切原くんお姉さん
兄の気持ち

幸村くんは私の問いに目を見開いた。



『天ちゃんの痣についてでしょ??』

「うん…」



そう言って私のベッドに座った。

いや、そこのパイプ椅子座りなよ…
そう思ったが言わないでおいた。



「やっぱり妬みから…?」

『…そうじゃない??私が見たのは初めの1回だけ』

「え」

『新学期早々、裏庭に呼び出されてリンチ?されてたわよ…』

「………」

『まあ、お昼に呼び出されてる事はないと思うよ』

「………」

『………』

「貴方は…」

『ん?』

「貴方は天の味方ですか??」



俯いたまま私に聞いてきた幸村くん。
どんな表情をしているのかは分からない



『味方…かなー』

「はっきり―」



勢いよく顔を上げた幸村くん。
私は彼の口を抑え、そのまま幸村くんに笑いかけた。



『私は天の傍にずっとは居られない、一緒に居てあげれるのはお昼休みだけなんだ…傍にいて天ちゃんを守りたいよ…でも私には出来ないんだ』



そう言って幸村くんの口から手を離す。
幸村くんは哀しそうな、悔しそうな顔をした



『学校が一緒だったら良かったんだけどね…』

「えっ!?」



えっ!?って何。
えっ!?って…
私は無言のまま幸村くんを見つめる…



「立海…だろ?」

『…立海大附属高校だけど??』

「………」



ポカンとした顔で幸村くんに見つめられた

え、まさか…



「同い年だと…」



気まずそうに言った幸村くん。



『いや…何となく分かってたよ…』



お互い苦笑い。

どうしよう…
そう思って天井を見上げた。



「あー…その…」

『うん?』

「自己紹介まだでしたね…」

『あー…そうだね…』



出会いが出会いだし…
そう思いながら自己紹介をする。



『立海大附属高校2年切原 実奈…赤也の姉です』

「立海大附属中学校3年幸村 精市です…天の兄でテニス部の部長です…」

『「……フフ」』



お互い小さく笑う。
散々言い合った仲なのに今更 自己紹介…
色々おかしくて笑うしかない。



「えっと…実奈さんは何時から立海に??」

『今年からだよ…あ、敬語とかいらないよ…今更だし』

「………ありがとう」

『…どういたしまして??』



何に対する"ありがとう"なのかは分からない
だけど彼の笑顔はとても素敵だと…心からそう思った。





"ありがとう"の意味

大切な妹を気にかけてくれて…
俺の気持ちを察してくれて…




20120214
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