であると答えています。
母と共に過ごした『時間』は君にとって確かに真実だったろう、という答えです。
この「時間」という答えと、探索者のものが
被ってしまっても、問題ないということは伝えてください。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲