忘れたい


『鳴海先生!ちょ、止まって下さい!!』



「ん?」





そう言って止まってくれた鳴海先生。
私は引きずられていた体勢だったので一回、地面に手をついて立ち直す。



スカートについた砂を払って鳴海先生に向き直る。





『これからどこに行くんですか??』



「初等部の寮だよ」



『寮…ですか…』



「…どうかしたの?」



『いや…何でもないです』





寮かー…
あ、学費とかってどーなるんだろ…
…ま、いっか。



そう思いつつ鳴海先生の後ろをただ黙ってついて行く。





「ここが君の部屋だよ」



『あ、ありがとうございます…』



「…寮の事はタカハシさんに聞いてね」



『はい…』





鳴海先生は何を思ったのか頭を撫でてきた。
一応、高校生なんですけど私…
そんな思いが通じる訳がなく鳴海先生は私の頭をワシャワシャと撫でる。





「……雛ちゃんって犬みたいだよね」



『え…』



「フフ…じゃあ明日の朝、向かえに来るからちゃんと起きてるんだよ?」



『は、はい…』





鳴海先生は最後に頭をポンポンとして帰って行った。
ボーッと鳴海先生の後ろ姿を見つめていたら





「アンタが真山雛さんダスか?」



『えっ!?あ、は、はい…』





それからタカハシさんに寮の事を詳しく教えて貰った



タカハシから説明を一通り教えて貰った私はお風呂に入ってすぐに眠りについた。















"ここは…どこ?"



"ぅ…あ…"



"私の手は…どこ??"



"熱いっ"





『やだっ!!』






勢いよく起き上がる。



全身汗だくで気持ちが悪い…



私は着ていた服を全部脱いで近くにあったTシャツを着た。





『…ッ』





夢で今日の事を思い出した。
忘れようとしていた…
なのに…"忘れるな"
そう訴えるように今日の事が脳裏に浮かぶ。





『ぅ゛っ…』





吐き気がしてゴミ箱を手に取る。





『う゛…ぇっ…オェッ』





吐き終わった後、私はまた眠りについた。





忘れたい
眠る前、涙が零れた。
私はただ気づかないフリをする。
いつか分かる事だとしても…




20111208



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