ヘデラ・クレース
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◆陣営:Evil
◆名前:ヘデラ・クレース 〜Hedera・Cleas〜
◆性別:男
◆年齢:21
◆身長:182
◆体重:74kg
◆血液型:O
◆ステータス
【HP/7(+23)、攻撃/10(+16)、魔適/4、耐久/8(+4)、魔耐/3、敏捷/8】
◆装着スキル / SP : 300(+230)
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個人ページ
日に透けると金に輝く藁色の髪。
柔らかな猫毛で、胸元ほどの長さのそれを肩程でゆるく結わえている。
目は一見黒に見えるが、光の加減で緑を垣間見れるダークグリーン。
穏やかな目元をしている。
爽やかで好青年的声色と口調。優しく無邪気な笑顔を見せる。
優男に見える外見をしているが、根は攻撃的で粗雑。自由奔放。
悪気なく人の領域にずかずかと割り込む空気の読めない男。
むしろあえて空気を読まないときもある。
酒を飲むと理性のリミッターがはずれ大変なことになる。
記憶が無い事は割りと楽観的でなるようになる主義。
でもどこか胸の中がぽっかりあいたような寂しさを感じる時もある。
そういう時はやたらと人に構ったり、一人鍛錬をして気を紛らわせている。
◆返還記憶-----
あいつは村の"宝"を奪っていった。
元々反抗的で自分勝手な男だった。
だが自分の足枷を作るほどの馬鹿ではないと思っていたのだが……。
どうしたものか―…
決断を―…
村人が俺を見ながら答えを待った。
"宝"は村の宝であり、俺の宝だった。
閉じ込めて、俺だけが触れられて、俺が守る大切なものだった。
村への示しもあるが、己の黒い渦が胸をかき回す。
「そうだな……あいつを見つけて、つれて来い。
俺が手足を削いで目を潰し舌を切り捨て腹を開いてやる」
そうだ、反逆者には苦痛を―……。
自分だけの愛情が欲しかった。
特別な感情を自分だけの物にしたかった。
幼い頃からずっとあがいて、手を伸ばして、でも叶わなかった願い。
多くの人間に認められ、愛されていた自覚はあったが、欲しかったのはそれではなかった。
とても贅沢な願いだ。
叶ったかどうかわからない。
だが、自分は指輪を持っている。
巫女は天の声を聞き、生まれた子供に武器を与える。
それはその子供を守るため。
いつかそれを振るって自分の強さを手に入れるため。
強きを重んじる村では、巫女は始まり。
巫女は村の宝とされ、誰からも愛された。
そんな彼女を守る、それが自分に与えられた役目。
水晶の短剣を彼女に謙譲し、言葉をのせる。
「私の心はここにあります。貴女に降り注ぐ災厄を、この刃が絶ってくれますように。
どうか貴女の未来この刃のように透明で、美しいものでありますように」
そして彼女を守る権利を得るのだ。
そんな信仰の中に、俺は黒い物を抱えていた。
彼女が俺だけの物になればいいのに……。
今まで諦めたことなんてなかった。
目標としたものは手に入れるまで何度も手を伸ばした。
大体のことは諦めなければ手に入れられるものだと思った。
だけど、あの時は違ったんだ。
彼女は俺以外を選んだ。
自分が守ると決めていた彼女。大切な俺だけの宝物。
この時ばかりは、どうしようもなかったんだ。
ただ、諦めるしかできなかった。
一人、涙を流してた俺に寄り添う影があった。
ああ、あれは誰だっけ……あの存在が、俺を救ったんだ。
まどろみの中で歌声が聞こえた。
優しく髪を撫でながら、紡がれる子守唄。
人の気配があると眠れないが、彼女にだけは心が許される。
手を伸ばして頬に触れると、彼女は優しくはにかんで微笑んだ。
そのまま瞼を下ろす、歌声に吸い込まれるように。
安らかな眠りへと彼女は誘った。
彼女は一体誰だったのか……。
幼い頃から、あいつとは武器を交えてた。
なんとか勝ったと思えば、次交えた時は自分を超えていく。
あいつには負けたくないと、鍛錬を繰り返した。
だがあいつは何もしていないくせに、気づくと俺を抜いていく。
ああいうのが天才なのか……悔しさと嫉妬に溢れていた。
だからあいつと戦うのは楽しい。
あいつを負かした時、俺は認められた気分になる。
そして相手も笑いながら、すぐ超えてやるよと言っていた。
お互いを高めあえる存在。俺はあいつを認めていた。
夕日を見ると思い出す。ああ、あいつも夕日色の赤毛をしていた。
笑った姿がやけに苛立つ、むかつくやつだった。
自分が求めた相手に愛して欲しいという欲求があった。
一途にたった一人を求めて、他は目に入らなかった。
最初に求めた彼女は赤毛に黒い瞳の女。
快活で強い女。俺が欲しいものを持っていた。
それは強い憧れだった。
それを自覚した俺はもっとあるべきものに目を向けた。
次に求めた彼女は黒髪に俺と同じ瞳の女。
慈愛に満ち溢れていて庇護欲をそそった。
誰よりも守りたいと願っていた。
だがその場所は奪われてしまった。
最後に求めた彼女はアッシュの髪に碧の目の女。
精神的にも肉体的にも強かな理想の女。
気づけば夢中になり、気づけば愛していた。
彼女とは……どうなったのか……。
子供の頃から背中を追っていた。
明るく快活で、精神的にも肉体的にも強い。
まさに理想の女性だった。
「いいから俺の嫁になりやがりなさい!!」
「馬鹿いってんじゃねえよマセガキ!」
そう言って彼女に刃を向けていた。
彼女はいとも簡単に刃をはじき、俺を蹴倒して不敵に笑うんだ。
「俺はお前の叔母だ、いい加減諦めろ」
俺はむくれて彼女を睨む。
逆光で輝く赤い髪に、黒い瞳の初恋の人。
「愛に血は関係ねえですよ」
そう、そんなものは関係なかった。
彼女はため息をついて頭を殴る。
だからお前は馬鹿なんだと言われた。
今ならわかる。俺は「理想」に恋をしていた。
それは彼女じゃなくてもよかった。
そう、彼女に抱いていたのは強い憧れ。
俺はあんなふうになりたかったんだ。
攻撃を庇って腕に傷を受けた。
代わりに相手に届くように攻撃をした。
体がいくら痛んでも怯むなと、そう教えられた。
痛みのない戦いなんて無い。
痛みが無ければそれはただの暴力だ。
たとえ体に傷を負わなくても、心の痛みを忘れるな。
そう教えられた……。
が、
俺は他人を傷付けても心が痛まない。
何故なら相手は弱者だからだ。
現れる感情は「残念だ」というもの。
そこに強さが無いのなら、死もまた仕方ないだろう。
いつからだ、心が痛まなくなったのは。
……最初からだったかもしれない。
俺の心は相手を傷付けることに、罪悪を感じなかった。
肉体の痛みしか、自分に通じる痛みはない……。
相手の手を、水をすくうような形にさせる。
そこに祈りを注ぎ込むように唇を寄せる。
『その両手いっぱいに祝福を』
相手の額に口付けをする。
心は頭の中の思考に繋がっていると伝えられている。
『あなたの心に届きますように』
相手の手を自由な形にして、そのまま抱きしめる。
自分の体を預けるように。
『どうか私を受け取ってください』
里に伝わる求愛の証。
突き飛ばされたなら、破局。
そっと推し返されたなら、考えさせての合図。
抱きしめ返されたのなら、気持ちを受け取って貰える。
自分の想いを受け取って欲しいと、願いをこめて……。
あなたが欲しいと、願いをこめて……。
ああ、彼女の選択は……どうだっただろう。