番号


『ぃや…』





必死に絞り出した声は思った以上に情けなかった。
さっき以上に震える体…
私は自分の体を抱いた。



仮面の男は私の目の前で立ち止まり





「一緒に来い」





そう言った。
黒猫の仮面の子は意外だったのか何なのかは分からないが動揺していた…



私は仮面の男を見たまま





『いや…で…す』



「………」



『私…には…家族が…いますし…知らない人について…たらダメって…』



「…なら家族に連絡し、お前を連れていく」



『なっ!!?』






だんだん回ってきた呂律。
仮面の男は私の持っていた鞄を手に取り中を漁りだした



私は慌てて止める





『か、勝手に鞄の中見ないでください!!』





鞄を奪い取り私は仮面の男を睨み付ける。





「…家の番号は?」



『え…』



「……」



『あ、0……』





仮面の男の視線に逆らえず私は家の番号を教えた。
彼はケータイを取りだして私が言った番号に電話をかけた…



黒猫の子は何だかイライラしてるようだ。
理由は分からないが何か嫌な気分になる…





「…繋がらない」





仮面の男がそう言った。
彼は私に向き直ると私の制服のポケットに手を突っ込んできた



驚きで固まっていたら彼は私のケータイを取り勝手に弄っていた。





『ちょっと!!』



「………」





彼は私を無視し、耳にケータイを当てていた。
きっと"家"と登録されている番号にかけたのだろう…





≪現在この番号は使われておりません―≫





ケータイから聞こえてきた声は私の中で何回も繰り返された。



番号
家の番号は使われていない。
ならば私の家は…
家族はどこに??





[] []

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -