ユメト・クラウニー
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◆陣営 : Justice
◆名前 : ユメト・クラウニー
◆性別 : 男
◆年齢 : 24
◆身長 : 177cm
◆体重 : 63kg
◆血液型 : 不明
◆ステータス
【HP/8(+5)、攻撃/4(+18)、魔適/9(+16)、耐久/7(+8)、魔耐/7(+8)、敏捷/1】
◆装着スキル / SP : 300(+300)
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個人ページ
◆概要
日に当たると明るい色を見せる茶髪に、深い翡翠の宝石を思わせる緑の瞳。
道化師を思わせる変わった形状の帽子を身に付けている、黒い衣服の青年。
やや女顔だが、体格や言動からはどう見ても男性である。
明るく元気な性格で、悪戯好きな面がある。
炎のように熱い心を持つヒーロー気質。
やんちゃな反面、時折動作に品がある。
本気で怒ることは少ないが、怒るときは雰囲気が変わる。
表情豊かで、普段はよく笑顔を見せる。
他者に無遠慮に踏みこまれ「楽しまれる」ことに拒絶反応を示すことが多い。
そういったときは道化じみた笑みと言動を張り付け、底を見せないことがある。
一人称「僕」/二人称「君」「あんた」「お前」etc.
「大丈夫だって。僕に任せろ!」
「てめぇどういうつもりだ」
「頼るってむずかしいよなあ……」
記憶を失っている状態には不安を覚えるものの、それらに対する弱音を吐こうとはしない。
なんとかなるさ精神で生きている。
とはいえ、無理しないように心掛けてはいるようだ。
また、ここは記憶を失う場所なのだから、と開き直っている節もある。
◆返還記憶による変化
弱音を吐かないのは、頼ることが苦手だから。頼り方が分からないから。
過去の経験ゆえに、人に甘える・頼るといった行為が苦手である。
本人としては「元の世界の自分」の二の舞にならないように
気を付けているつもりだったらしいが、あくまでつもり。
最近は交流によって改善傾向にあり、
麻痺していた感覚が戻ったり、歪んでいた"基準"が治りつつある。
親しい相手には素直に弱音を吐けるようになったようだ。
また、ヒーロー気質だったりする面は変わりないが、
元の彼が持つ柔和な面も現れるようになった。
◆返還記憶-----
「ほら、××××! もっかいやってみようぜ!」
まだ小さな頃。僕は誰かと、黒い髪の子と一緒に何かやっている。
「ユメト、俺、もう無理だよ……やっぱり俺、落ちこぼれなんだ」
「違う! だって××××は耳も尻尾も隠せるんだろ? じゃあきっと何かあるはずなんだ!」
「そ、そうだけど……ユメトが特訓に付き合ってくれてるのに、俺、何も……」
特訓。何の特訓だろう。
「大丈夫だって、僕が保証する!」
僕はそう言って、黒髪の男の子に手を伸ばす。
男の子が僕の手を握る。夜空色の目が僕を見た。
「俺もユメトみたいに強くなりたいなぁ」
そう言って力なく笑った男の子の手から、赤い炎が生まれた。
それは、僕の能力……?
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まだ10歳にもなってない頃、黒い髪に夜空色の瞳をした男の子との特訓の記憶。
静かな屋敷、窓から射す陽光。
その場にいる、僕と君。
白い彼が僕の名を呼ぶ。
「ユメトさん。……ユメト様、のがいいんですかね」
「どっちでもいいよ」
僕はくすくすと笑う。
「はぁ……それにしても、まさかこんな屋敷に住んでるようなすごい人だなんて。僕、聞いてませんよ」
じと、と目を据わらせて僕を見る。
彼の瞳は、僕と同じ色をしていた。
「隠してたわけじゃないんだけどね」
そう応えれば、白を纏う彼は僕とよく似た顔を僕と違う表情をとって溜め息を吐いた。
「まあ、今更気にしても仕方ありません。……改めてよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね、夢人くん……いや、メーユ・ミロワール」
彼の偽名を呼べば、彼は笑みを張り付けて微笑んだ。
ずっと独りだと思っていた。
ずっと君を疑っていた。
だけど君は、ずっと僕のそばにいた。
僕の相棒でいてくれた。
君を呼ぶ。ああ、でも、これは僕が君のその姿につけた呼び名だ。
君の本当の名前は。
『アルティ』
やっと呼べた、思い出したよ。
──思い出したくなかったよ。
痛い、
赤が散って、体がぐらりと傾いて
目の前に落ちている腕が自分の一部だったなんてのも現実味が無い。
いたい、
とっくに痛覚なんて麻痺している。
だから、今、悲鳴をあげているのは、
言うなれば、心というものなのか。
……ああ、
僕はまだ、 だろうか。
(とっくに壊れているって知ってたよ)
運命とは不思議なバランスで噛み合うものだ。
そして全ては必然だという。
君との出会いもまた、必然だったのだろう。
髪と瞳に狂おしいほどの赤を宿す、必然の魔女ローテローゼ。
あなたのことを記憶に留めよう。
(またゲームをしような)
「ユメトさんの夢ってなんですか?」
そう問われたのは、初めてじゃない。
その度に僕は「わからない」と返していた。
「皆が幸せなら」と返したこともある。
だけど、「ユメトさんは?」と続けられて、
僕はやっぱり「わからない」と返した。
その日は何が違ったんだろう。
僕はその問いに、久しぶりに答えた。
ぽろ、とこぼれてしまった。
「皆と一緒にいたいなあ」
(ああ、そうか、「生きたい」と願ったんだ)
「魔霊石?」
思わず聞き返せば、試作品だと言うビー玉のようなものを渡された。
「要するに、他者のスキルを使えるようにするための魔具だな」
またこの人はとんでもないものを作ったなあ、と思ったことを覚えている。
「まだ量産するにはコストが重すぎるがな」
目の前のやたら若い研究者は肩を竦める。
「そんなことを言って、レンさんならそう遠くないうちにできるでしょ」
「はは、当たり前だ」
自信ありげに返す彼に、僕は笑みをこぼした。
「で、僕を呼んだってことは、僕のスキルを使いたいってことだよね」
「話が早くて助かる」
「君の研究のためなら、喜んで」
そうして出来た魔霊石は、赤と黒を湛えて鈍く輝いていた。
真っ白な衣装はところどころ裂けていた。
金色の仮面は土埃でくすんでいた。
ユメトさん、
そう小さく呟いた、白い彼の体が傾いて、
僕は必死に彼を抱きしめて、ひたすらに彼の名前を呼んだ。
夢人くん、しっかりして、ねえ、
なんで彼が戦っていたのだろう。彼は絶対安静だったはずなのに。
──僕が彼のそばを離れたから。
目の前の黒いローブの人影は、金色の髪を揺らして、紫色の瞳を見開いていた。
「なんで、アンタがここに……!」
ああ、そうか、こいつか。こいつが夢人くんを傷つけたのか。
夢人くんに"呪い"をかけたのもこいつだ。
「……貴様、覚悟はできているのだろうな」
僕の口からこぼれた言葉は地を這うほどに低かった。
ああ、まずいな。どす黒い感情が渦巻く思考の片隅でぼんやりと思う。
僕からわずかに漏れた黒い力が周囲を蝕んでいる。
それを見たからか、単純に僕を恐れたのか、目の前の男はどこかへ逃げだした。
追いかける気は起きなかった。それよりも白い彼の方が心配だったから。
仮面を外してやれば、片割れよりも僕によく似た、血の気の失せた顔が覗いた。
(間に合って、よかった)
また「僕」が消える。
また「僕」が忘れられる。
これで「僕」は何度消えたのだろう。
この生活をいつまで続ければいいんだろう。
僕はいつまで、もつのだろう。
僕の心は、体は、まだ、もつだろうか。
不安がおちる、胸に、鉛のように、落ちて、たまって、
(くるしい)
焦燥は尽きない。
立ち止まってはならない。
立ち止まったらもう、立ち上がれない。
僕はことごとく悪手をうってしまうらしい。
どうすれば助けられたんだろう。
どうすれば抗えたんだろう。
もう、すべては手遅れだ。
僕がここにいるからユウトが傷つく。
僕がいても何にもならない。
僕がいなければ、ユウトは、皆は、
──なんだ、僕が消えれば、いいんじゃないか。
牢の中から、壊れていく弟を見つめ、僕は笑った。
ずっと嫌いだった僕の力が、初めて価値を持った気がした。
(僕は"僕"に絶望していたんだろう)
最初はおかしいと思ったんだ。
最初は抗おうとしたんだ。
だけど、
「お前が使えないなら弟を当主にするまでだ」
ユウトが僕と同じ目に合う。
それだけはどうしても、嫌で、
だから僕は大人しく使われることを選んだ。
誰にも会えなくなって、寂しくて、
痛め付けられて、怪我をして、
少しずつ僕が分からなくなっていって、
でもこれでよかったんだ。これが正解だったんだ。
だから、だから、
この力(スキル)だけはばれませんように。
――ほんの僅かな、反逆。
(結局それも無駄になってしまったけど)
あたたかな屋敷の中。窓から見える星空は真冬だからかとてもきれいだった。
机の上にあるケーキを作ったらしい彼女が「自信作よ!」と胸を張っていた。
皆がきれいに包装された箱を僕と弟に手渡して、それから、クラッカーが鳴り響いた。
弟は嬉しそうに笑って、僕も、笑みを浮かべる。うまく笑えているだろうか。
「プレゼント、開けてみてください」
いつもは和装の彼女が、珍しくドレスに身を包んでいたことを覚えている。
促されるままに開けてみれば、普段使えそうなペンやおしゃれな手袋なんかと一緒に、
淡く光るビー玉のようなものが目に入った。
「ユメトはすぐ無茶するからなあ」
けらけらと金髪を揺らして彼が笑った。
「まったく、まだ試作の段階だって言ったはずなんだがな」
小さな研究者は面白そうに笑った。
「皆で考えたんだ。ユウトさんも、ユメトさんも、僕たちになかなか頼ってくれないから」
銀色のしっぽを揺らして、狐の彼も笑う。
「……離れてたって、それがあればお前らの助けになるかもしれないだろ」
夜を思わせる相棒が、照れくさそうにそっぽを向いた。
「要するに、もっと頼ってほしいってことよ。
せっかく皆また集まれるようになったんだから、ね?」
ケーキを自信満々に見せてきた夕焼けを思わせる彼女も、少し照れていた。
『誕生日おめでとう』
(僕はまだ、)(消えなくていいんだろうか)
ねえ 覚えてる?
どうにも素直に話すことが苦手な僕たちの
互いだからこそ交わした約束
“隠しごとをしないこと”
だから信じたんだよ
ねえ 夢人くん
うそつき
──手の中の、淡い白色の光は、とても温かかった。
僕が選んだのはすべてを終わらせること。
歪んだ歯車を取り除いて「正常」にすること。
──なんだ、僕が消えれば、いいんじゃないか。
そう初めて"気づいた"のはいつだっただろう。
僕はそのときが来るのをずっと、ずっと待っていた。
「ユメト!」
僕の相棒が、夜色の瞳で僕を見た。
「ユメト、逃げるぞ!」
逃げようと促す相棒の前で、僕はゆるく首を振って、自分の首に手をかけた。
「ごめんねアルティ」「――バイバイ」
それで終わるはずだった。僕の選択は、そこで完成するはずだった。
だけど、アルティが僕の腕をつかんで、
「……悪い」
僕が不思議そうに、首を傾げる。僕の気が逸れた、その一瞬。
「これは俺のエゴだ」
僕の意識は、そこで途切れた。
あの頃は世界はどこまでも明るくて、
広くはなくても、優しい父様と母様がいて、
弟も一緒で、だから僕はその世界に何も不満なんてなかった。
だけど父様と母様が僕の目の前で死んだあのときから、
僕の世界はぐしゃぐしゃに壊れてしまった。
戻れなくても、それでもいいから、面影だけでも見たくて、
二人の写真を探して、気づく。
二人に関わるものが何一つ遺っていない。
きっと捨てられてしまったんだろう。
あの二人はもうどこにもいない。
どこにも。
冷たい石の壁に囲まれて、視界は檻にさえぎられる。
外のことは何も分からない。
ここに居るようになってどれくらい経ったのだろう。
もう、何かを考えることすら苦痛にしかならなかった。
現状を受け入れて、思考を放棄して。
僕は怠惰に、檻の中から狭い世界を眺めていた。
声をあげることすら放棄して。声のあげかたも忘れて。
足掻くには時間が経ちすぎた。
足掻くには、力が足りなかった。
(誰か、助けてよ)
「ありがとう、叶え屋さん」
「都市伝説って本当だったんだな、ありがとう」
そんな言葉を君たちは吐く。
だから僕は決まって、こう返す。
「これくらいどうってことないさ。それより、
ただで願いを叶えてもらおうなんて、虫が良すぎると思わない?」
その言葉への反応は様々だ。怯える者、憤る者、……いい反応は大抵ない。
「ふふ、安心してよ、簡単なことだからさ」
僕はそう言って笑う。簡単で、そして、難しいことを僕は願う。
「ぼくの名前を憶えてほしいんだ」
なんだそんなことか、そういう反応も何十回と見てきた。
「ユメトさん、ありがとう!」
どうせ君も、その名前ごと僕を忘れるくせに。
君の"衝動"とはなにか。
──"消えたくない"、"死にたくない"、僕は"僕"のままでいたい。
それは君の呪文の性質、君が操る事象の姿。
映し出されたのは、赤い印。契約の印、繋がりの証。
その色は抗いのように。君の存在と、世界を繋ぐ証明……。
君の"理性"とはなにか。
──道化。心を隠し、その演目の上で笑うこと。
それは君の持つべき杖、君を律する友の姿。
手に取ったのは、鏡の仮面にゆらめく炎を隠した杖。
感情を隠し、演じ、偽り、道化のように笑うもう一人の自分。
君の"伝えたい事"とはなにか。
──支え合う事。君に笑っていてほしい、どうか僕も笑えるように。
それは君の持ち歩く呪文。君が世界へ答える解。
"君が笑むため、僕のため。涙を落すそのときも、
けして独りでないように。君と僕で歩んでいこう 繋がる手と手を証にしよう"
忘れないで、此処にいる今を。……記憶を繋ぎ止めるように、君はそう唱えた。
君の"最も恐れるもの"とはなにか。
──消滅。何もかも、何も残らないこと。築いた関係も、命も、存在も。
それは君が、自覚すべきこと。強大な力を操るものとして、知るべきこと。
君の契約相手として選ばれた魔女は、
"すべては色褪せ、忘れ去り、掻き消えるままに手放す" 呪いを持つ、「忘却の魔女」。
名目上、君は彼女の僕となる。けれど忘れないで。
いつでも君は、それに立ち向かうことができる経験と知恵を携えているということ。
繋ぎ止め、記憶し、ここに在ることを"確かに"証明する……、
"存在の魔術師"の名を、君に。
すべての知恵に忠実でありなさい。その時こそ、君は魔術師と呼ばれるのだから。