切原くんお姉さん
弟離れ

赤也を離して赤也の額と自分の額をくっつけ、目を伏せながら手を握った。



『…赤也は天ちゃんが大好きなんだね』

「………」

『……私も好きな人つくらなきゃね』

「………できんの??」

『…できるよ』

「………」



赤也は額を離して顔を私の首筋に埋める、そのまま腰に腕を回してきた。


…甘えた。
この子、分かっててやってるの??
そう思うぐらい赤也は私にべったり…



『赤也もお姉ちゃん離れしなよ…』

「いやだ」



この餓鬼…
そう思う半面、嬉しいと思ってしまった…
やっぱり弟離れできないのかな…??



『……こんなにお姉ちゃんにべったりだったら天ちゃんに嫌われるかもよ??』

「………」

『良いの??』

「いやだ…でも…」

『…はい、離れる』

「嫌」

『おい』



さっきよりも強く抱きついてきた


これじゃ恋人じゃないか…
あー…もう…


赤也をどう引きはなそうか悩む。
何か策はないかと考える…



『じゃあ…』

「姉ちゃんはそんなに俺から離れたいの?」

『え??』

「姉ちゃんが出ていって年に3回しか帰って来なくて…去年なんて1回しか帰って来てない」

『…それはバイトで』

「姉ちゃんは俺と離れたいんだろ…??」

『いや…別に…』

「………」



赤也は目を潤ませながら私をまっすぐ見つめてくる、私は思わず逸らしそうになった。
だけど逸らしたら…



『…分かったよ』

「………」

『今まで通り赤也にべったりな姉で居ますよ…』



そう言って赤也の肩に顎をのせる。


もう知らない。
後で何言われても全部赤也のせいにしてやる。



『大好きだ…バカ』

「へへっ」



他の姉弟から見たら変かも知れない…
だけど私達はこれで良い。


離れていて傍にいなかった。
だからこそ今、一緒にいるんだ。


…私は赤也には敵わない。
今日、それがハッキリと分かったよ…私は弟離れできないんだって。



『天ちゃんとどうなってるか教えなさいよ』

「姉ちゃんも教えろよ」





愛してるよ

世界でたった1人の弟だから…
絶対に口には出さないけど。




20120216
|86/139|


TOP