類
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◆陣営 : Evil
◆名前 : 類 (タグイ)
◆性別 : 男
◆年齢 : 25
◆身長 : 185cm
◆体重 : 72kg
◆血液型 : AB
◆ステータス
【HP/10(+14)、攻撃/10(+26)、魔適/6(+6)、耐久/6(+4)、魔耐/8(+1)、敏捷/9(+4)】
◆装着スキル / SP* : 300(+380)
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個人ページ
暗闇の中でも爛々たる光を放ちそうな赤さの髪と、黒曜石を想起させる瞳。
マスクで口元を隠している。その髪は右側が一部だけ長く、髪留めをつけている。
白いシャツと黒のズボンにコートを着用している。コートはサイズが少し大きいようで、
両袖をバンドで留め、腰にはベルトを巻いている。
「感情の起伏と声色が合致しない」障害を持つ。
感情は豊かなほうだが、この障害に加え顔を隠しているために
それを読み取るのが非常に困難である。
……マスクを外したところで、彼の表情の変化もとても微々たるものなのだが。
接する者によっては、彼を「機械」または「人形」のように感じることもあるだろう。
わずかな回数だけ、彼自身の感情が
なにものにも邪魔をされずに顔を見せることがあるかもしれない。
何事にも無関心なように見えるが、面倒見はいい方。
一部例外はあるものの、来る者拒まず去る者追わず、の精神で動いている。
場面場面での言葉数が極端であり、必要がなければ一言も発しないこともある。
基本的には何を言われても何をされても反抗しないが、
甚大な被害が及ぶと判断した場合はこの通りではない。
利き手は左である。
一人称 : 「俺」
二人称 : 「あんた」/「お前」/「貴様」、名を知っている相手は基本的に呼び捨て。
記憶をなくしていることについて、
「拾い集めなくてはいけない」とは漠然と思っているようだ。
たとえそれが苦しいものであったとしても受け止める気でいる、
それが「自分」であるのだから。
忘れてはいけないことも忘れているのだろうと自覚はあるが、焦りなどはとくに見られない。
ただ、抜け落ちてしまったあとの空虚さを抱え、まるで「誰か」のようだと思うばかりだ。
その「誰か」を、今の彼はまだ思い出せないままでいる。
◆返還記憶-----
『miseria』 ――それは、自分の「人形」としての名前だった。
不幸を意味するそれをどういった意味で目の前の男が発したのかわからないが、
おそらく、皮肉を込めたものであったのだろう。
それから、ばけものと呼ばれたこともあった気がする、
あのときは、ああそうだ、――「始末」を、していたのだったか、
さして美味くもない肉をただ機械的に取り込む、生々しい音と、
嫌なにおいと、苦いともなんともいえない、あの味。……
真名にも通称にも、さほど差異はない。
他者が向けるそれは、それ自身にとっての「俺」をあらわすものだ。
どう思われているか量るいい指標だ、解り易く嫌悪と愛好が表れる。
――ただの道具に嫌悪も愛好もあったものではないだろうが。
《Nomen ei qui reflectit instrumentum.》
数日後に惨状は取り除かれていった。
引き裂かれた体も、貫かれた体も、
崩れた瓦礫の下に広がる赤も、元に戻ることはない。
望んでいたのは、
無残な姿になった家族達だったのかもしれない。
そう見えたかと思えば、家族達の傷は緩く消え失せ、
まるで、倒れているだけのような姿となった。
その後も目を開けることはなかったが、
眠り顔は穏やかに見えた。
望みに反応し、与えられる、『安穏』の能力。
――望んだのは、
「ある兄弟に害をなすものの始末」という命を、受けた。
兄は柔らかな茶の髪をして、少し闇色を孕んだ紫水晶の瞳を。
弟は艶やかな黒の髪をして、兄に似ているけれども、透き通った色の瞳を。
兄弟はよく似ていたが、どこか違和感のあるいびつな関係に感じた。
あまり進んで声を出さなかったのは、自身の障害による癖だ。
感情が声に乗らない、それは都合が良いことも悪いこともあった。
「…… 声が、出せないの?」
兄のほうが問う、……成程、そう解釈をするか。
出せなくてもいい、言いたいことはなんとなくわかるからと続く。
ああ、それならば。実際に声が出せることは、特に言わずともよいのだろう。
害をなすものの始末、――裏を返せば彼らの「護衛」だが。
自分は始末屋で、護り屋ではない。それなのに、……
その理由がわかるのは、もう少し先のこと。
《Sed sicut eorum instrumentum.》
冷えた心で思考する、
はて俺は何を言われたのだったか。
それは何が起きたのか解らない顔でこちらを見、
その喉から、
血と、
空気の漏れ出す甲高い音を、零れさせていた。
口に残るそれを吐き出す、ああ、不味い。
それがさらに気分を悪くさせる。
「何もなかったように」してしまいたくて、たまらない。
地に崩れたそれの近くにしゃがみこみ、目を覗く。
映った自分の顔は、――
《Ne indignetur patebit.》
(これは、“IF”の話)
――もし、俺が示した選択肢をとって、不幸だと感じることがあるのならば。
――もし、俺が関わっていた場合に、不利益を被るようなことが、あるのならば。
そのときは、真っ先に自分を悪者にしていい。
お前のせいだと詰ってもいい。自分が原因になっても、それでいい。
裁かれるべきは俺で、それは当然受けるべきものなのだから。
///
薄暗い空気の中で光を振り上げたのは、いつかの自分だ。
雨が降っている、
黒い瞳は振り上げられたものと似た輝きを持って、こちらを射抜く。
目の前にいる自分の顔は、それはもうひどいものだった。
……ああ、そんなに、俺が憎いか。
光が身体に吸い込まれて、「彼」が放った言葉とともに意識が切れる。
「ゆるさない」
――ひどい夢だ。
《Ipsa autem tabulata deauravit et hoc peccatum.》
轟音と、悲鳴と、瓦礫と血と誰かの体と、それから、――
母親はあれに引き裂かれ、父親はそれに貫かれ、
そして、弟と二人だけになった。
走り、隠れ、逃げ、音はいつまでも止むことが無く、
――一瞬の暗闇が、
気付いたら弟が目の前で倒れていた。
か細い声を切れ切れに吐き出し、手を伸ばす。
弟は瓦礫の下敷きになっていた、
「――《 》、」
「……おに、い、ちゃ、……」
ノイズ。
羊水のようなあの中で聴いたのは確かに自分の声だった。
『あの時自分が庇っていれば』
『あの時一瞬でも早く気付けていれば』
『お前はそれを×いながら生きるのだろう』
『その為にこれを聞いているのだろう』
『《ばけもの》になってまで生きる理由は』
理由? そんなものがあるのだろうか、
――ただ道具として使われる為だけだろうに。
《Vive. Dum piget, comedens.》
( ――これは、《いつのもの》だ? )
「僕、何かしちゃった?」
彼は言う、何も言葉を返せなかった。
抛るべきでないことは解っていた、
抛るべきであるのかもしれないことも、解っていた。
彼の首には、痛々しい白が巻きつけられていた。
目の前で首を掻き切ったそれは笑っていた、
意識を失う前に聞いた言葉がまだ残っている。
何かしたのかと問うそれは、そのことをきっと覚えていない。
それを思い出したら、――『また』軽蔑されるのだろうか。
( もう、死なせて )
《Ego te salvum fecit.》
嫌いなものではなかったし、弟に強請られることも多かった。
自身の障害が現れないそれに気が休まったこともあるし、
学生時代の知人にも、考え方が変わるとか、それらしいことを言われていた。
ある日。
対象を中々仕留めることが出来ず、加えて大怪我をしたことがあった。
仕事自体を終えることはできたのだが、……ああ、やはり最悪だった。
かなり手ひどく、始末をしてしまったが。
「手早く終わらせる、なあ」
酷い有様だな、と人工的な色の髪と銀の瞳を持つ男は言う。
嗤っているのかとも思ったが、表情は想像と大分違っていた。
男は、得意ならそれを使えばいいとも言った。
「……どうやって」
「あ? 簡単だろ」
《不幸》を、歌えばいいんだよ。
《Canit ille nomen suum.》
幼い頃に、遠い親戚の家に遊びに行ったことがあって。
自分と年頃の近い子供は居らず暇を持て余し、
俺は古い蔵の中で、書物を読み耽っていた。
さらりとした綺麗な字で書かれた日記が、印象に残っている。
《わたしは実際、神等存在し無いと常々思つてゐる。
信じる者は救われると云ふが、あれは実際、
信者を裏切る事こそが仕事なのではなからうか。
裏切つて、其れでも平気な顔をしてゐる偶像を
信じ続ける彼等は、とても哀れだ。》
十数年経って、意図を漸く読めた気がする。
「此処」には、それを信じようとする者はいない。
限りなくそれに近く、しかしけしてそれになれない、小さな命さえも。
平気で踏みにじるような、世界だ。
「もう一度」が「もう二度と」になる、そんな話。
魔法は、永遠ではない。いつかは尽きる、夢の話。
「アンタは神様とかいうの、信じてる?」
珈琲を啜りながら青年が言う。
信じたかったのかと問えば、さあ忘れたと、
彼は至極どうでもよさそうに吐き捨てた。
《O crudelis mundi: Non tibi Deum?》
一月に、一度。
数日に、一度。
一日に、数度。
自分を騙しながら、日々を送っていたが。
それが無理な話であることを、どこかでわかっていた。
できるなら、もっと一緒にいたかったし、
そのままでいたかったし、
最後まで、あそこで過ごしていたかった。
尽きてしまった、夢の話。
ここにはいられないのだと、漠然と思い始めてしまってから。
終わるまでが短かったのか、長かったのかも、わからないが。
もう、ここで、終わり。
《Valete.》
Certe credo quod non puto.
Non ego tui misertus sum.
Illud te non arbitror est.
Non, non dico.
Sua voce, cogitando,
In voce,
《まだ、ひとりでいるつもりなのか》