約束

殿内達と別れた私はアリスで柚香先輩の後を追った。



昔、柚香先輩に渡した私のアリスストーンを頼りに…
夜明けには先輩の所に行けそう…かな??





『ハッ…』





少し、アリスを使っただけでもう苦しい。



暫くすると光が見えてきた…





鳴「さぁ…どうだろうね………」



『柚香先輩っ』



柚「…実奈!?」





いきなり私が現れたのか、タイミングが悪かったのか…
私には分からないが柚香先輩は驚いている。





『先輩!私のアリスっ…盗って!約束でしょう!?』



「実奈ちゃん!」





柚香先輩の元に行こうとしたら鳴海に腕を引っ張られた。





『っ!離して!!』



鳴「実奈っ」



『っ…』





柚香先輩は黙って私達を見ている。





柚「………」





無言で柚香先輩は私に近づいてくる



目の前に柚香先輩が立ち、私に手を伸ばす。
私に触れる…寸前





パシッ





鳴「………」



柚「………」





鳴海が柚香先輩の手を掴んだ。





鳴「柚香先輩…」



柚「実奈が望んだ事よ」



『せん…』





ギュゥっと心臓が痛んだ…
胸を押さえて私は地面に座り込んだ。





『ゴホッ ゲホッ……ウェッ』





口から何かが出た。
え、手も制服も地面も真っ赤なんだけど…





鳴「実奈ちゃん!?」



柚「み、実奈??」



『ハァ…コホッ…』





心配そうに私の名前を呼ぶ柚香先輩。
戸惑ってる杏樹先輩…なんだか懐かしくて





『柚香…せんぱ…ぃ』






結構、頑張って声出したんだけどな…
あんまり出なかったな…





『ありが…とっ』



柚「実奈?」



『約束っ…覚えて…て…も…良いから…いっ…てっ』



柚「みっ……ごめん…ごめんねっ」





今できる精一杯の笑顔でお礼を言うよ。
上手く言葉にできなかったけど…伝わったよね?





『バイバイ…柚香先輩』





柚香先輩と志貴さんはテレポートして行った。
去り際、袋を置いていったけど…
まぁ、杏樹先輩なら分かるよねーーー。





鳴「大丈夫!?」



『…うるさい』



鳴「でもっ」



『…アレ取りに行ったら?』



鳴「う、うん…」





さっきから煩かった鳴海を黙らせ(口に手をあてて)
柚香先輩が置いていった袋を取りに行かせた。



胸の痛みも落ち着いてきた…
……取りあえず。





『鳴先輩…』



鳴「ん?」



『一気に学園に飛ぶからその後…頼める??』



鳴「え…?」



『とりあえず…抱っこして』





唐突すぎたせいか鳴海の頭がついていけてないみたい。





『学園についたら私、意識ないと思うから病院までよろしく』



鳴「どーゆっちょ!!」





この状態でアリス使ったらヤバいんだろうなー
下手したら死ぬなぁー
とか思いながら柚香先輩から貰ったアリスストーンを使った。





『杏樹先輩…ありがと』





テレポートする直前、鳴海の首に自分の腕をまわし耳元で言った。



学園に着いた瞬間、私は意識を飛ばした。






最後に翼に会いたかったな…
うーん、やっぱ蜜柑に会いたいかも。

薄れ行く意識の中、鳴海が私の名前を呼んでいた
大好き、そう言いたかった筈の杏樹先輩。
だけど今は違う人に…彼に言いたいと思った…


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