揺れる思い
翼「!!」
蜜柑に向かって走っていた翼は何か思い当たることがあったみたいだ…
私はとにかく蜜柑とルカ(くん付けはもう良いかなぁと…)を抱きしめている。
翼は棗の腕を掴み私達の方に滑りこんできた
蜜「つば…」
『……ッ』
と、話しかけてきた蜜柑と実奈を思いきり抱き締める
そして地面の影を確認した。
(よし、影は繋がってる)
地面の影に手を当てると心の中で強く念じる。
[[静まれ]]
翼のアリスが発動し辺りが一気に静かになる。
翼「お、お〜…」
しばらく様子を窺っていた5人はほっと息をついた
蜜「ルカぴょん足大丈夫?」
流「うん…一瞬だったしブーツが丈夫だったから…」
その後、少し進んだ場所で休憩することになった。
難を逃れたものの流架のブーツは石になっていてもしそれが体に当たっていたら…そう考えるとひやりとする…
流架はしばらくブーツを見つめていたがほんのり頬を染め蜜柑を見上げた
流「…それに…佐倉と実奈先輩がすぐ助けてくれたから…」
蜜「そんなことないー…へへ」
2人の間に和やかな空気が流れる
翼「やっぱこれだったか…殿がくれたネックレス」
蜜「あう?」
流「………」
空気の読めない翼に横入りされも言えなくなってしまう流架
そんな彼の心境を知らず翼は話始めた
翼「お前のアリスがいきなり強くなったのと俺がさっきあんな広範囲の木を一気に影あやつり出来たのも…このアリスストーンのせいだよ」
蜜「え」
初めて聞く言葉にきょとんとする蜜柑
『能力が封じ込められた結晶石…殿内のアリスストーンだから要するにこの石は増幅のアリスの石って事』
それまで黙って話を聞いていた実奈が空を見ながら説明した
翼「まっそ―ゆーこと…しっかし何この色…毒々しいムラサキ」
『殿内のやらしい性格が反映した能力色よね…』
翼と実奈は2人して殿内のアリスストーンを馬鹿にしている
蜜柑はそんな2人を見てあることに気付いた。
蜜「あ、その石の色…貰った時よりすごく薄くなってる」
翼から受け取ったアリスストーンを蜜柑に返しながら
『そりゃ使えば石に封じ込めてあるアリスも減るもの…当たり前』
翼「アリスが減れば石についた能力色が薄くなる仕掛けだよ…俺も使っちゃったしもう残りわずかかもな」
2人の説明を聞きながら蜜柑はネックレスを見つめている
(あの時…何かにすごく守られてるような気がした…これが…)
翼「頑固な念でないとアリスストーンは働かねえからお前みたいに初心者でしかも不安定なアリスが石使うの結構難しいぞ…殿と相性いいのかもなお前」
翼の言葉に蜜柑はここへ来る前の光景を思い出していた。
《もってけ、チビ!!》
蜜柑は微笑んでネックレスを大事そうに握りしめた
それを見て流架と棗がつまんなそうに目を逸らす。
それに気付いた実奈はそっと苦笑した…
翼「悪かった…いきなりひきずって」
棗「………」
翼「立てるか?」
翼が手を差し出すが棗はそれを無視し流架に肩を借りながら歩き出す…
翼「……あれ…ムシ?…2人して…まあいいけどね…可愛くね〜っ」
翼がそう呟いている中蜜柑が翼を見つめていることに気付いて何となく見守る。
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