少しの差

『ねぇ、ブン太…』



「………何だよ」



『暇』



「あっそ…」



『構ってよ』



「イヤだよ」



『何で!!』



「何でもっ」



『………』





何時もなら構ってくれるのに今日は構ってくれないブン太…



まさか浮気!?
そう思ったけど何だか違う気がした。



今日は久しぶりの休みだからゆっくりしたのかもしれない…
そう思う事にして私は床に寝転がった。





『へへっ』



「…何」



『んー??』



「ニヤニヤして…」



『…ブン太と久しぶりのデート?だから嬉しくって』





そう言って笑ったらブン太は一瞬苦しそうな表情をした。





『…ブン太??』



「どうした?」



『何か…あった??』



「………別に」



『嘘っ!!何か変だよ!!』





他に好きな子が出来たの?
そう聞きたいけど口には出せない。



私は立ち上がりブン太の前に立った。





「…やっぱり帰る」



『待ってよ!!』





突然帰ろうとするブン太の腕を掴んで引き止める。
その時、ブン太は苦しそうな顔をした…





『……何でそんな顔するの??』



「っ…それは」



『…他…に好きな子できた…??』



「違う!!」





私はブン太の気持ちが良く分からなくて、不安で、モヤモヤした。



私は堪らず下を向いて唇を噛み締めた。





「…ごめん」





そう言ってブン太は私を包み込むようにして抱き締めてくれた。





「…背がさ」



『うん…』



「抜かされたんだよ…」



『誰に…??』



「絢奈に」



『…へ?』



「だから…何か…嫌で…」





背??え…??
だってこの間は身長同じだったよね?
私は訳が分からずブン太の顔をただ唖然と見つめる。



ブン太は気まずそうに頭を掻いて私に真っ直ぐ立つように言った。





『あ…』





鏡で並んで見ると確かに私の方が少しだけ高い気がする。





「絢奈…」



『何?』



「俺…まだ伸びるから」



『う…うん』



「だからもう伸びるなよ!!」



『分かってますよー』





ベーッと舌を出してブン太に言ったらそのまま体を引き寄せられた。





『ぶ、ブン太!?』



「久しぶりの休みだし…良いよな??」



『へ…ちょ…ンゥ!?』





少しの差
『ブン太のバカ!!』
「良いじゃん…見えないし」
『そういう問題じゃ!!』
「黙れって…キスできないじゃん」
『〜〜〜っバカ!!』




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20120320

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