瞑る


鏡を手に持ったまま固まった私。



え?なんで??
…え?だって…えぇ!?



1人パニックになっている私。
とりあえず自分に何が起きた?
さっきまで…
電車に乗る前までは高校生だったよ!?





『意味が分からない…』





私は仮面の人に鏡を返して鞄の中を探った。





『ない…』



「何がないんだよ…」



『……生徒手帳』





生徒手帳、保険証も無くなっていた。
あるのは筆記用具、ノート、財布、定期、ケータイのみ。





『……』





考える事を放棄した私は棗くんに凭れ掛かり目を瞑る。
嫌がるかと思ったがすんなり凭れ掛からせてくれた。



目を瞑ったままさっきの事を思い返す。



いつもの様に電車に乗って学校に向かう。
そこまでは日常だった
急に電車が傾いて…



"そこから先は思い出したくない"
そう、私の脳が拒否している…





『っ』





ゾワッ
と、嫌な何かが背筋を通った。



お陰で今の私の腕は寒いぼだらけだ





「大丈夫か?」



『…うん』





棗くん優しいなー
とか思いながら私は目を開けた。





『あの…今更なんですけど…何処に向かってるんですか?』



「アリス学園だ」





私の質問に即答した仮面の人。
…名前なんて言うんだろ。





『あの…アリス学園って何です?ついでに貴方の名前って何てい…』



「……ペルソナだ」





あ、はい。
そう言って私はまた目を瞑った。



アリス学園の説明はしてくれないのね…
別に良いけど。





車に揺られている内にだんだん眠くなってきた。





「…寝ろよ」





棗くんがそう言ったので私はそのまま眠りについた。





瞑る
目が覚めたら日常が戻ってくる。
私の心にそんな期待が…
ほんの少しだけある…




20111130



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