はるこい
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陣営:制限無し
推奨人数:1〜2人
推奨スキル:説得or甘言
準推奨スキル:注視、聞き耳
時間:6〜8時間
GMボーナス:スキルポイント50pt or ステータスポイント5pt
ダンジョン「初恋町」の専用シナリオです。
一人の女の子の恋を応援するシナリオとなっております。
他人の色恋事に首を突っ込みたいキャラクターだと楽しみやすいかと思います。
GMをやる際はNPC情報をしっかり読んだ上、
なるべくPCの助言を受けつつNPCを動かしてあげてください。
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里香の恋を成就させるか、
期限としている5日目の夜を迎えるとシナリオクリアとなります。
NPCを攻撃および殺害した場合、探索者は強制送還となりゲームオーバーとなります。
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現代の田舎でも都会でもなく、ごくごく普通の町。
時代的にスマホが普及しております。
商店街等もあり、交通機関も程よく整った町です。
三月の半ば、まだ寒さも残りもうすぐ学生は春休みを迎える季節です。
高校に通う1年生。16歳。
酷く自分に自信が無く、引っ込み思案。
初対面や目上の人には敬語だが、同年代や後輩や家族には普通に話す。
常にまわりに流されやすく、不安定な性格の持ち主だが、
一度決めたことはやりとげようとする真っ直ぐな心意気がある。
もうすぐ春休みを迎える季節、春休み明けに転校が決まっている。
なので、学校にいられる残された1週間、悔いのないように、
ずっと想い続けてた先輩に告白をしたいと思っている。
だが自信が無く、残り時間が少なくなった今でも見ているだけで精一杯。
そんな時に部活の先輩からお守りを頂く。
なんでも高校に代々伝わる恋愛成就のお守りで、
お守りの妖精の力で恋を叶えてくれるのだ。
そして恋が叶えば次の恋に悩んでいる子へ渡すしきたりらしい。
今回、その恋を叶えてくれるよう祈って出てきた妖精が探索者である。
探索者がなんと言おうと、瑞希は探索者達のことを恋愛成就の妖精だとうたがってない。
名前を聞いてもずっと「妖精さん」と呼ぶだろう。
(妖精さんを名前で呼ぶと罰当たり等と言って)
先輩のことは半年前ストーカー被害にあってた所を助けられ、
そこから恋愛感情を抱いていた。
「あなたは妖精さんですね!やっぱりおまじないは本当だったんだ……嬉しい」
「あ、あの、先輩……も、もしよろしかったら、あの……い、いえ、何でもないです……」
「だ、だいじょうぶだよ、私のことは。
転校先でもやっていけるよ……?もう、心配性なんだから」
「え、あっ……わ、私の、こと……?
そ、そんな、いきなり……(私なんて言えばいいんだろう)」
探索者のアドバイスは基本的に素直に聞きます。
ただし自分に自信が無く、告白という点においては説得ロールが必要になります。
手紙を書くようアドバイスすれば手紙を書きますが、
それを渡すには説得ロールが必要となります。
因みに手紙には自分のメールアドレスを記載することを忘れないようにしてください。
(ルート分岐のためです)
里香と同じ高校に通う2年生。17歳。
剣道部のエースであり、見目の良さもあり人気が高い。
性格はいたってまじめで、爽やか。
またいたずら好きな一面もあり、
里香のことをからかうような言動をすることもあるだろう。
以前、里香がストーカー被害にあい、部活帰り、
通学路で襲われそうになったところを助けたことがあり、
それから少しの期間、里香を家まで送っていたことがある。
実は、里香については、助けたときに一目ぼれしている。
・・・が、年下であることと、
突然告白してしまったら驚かせてしまうのではないか、
里香のことを「守る」立場でありながら、
こんな想いを持ってしまっていいのか、と悩み、
さらに里香の転校の話を聞いて、
「転校前に引き止めるようなことをしていいのか」
とさらに悩み、告白できずにいた。(意外と奥手である。)
最終日に、やはり自分の気持ちに嘘をつくことはできない、
と告白に臨むが、里香のほうに先約がいる状況になる。
里香の答えによって、晶人の行動は変わる。
里香が断った場合、
「他に好きな人がいる」という言葉を聞いたことで、
帰り際、その人と幸せに、という意味で
「応援しているよ」といって去ります。
里香が受けた場合、そのまま自分の想いは胸にしまい、
何も見なかったことにして立ち去ります。
「妖精さん」である探索者の姿については、
実は晶人には見えているが、晶人は見えないふりをする。
突然そんなことを言って驚かれたりしないように、
どういった状況であるのか探りたいのと、
里香自身が秘密にしているように
振る舞っているのを察してのこと。
「……君に必要なのは、少しの勇気だ。なに、心配することはないさ。
俺も、君の友人も、こうして君のことを見守っているんだからね」
「それでも迷うことがあったら、いつでも相談していいよ。
……俺は、君のことを……、いや。なんでもないよ」
(この手の届く限りでいい、君を守りたいんだ)
2年生 17歳。
昌人の友人。携帯のLINEでよくやりとりをしてるため、
携帯を覗き見する等の行為をしたときに出てくる名前。
「今日の授業退屈だったね」
「暇?これから一緒に遊ばない?」
「この間借りてたDVD返しに家いくね」
等他愛のないやりとりをしている。
名前が女性らしいが男性。誤解を与えやすい。
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眠り込んだ探索者が目覚めたところは、ごく普通の現代の少女の部屋。
探索者を召還した少女里香は、探索者を「恋を成就させる妖精さん」といいます。
というのも、恋のおまじないをしたときに現れたのが探索者達だったからです。
里香は1週間後には転校をしてしまうので、それまでに先輩と結ばれたいと願っています。
探索者はそんな悩みを聞いて、自由に彼女にアドバイスしたり、
背中を押してあげたり、好きにさせてあげてください。
期限は学校にいられる月曜から金曜日の5日間。
期間内に成就させるか、期間をすぎるとシナリオは終了します。
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探索者は眠りについています。
深い暗い眠りの中、夢に誘われるように、少女の声が聞こえてきました。
「お願いします、妖精さん」
その声はとても可憐で壊れそうに震えていて、でも深く探索者の心に響きました。
探索者が目を覚ますと、目の前には目をぱちくりとさせた少女が居ました。
部屋を見回してみると、どうやら部屋の一室だということがわかります。
少女は「本当に……本当に妖精さん……?」と小さく呟いたと思ったら手をぎゅっと握り
「お願いします……私の恋を、叶えてください……!」と懇願してきました。
ここからのロールは自由です。
ある程度探索者と里香が話をしていたら、母親が部屋にいきなり入ってきます。
部屋の様子を見ても「騒がしいと思ったけど、一人で何をしてるの?」といいます。
探索者は里香以外の人には見えません。
母親が部屋を去ると「それでは宜しくお願いします」と言って里香は布団に入ります。
探索者は不思議と眠気も空腹も感じません。
時間の感覚も変わっているのか、夜がすぐに過ぎていくように感じます。
時間の流れを自由に行うことができるようです。
ただし時間をとめたり、戻すことはできません。
(NPCの授業や寝食のカットのためです)
◎skill情報--------
「注視」⇒少女
茶髪の髪を背中まで流した少女。
服装は寝巻き姿で、髪が湿っていることから風呂上りなことがわかる。
「注視」⇒周囲
棚やクローゼットやベッドや小物やカレンダーがある。ごく普通の女の子の部屋。
「聞き耳」⇒窓の外から夜鳩の鳴き声、
扉の向こうは何やら洗い物をしてる音が聞こえてきます。
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「説得・甘言について」
上限は80。
ここでは説得値の成功率は里香の自信と妖精さんへの信頼に繋がっています。
日が経つにつれ、里香の自信がついていくので説得値の成功率を上げていきます。
ロールの内容で成功値を上げても下げても構いません。GMの裁量にお任せします。
「体育館」
先輩は朝基本的に毎朝稽古でいます。いつも一人です。
放課後になると色んな部活動の生徒で賑わっています。
剣道部は水曜日は部活はありません。
「先輩が妖精さんへの対応」
基本的に周囲に見えてないようだと認識したら見えないふりをします。
最初に会ったときも、見えているのかいないのか、曖昧な態度をとるようにしてください。
もし妖精さんと1対1で話すような場面になれば、彼から声をかけることもするでしょう。
「教室」
空き教室の時間帯に教室に忍び込むことも可能です。
「昌人の携帯」
アドレス帳:家族と友人くらいです。白百合有希という名前が目に付くかもしれません。
メール:広告メールがたまってます。あまり使われていないようです。
アドレスを控えることができます。
LINE:白百合有希という相手と頻繁に連絡を取り合ってます。
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※月曜日の説得・甘言値は基本-60で行ってください。
里香が好きな人について説明をします。(導入で説明したら省いていいです)
「私の好きな人は一つ上の先輩の赤城晶人先輩です。
剣道部に所属していて、とても活躍しているのですよ」
「学校帰り、ストーカーに襲われそうなところを助けてくれました。
それ以来、ずっと先輩のことを……」
朝練のある体育館(剣道部)へ行き、先輩が誰かを教えます。
「私、自信が無いんです……今もこうしてみていることが精一杯。
だから、自信をつけて、先輩に想いを伝えたいんです」
先輩は基本的に朝練と放課後に部活に出ています。(水曜の午後は部活無し)
◎skill情報--------
「注視」⇒先輩
黒髪で端正な顔立ちをしているが、少々小柄である。
今は剣道着をきていて素振りをしているようだ。
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※火曜日の説得・甘言値は基本-50で行ってください。
仲のいいクラスメイトから放課後遊びにいこうと誘われます。
もうすぐ転校なので、それまでに遊びたいという話です。
断って先輩を探してもいいし、そのまま友達と遊びにいってもいい。
友達と遊びにいく⇒
場所はカラオケなりファーストフード店なり、好きに描写してください。
軽く話をしつつ、恋バナの流れになります。
里香が恥ずかしがって中々言い出せないところに、
友達の一人が「3年で剣道部の赤崎先輩のことが好きなんだ」と言います。
ここで説得が成功すれば里香も「私も実は先輩が好きなの」と打ち明けます。
引っ込み思案だった里香が告白したことで、周囲も受け入れて、
励ましてくれ、自信に繋がります。
今後の説得ロールの成功値を10あげましょう。
もし自分の気持ちを打ち明けられなければ、
友達は「協力して」とお願いしてきます。
もし何もなければそのまま流され、承諾してしまうでしょう。
今後説得ロールの成功値を-5に下げてください。
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※水曜日の説得・甘言値は基本-40+「今までの行動の補正値」で行ってください。
テレビのニュースを見ると、午後からの降水確率は80%
空はどんよりと曇り空である。
里香は傘を用意して学校に行きます。
相合傘ができるように傘を持っていかないよう指示することもできます。
妖精さんは雨には濡れません。
学校帰り、天気予報のとおり、雨天です。
ここで傘を持っていなければ、先輩がやってきて傘に入るか聞いてきます。
また、里香が傘を持ってきていた場合、先輩の傘を隠せば相合傘イベントに入ります。
相合傘をすることで親密度があがり、里香に自信がつきます。
説得値を5あげてもいいでしょう。
連絡先の交換をするように説得し、成功すれば連絡先を手に入れられます。
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※木曜日の説得・甘言値は基本-30+「今までの行動の補正値」で行ってください。
この日は里香が部活の日です。
「私、放課後家庭科部ですから。今日はクッキーを作ることになってるのです。
最後の部活だから、いきたいなって……」
先輩への告白を優先させるには説得ロールが必要です。
ですが彼女の気持ちもあるので-20ほどの補正をかけてください。
出来上がったクッキーがうまく出来上がるかは、GMが1d100<=50
(探索者が製作_料理に成功すれば+20の補正)で判定してください。
成功すれば彼女の自信がつき、説得の成功値が10あがります。
失敗すれば説得の成功値が-5となります。
先輩へクッキーを渡すよう促すよう説得をしてもいいかもしれません。
先輩へクッキーを渡すと出来が良くても悪くても必ず受け取ってくれます。
説得値が5あがります。
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※金曜日の説得・甘言値は基本-20+「今までの行動の補正値」で行ってください。
里香の下駄箱に手紙が入ってます。
内容は「放課後、裏庭に来て欲しい、伝えたいことがあります」というものでした。
名前等は何も書かれていません。
行かない⇒
普通に一日が過ぎます。自由に行動してください。
行く⇒
同級生の男子がそこで待っていました。
もし話を聞くのであれば、彼はずっと貴女が好きだった。
転校前に想いを伝えたかったと告白します。
里香は「もしかしてこれがおまじないの効果……?私は……」
と、心揺れます。
探索者が説得すれば、「私には他に好きな人がいます」と断ります。
先輩の行動⇒
行かないという選択肢だった場合、昇降口で合うことができます。
これが最後のチャンスかもしれません。
行くという選択肢だった場合、その場に隠れて居合わせています。
もし同級生の告白を受けるなら、そっとその場を去ります。
断った場合、帰り道に居合わせ、たあいの無い話をして、
最後別れ際に「応援してるよ」と言って去っていこうとします。
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彼女を言葉を聞き、先輩は目を丸くする。
「……」
時が止まったような時間が流れる。静かで、何もない時間。
それは短いようで、長いようで……時間の感覚が戻ってきたころに、
先輩は顔をボンッと音がなりそうな勢いで赤くした。
ちょっと黙って、何か思案するように視線を動かす。
「先輩……大丈夫ですか?」
思わず声をかけた里香にソッと手で制した。
「すまない」
「え……」
流れる沈黙。それを断ち切ったのは先輩だった。
「あ、違うんだ、そういう意味じゃなくて」
「俺も、君のことが好きだったんだ」
途端に、探索者は光に包まれた。
里香は驚きで口を覆い、先輩から目を離せずにいた。
もう一度、好きだよと先輩の口が動いた気がしたら、
里香は目から涙を溢れさせた。
里香の幸福な気持ちに包まれるように、居心地のいい光に溶け込まれ、
この世界との別れを確信した。
里香はポケットからお守りを取り出し、探索者のほうへと向ける。
ふわりとそれは自然と探索者の元に届いた。
その頃には視界は真っ白に埋め尽くされていた。
探索者はそんな真っ白の世界から、ヒラリと何かがよぎるのを見た。
桜だ。桜の花びらが散っている。
先を見ると、寄り添いながら桜並木を歩く先輩と里香の姿が見えた。
訪れた春に幸せそうに笑い会う二人の姿。
彼女はふと、何かに気づいたように振り返り、そして……
目を覚ますと、そこはいつものベッドの上。
暖かい日差しが部屋に落ちていた。
不思議なことに、ベッドの上にはお守りと、一枚の桜の花びら。
不思議と優しい、穏やかな気持ちになれた。
それは彼女を幸福に導いた証だ……なんて、覚えてはいないけれども。
トゥルーエンド『はるこい』
暫くしてだろうか、携帯のメールの着信音が響いた。
『少し時間をくれ』
「少しって、どのくらいかな」私の時間は後少しなのに……と、里香は部屋で膝を抱えた。
時計の音がやけに気になる。日も暮れていって、もうすぐ夜がくる。
そんな時だった。
またメールの音が響いた。
それは先輩からだった。内容は……
『外を見て』
里香は目を丸くする。カーテンを開けると、そこには先輩の姿が見えた。
あわてて階段を駆け降り、玄関の扉を開ける。
夢じゃないだろうか。幻じゃないだろうか。
目の前の先輩は「やあ」と言って微笑んでいた。
「先輩、どうして、ここに……」
白い息を吐きながら、微笑んで口を動かす。
ああ、幻聴じゃないだろうか。その言葉は……
「直接言いたかったんだ。俺も君が好きだよ」
途端に、探索者は光に包まれた。
里香は先輩にしがみつきながら、泣いている。
里香の幸福な気持ちに包まれるように、居心地のいい光に溶け込まれ、
この世界との別れを確信した。
最後に里香を見ると、目があう。
幸福そうに涙を流しながら、声は聞こえなかったが唇の形だけ読み取れた。
『ありがとう』
そうして光に包まれていった。
目を覚ますと、そこはいつものベッドの上。
暖かい日差しが部屋に落ちていた。
どこか暖かい気持ちが探索者の胸に残る。
応援できてよかった……なんて、覚えてはいないけれども。
グッドエンド『通じ合い』
ふわりとした思考の中、"彼"は里香の帰り道を送っていった。
何を話したかは覚えていない。本当にこれでよかったのだろうか。
「これでよかったのかな、妖精さん……」
独り言のように、ポツリと呟く。
白い息を吐きながら家に帰ると、郵便受けにノートをちぎった紙が入っていた。
どうやら手紙のようだ。差出人は……
「せん、ぱい……?」
とりとめない内容がつらつらと書かれた手紙。
目をそらせずに、最後の一文を読み取った。
『どうか幸せに』
その文字に雫がポタリと、文字を溶かして歪ませる。
「ふふ、ふふふ……先輩が、私の幸せ、願ってくれるんだ……」
天をあおいで空を見る。熱い涙がスゥと温度を無くし、冷たく落ちていく。
何かを決意したかのように、手紙をぎゅっと胸に抱いた。
「私、幸せになります……」
その一言を聞いた途端、探索者の体はゆっくりと透けていく。
視界も暗くなってゆき、この世界から引き剥がされていく感覚を味わった。
最後に里香は探索者に向かって微笑んだ。
「これが私の運命なんですね」
そして真っ暗な静寂が訪れた。
目を覚ますと、そこはいつものベッドの上。
まだ夜は明けてないのだろう、部屋は暗いままだった。
どこか切ない気持ちが探索者の胸に残る。
これでよかったのだろうか……そんなことすら、思い出せないまま。
バッドエンド1『幸せ』
「……終わっちゃいましたね」
ずっと無言のままだった里香が、やっと発した言葉だった。
「楽しかったです……多分先輩を思ってきた日の中で、
一番先輩に近づけた一週間だったと思います」
笑顔を向けて、でもどこか悲しそうに…。
「妖精さんのおかげです」
そういうと、里香は皿の上にお守りを置いた。
「このおまじない……失敗した時、こうするって決まってるんです」
どこからか出したライターを取り出して、お守りに火をつける。
お守りはじわじわと燃え出した。
「こうしないと、今まで実った恋が破れるんですって、だから……」
探索者はお守りが燃えると同じように、ゆっくりと燃えるように透けていく。
視界も暗くなってゆき、この世界から引き剥がされていく感覚を味わった。
最後に里香は探索者に嗚咽を漏らしながら顔を伏せた。
「ごめん、なさい……」
そしてお守りが燃え尽きる頃、真っ暗な静寂が訪れた。
目を覚ますと、そこはいつものベッドの上。
まだ夜は明けてないのだろう、部屋は暗いままだった。
どこかやりきれない気持ちが探索者の胸に残る。
自分の力が足りなかったのか……そんなことすら、思い出せないまま。
バッドエンド2『焼失』
里香は目に涙をためて、顔を真っ赤にして両手で口を押さえている。
「私も……私も……ずっと、言いたかったんです」
涙が頬を伝う。暖かい涙。胸が切なくなる想い。
今までずっと怯えてたのはなんだったのだろう。
今は、胸を張って言える。伝えることができる。
「貴方のことが……好きでした」
「……里香、ありがとう」
途端に、探索者は光に包まれた。
里香と先輩の幸福な気持ちに包まれるように、居心地のいい光に溶け込まれ、
この世界との別れを確信した。
もう一度先輩にありがとう……そう伝えた後、妖精さんたちに目を向けて。
ありがとう……そういいながら、
ポケットからお守りを取り出し、探索者のほうへと向ける。
ふわりとそれは自然と探索者の元に届いた。
その頃には視界は真っ白に埋め尽くされていた。
探索者はそんな真っ白の世界から、ヒラリと何かがよぎるのを見た。
桜だ。桜の花びらが散っている。
先を見ると、寄り添いながら桜並木を歩く先輩と里香の姿が見えた。
訪れた春に幸せそうに笑い会う二人の姿。
二人はふと、何かに気づいたように振り返り、そして……
目を覚ますと、そこはいつものベッドの上。
暖かい日差しが部屋に落ちていた。
不思議なことに、ベッドの上にはお守りと、一枚の桜の花びら。
不思議とどこか誇らしく、じんわりと胸に広がる想いを感じた。。
それは彼の気持ちを彼女にプレゼントした証だ……なんて、覚えてはいないけれども。
裏エンド『内に眠る想い』
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▽クリア報酬
スキルポイント50pt
◆全エンド⇒
自身の「告白」に関する記憶の一部分。
(告白に纏わるエピソードや情報を1つだけ思い出す
情報が無い場合は、何も思い出す事が出来ない)
◆裏エンド⇒
自身の「葛藤」に関する記憶の一部分。
(葛藤に纏わるエピソードや情報を1つだけ思い出す
情報が無い場合は、何も思い出す事が出来ない)
◆トゥルーエンドor裏エンドの探索者全員⇒
アイテム★はるこいのお守り
感情スキル「愛情」を向けた相手の上昇ダイスをもう一つ増やすことができる。
また、相互に「愛情」を向けた場合、自分の上昇ダイスももう一つ増やすことが出来る。
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白に桜が描かれた恋愛成就のお守り。
使い古されているが、大事にされてたのだろう汚れはない。
通じ合う心に祝福を。春世恋。
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