切原くんお姉さん


ブーッブーッ



『ん…』



手探りで枕元にあるケータイを取る
画面を見ると恵里奈からの電話だった



『はい…』

≪あ、寝てた??≫

『…うん』

≪ごめん…≫

『…良いけど…何?』

≪今から行くって…≫

『ん、分かった』

≪ほな≫



そう言って電話を切った。


あー…眠い。
そう思いながらベッドから降りてトイレに向かった


まさか恵里奈に起こされるとは…
雪乃も来るしいっかー…



『ねむっ』



トイレから病室に戻りベッドに座ってテレビをつける。
朝だからかニュースばかり…
見る気が失せた私はテレビを消して窓を開け外の空気を吸った。



『桜散ったな…』



お花見か…懐かしいな。
そう思いながら外を眺めていたら朝食を持って看護師さんが入ってきた。



「今日は早起きね」

『えぇ…まあ…』

「…じゃあ薬飲んでね」

『はーい』



看護師さんは嬉しい事があるのか満面の笑みで出て行った。


………あれ?
今日は猫なで声聞こえないな…
そう思いながら朝食を食べる。


恵里奈達どれぐらいに来るのかな…
それまでヒマじゃない…


窓から風が入ってきて春独特の匂いがする。



『……りんご飴食べたかったな』



お花見行けなかったし…
赤也連れて行けば良かったかなー…
毎年、恵里奈といってたからな…


何だか虚しくなりヨーグルトを掻き込んだ。



『ごちそうさまでした…』



そう言って手を合わせてから窓辺に行った


朝から幸村くんの所には行けないしな…



『あ、薬…』



薬を飲んで窓を開けっ放しにしてベッドに座った


……やっぱり暇。
私はそのまま後ろに倒れる


手を天井に向けて伸ばす…


最近、前世の記憶が薄れていっている…
初等部の頃の記憶なんてもう思い出せない


伸ばしていた手を降ろして顔を隠す…



『早く来い…』



このままだと私…





切なる願い

早く来て…
じゃないと嫌な事ばかり思い出す…




20120219
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