入見 日夏
◆陣営 : Evil
◆名前 : 入見 日夏 (いりみ にちか)
◆性別 : 女
◆年齢 : 19
◆身長 : 165cm
◆体重 : 45kg
◆血液型 : AB
◆ステータス
【HP/9(+15)、攻撃/6(+5)、魔適/9(+24)、耐久/6(+2)、魔耐/1(+10)、敏捷/7】
◆装着スキル / SP : 300(+270)
◆
個人ページ
桃色の長髪を右肩に垂れさせ編みこんでいる。
前髪は左にまとめピンで留めていたりそうでなかったり。
何かを恍惚として見るような薄ピンク色の瞳で少しだけ太いたれ眉。
いつも穏やかに微笑むような表情を浮かべており
何を考えているのかはぱっと見伺い知れない。身体に無数の手術痕がある。
一人称:わたし 二人称:苗字にさん付け 基本的に間延びした敬語
家族や過去、現在に至るまでの記憶が皆無の彼女だが
「愛とは素晴らしいものだ」という概念は根強く残っており、
愛ゆえの愛ゆえにどんな手段を選ぼうとそれが彼女の中心となり行動する。
基本的に穏やかで口調ものびのびとし、脳内はお花畑。
しかし彼女の愛を謳う声に対して度を超えた否定、嫌悪感を示すものに対しては
ほんの少し苦手意識を持ってしまうようになる。
記憶を無くしたことに関しては彼女自身どうでも良いと思っている節があるようだ。
薬物に対して身体的に異常な抵抗能力を持っている。
◆返還記憶-----
裸足で雨の中をよろめきながらも歩いていた。
何故外に出たのか、分からない。寒さで肩が震える。
こんなにも冷たい雨が降っているのに何故、なぜ。
ひんやりとしたアスファルトにぺたりと置いた自身の爪先が
溜まった雨水で真っ赤になりつつあるのを見ながらもぼうっと疑問に思う。
よろよろと歩き表に出ると灰色のアスファルトの上を
まばらな色がひしめき合って交差していた。ああ、きれいーー
雨日でしか見れない光景に目を奪われ足は止まる。
そう、これはきっと偶然なのだろう。
見られていた。一番見られてはいけない人物に。それに気付けなかった。
赤色の傘がアスファルトを叩く。 多々ある色からあかが消える。
もったいない、と少しおもった。
ふわりと耳元を覆うような声。
懐かしい、ように聞こえる声。
「終わりだよ、俺達は。これで全部終わる。
まあ、おまえはもっと前から全部失くしてしまっていたけれど。」
「これで全部オレも、俺達の馬鹿げた性悪人生は終了だ。」
よかったな、とどこか嘲笑気味た言葉とともにわたしの首に縄をかけようとする。
「ああ、にちか。おまえは本当に、かわいそうな奴だよ」
そう最期に言って笑ったのは、誰だったか−
何時もと違う黒に近い紺色の布地に真っ赤な紐状のりぼん。
いつもと同じなのは下に着ている白いシャツ。
それらを身にまとっているだけで違和感、というよりなにより気恥かしさを感じていた。
たった数回しか袖を通さなかったソレだけれど、
同じ洋服の女子生徒が沢山いるその空間は何故か冷め冷めと、空気が重かった。
そのなかに皆と同じ様。
同一化されそうで、この空間や服に飲み込まれてしまう、そんな気がして嫌だった。
眠りから覚めると真っ先に真っ白な天井が目につく。
壁天井に向かって、おはようございますと声をあげる。
喉がひりひして、締め付けられて、息をするのも少しつらい。
ひゅっと息を飲んで口をつぐむ。自身の掠れる声は響くだけの声量を持たない。
こうやって声をかけるのは周りに誰かいるかどうかの確認だ。
しんと静まる白の天井。返答は、無い。 誰も居ないみたいだ。
その都度感じる 、ぽっかりと胸に穴が空いたような感覚が、少しにがてだった。
窓の外はころころと色がかわる。
緑、青、白、ピンク。
わたしが絵の具で表現しようとしてもできないであろう色彩が、窓の外に広がっている。
わたしはそれが綺麗、だとは思わなかった。
けれどたまたま同じ病室にいたおんなのこは違って、
嬉々として変わりゆく窓の外に興味津々で綺麗綺麗、とはしゃいで
窓にべったりと張り付いていた。わたしは、その様子を後目にいつもの絵本を手に取った。
ーピンクに染まる窓の外の時期、そのおんなのこは居なくなってしまった。
色が、瓶一杯の色彩が、溢れたのだろう。与えられすぎた色で溺れ、花は枯れてしまった。
ちゃあんと蓋をしていれば、何時までもいつまでも.....好きなものを閉じ込めて蓋をして。
永遠に、窓の外の色を、その瞳に映ったもの全てが…。
1冊の絵本を手に取りぺらり、と捲る。
本当は、あの子のように、なりたかったのだ。
器いっぱいの感情で、激情で、憎しみで、溢れて。
ああ、あの子よりも、大きな花瓶を作らなくちゃ。
大切なわたし自身、を溢れさせてしまわぬように。
いつか其れを満たしてくれる愛のために。
一緒にいこう。と言ってくれた。
悪夢を共に見続けようと、少女と共にと、そう望んだ。
あのモノクロの愛の形にも眼を止めず
細身のその少女を力強く抱きしめながら
雨とともに、その身を落としてー
「……、はじめまして?」
少女は微笑み。応えてくれた。
「レインと、そう呼ばれてました」
−− 私の愛に応えてくれた、水色の少女。
私にとっての応えが、愛が、ほら。
また、1からでもいいんです。
−−− 一緒に行きましょう。
与えれば、受け入れられる。皆何かを求めていて、与えられれば幸せそうに微笑むの。それが当たり前だと思っていた
形が違えどわたしは私の全てをあの人に受け入れて貰いたかった。
少し皮ばった首を両手で優しく包み込む。
−受け入れて受け入れて受け入れて私のすべてです私の愛です貴方から与えられ続けて溢れてしまいそうなんです受け入れてください共有してください愛してください。
次第に絞める手に圧をかける。
お父様の顔が歪む。
虚ろな目でわたしを、見あげてくれている。
嗚呼、うれしい、嬉しい。
私をもっと、もっと見てください。あなたからの愛を受け入れ続け、こんなにも《愛》あふれた私を。
………今向けられている感情が何なのかは知っている。
思わず目を細める。口角があがる。
−−楽しい嬉しい愛おしい。
愛とはなんて、素晴らしいのだろう。
両腕にお父様の震えた爪がくい込む。一瞬思考が止まった。………?これは、この手はなんでしょう。拒絶の意思?…なぜ、何故?
まだまだ沢山あるのに、離そうとしているの?
私からの愛を、拒もうと、しているの?
だめ、だめ、受け入れて。受け入れて受け入れて受け入れてください。無我夢中にのしかかると、ごぽりと泡のようなものがお父様の口から零れた。
お父様の瞳が私を捉えたまま離さずに、花開いていて、雷で窓の外が光った際に、反射して、私が映る。
まだ、まだ、まだまだ、…ダメです。
もっと受け入れてくれなきゃ、そうしなきゃ、このままじゃ溢れて、狂ってしまいそうなんです。
ねえ、私の愛は、父様から与えられたもの全てで出来ています。
これは愛なのでしょう?ねえ、ねぇ、……受け入れて、しなないで、置いていかないで。
雷の音と光が窓を責め立てる。がたがたと揺れる。
項垂れながらも口は開く。
「------…?」
目の前の肉塊に何度も問うたが、応えはなかった。