花鶏 ひな
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◆陣営:Evil
◆名前:花鶏 ひな (あとり -)
◆性別:女
◆年齢:16
◆身長:158cm
◆ステータス
【HP/7、攻撃/9、魔適/5、耐久/6、魔耐/9、敏捷/4】
◆装着スキル / SP : 300
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個人ページ
茶髪に紫眼の多少見目と要領がいい極"普通"の女子高生。
特筆するような点もない。
そこそこ明るい性格で、
そこそこ御人好しな性格で、
そこそこ努力家な女の子。
自己主張をせず、周りの顔色を伺い、大多数に紛れるようにして行動する癖がある。
そのため、流行りに弱く他人の言動に流されやすい。
記憶が無くなった事に対してはまるでドラマみたい、と引き笑いをしつつ
状況への警戒と恐怖と、少しの"楽しみ"を共に抱いている。
自分は一体何をしていたのか、どうしてこうなったというのか。
少し的外れた夢のような現実に、ドキドキしているのも確かだ。
◆返還記憶-----
友達が面白い雑誌を見つけたと言った、顔を付き合わせて眺め楽しんだ。
友達が誰かの事をムカつくと言った、一緒になって其奴を省いた。
友達が親と喧嘩をしたと言った、漏らされた悩みに自分も涙を浮かべていた。
友達が恋人が出来たと言った、自分のことのように、手を叩いて喜んだ。
一緒に笑って、一緒に怒って、一緒に泣いて、一緒に楽しんで…一緒に合わせて。
…"友達"って、そういうものなんでしょ?
絶対に、嫌だと。
好きでもない人と、顔すらも知らない婚約者と。
結婚をするだなんて、絶対に、嫌だと。
そう何度も言っても、言っても、言っても、言っても。
「我を言うものではありません」
嗜めるように目を細められるだけ。
「いい加減に、覚悟をお決めなさい」
私の知らない所で、私の知らない話が進められていく。
初めて、どうにも出来ないと言うことに焦燥を覚えた。
それ程までに、嫌だ、と感じた。
だって、こんなの、「普通」じゃない。
今までも、この家は余り「普通」じゃなかったけれど。
「………」
幾夜過ごしても「覚悟」なんて、出来なかった。
私は一人、夜の内に"それ"を決めた。
「ひなちゃんって、ちょっとちがうよね」
ある日唐突に、そう"友達"に言われた。
何か他にも言われた気がする。
何だったか、お金持ちだとか、可愛こぶってるとか、誰々が私を好きだとか。
しょーもない。子供が思うつまらない事。
私からしたら、はぁ?って感じ。
そして、次第にグループは離れていって、
"皆"が私を見ると、くすくすと笑って遠巻きに身を引くようになった。
物を捨てられるとか、暴力を振るわれるとかされたわけじゃない。
でも、"皆"に"仲間"と認められない事は、とても、とても、辛い事だった。
…いじめ、か。
ねえ、ひなちゃん。
私と---ちゃんだったら、どっちの方が好き?
「---ちゃんより、--ちゃんの方が好きに決まってるじゃん!」
私は笑顔でそうでまかせを答えて、内心だけで考えた。
"どっちにつくのが正解だろう?"
"どっちについた方が、私にとって有利だろう?"
"どっちにつけば、私の得になるだろう?"
そういう直感だけは凄かったと想う。
私が選んだ友達グループの方が、いつも必ず力をもっていく。
それは少しだけの優越感、そして自信。
私、先を選ぶのだけは上手だった。
何処にいっても都合が良い女なんだ、私は。
それは学校でも家でも変わらない。
私は「女生徒」で、「取り巻き」で、「ちょっと悪い子」なのだと。
私は「女」で、「品物」で、「道具」なのだと。
出来るだけ見ない振りをしていたものを、あの日思い知らされたんだ。
珍しい白い髪に、綺麗な黒い瞳。
まるでお人形みたいに綺麗な女の子。
こんなに可愛い子が、私の友達だなんて、ちょっとだけ誇らしい。
無防備すぎる彼女に少しだけ安心したのか、私は思わず笑ってしまったんだ。
「仲良くなりたいから、私はこころちゃん、って呼ぶね」
手を繋ごう。
きっと、私達、親友になれるよ。
「約束して下さい」
それは家での決まりごと。
女性らしく、子供らしく、花鶏家に相応しい者らしくいよう。
「皆の約束だよ」
それは学校でのルール。
グループらしく、流行り物らしく、目立たず主張しない者らしくいよう。
「…約束しよう、こころちゃん」
自分から小指を交わしたのは、はじめてだった気がする。
差し出した小さな指に、おずおずと指が絡まされた時。
確かに、私達は大事な約束を交わした友達だった。
彼女が、私と同じ世界で生きれますように。
私の家では女性の立場が低かった。
お祖父さんやお父さん、尊敬する所なんて何一つ無かったのに。
ぺこぺこぺこぺこ、いつも頭を下げて。
にこにこにこにこ、楽しくもないのに笑って。
期限を損ねたら罵声や躾が飛んでくる。
お母さんはより低い立場の女性へいばってばかり、怒ってばかり。
どうして、家族なのにこんなにも心が分かたれているんだろう。
…家族なんて、敵同士みたいなもので、明確な他人だ。
私は、自分の立場を間違えないように、じっと息を潜めてそれを見ていた。
少しだけ肌寒い、冬が近づいた深夜。
今日を、決行日に決めた。
玄関の鍵を開け…たら、警報装置が鳴ってしまうかもしれないから。
私の部屋の窓を開け、部屋から出て、
静かに足音を殺して慎重にゆっくりと焦らず家裏に回る。
怪しい人には吠えまわる犬達も、
家人の私なら、無駄鳴きもせずに尻尾を振って見送ってくれる。
私はそんな彼等に少し笑って、手を振って、前を通り過ぎていく。
小さな裏門まで回れば、後は掠め取った鍵で外して、外へ出るだけだった。
誰も起きてこない、誰も私の事に気づかない。
何時も通りだけど、今日ばかりは何時もどおりで本当に良かった。
家を出ただけなのに。
家を出るだけなのに。
門から踏み出した前進の一歩は、とても気持ちのいいものだった。
さようなら、花鶏。
私は今日、家出をします。
秘密は沢山抱えていたように思う。
友達から内緒話のついでに背負わされた秘密。
もう二度と省かれないようにとひた隠しにした身の上の秘密。
自分が之から先にどう扱われるかという秘密。
口にも出せない秘密は少しずつ溜まっていって、
結局誰にも話せないまま時間だけが過ぎていった。
……そう、輪の中に入れたとしても、変わらない。
私は、誰にも、深い事を何も話せない。
自分の事なんだから、自分でどうにかしなくちゃね。
どうせ、友達なんて。
誰も助けてなんかくれないんだからさ。
腐臭と血、痛みと憎しみと苦しみに塗れた戦場を歩く。
刺すような臭さに思わず鼻口を覆いながらも、忙しなく辺りを見渡して。
誰か、誰か…、生きているひとは居ないの?
敵のひとは死に、味方のひとも死に、私が助けられるひとは誰ひとりとして見当たらない。
私は、自分で決めた私の役割を、ちゃんと果たせているのだろうか?
このまま、何も出来ないままなんて、そんなの、……。
躓き膝を切って、泣きそうになりながらも、生き残りを探す、探す。
…………そうして、私は見つけたのだ。
「…!」「ねえ、あなた、大丈夫?しっかりして!」
「今、あなたを助けるから……!!」