切原くんお姉さん
鷲掴み

「俺の可愛い妹に手を出さないでくれる??」

『あら、天ちゃんは私に手を出されても良いみたいだけど??』



その言って私は天ちゃんの腕を引いた。
天ちゃんはいきなり腕を引かれたせいかバランスを崩し私の腕の中に飛び込むように入ってきた。



「………」

「ぶ、部長!?」



さっきよりも黒い笑顔になった幸村くん。
私より赤也が怖がっているのはなぜかしら??



「天おいで…」



幸村くんは優しく天ちゃんに言った。
だけど天ちゃんは…



「ごめんねお兄ちゃん…」



そう言って私にしがみついてきた。
私は天ちゃんを抱きしめ返す。



「………」

「ね、姉ちゃん!!」



幸村くんは私達に近づいてきた。
私はただ黙って幸村くんを見つめる。
天ちゃんは私の胸に顔を押しつけたまま。
赤也は1人焦っている…



「天…」



そう言って天ちゃんを抱きしめた幸村くん…



「な!!」

「お、お兄ちゃん!?」



そう、幸村くんは天ちゃんを抱きしめたのだ…
その為、幸村くんの手が私の胸にあたっている状態になるわけで…



『手、あたってるんだけど…』

「嫌がらないんだね…」



むにゅっ
そんな感じで胸を鷲掴みにした幸村くん…



バシッ



「お、お兄ちゃんの変態!!」



そう言って天ちゃんは幸村くんの腕から抜け出して病室から出て行った。
赤也は顔を真っ赤にしたまま天ちゃんを追いかけて行った…



『…いい加減離したら??』



そう言ったらすんなり胸から手を離した幸村くん。



「…貴方は天の何?」

『だから先輩だって…』

「…聞き方が悪かったね…天との関係は??」



幸村くんは真っ直ぐ私を見てくる…その瞳は真剣で…


その目は反則でしょ…
私は頭を掻いて小さくため息を吐いた。


天ちゃんと赤也を出したのはこの為かー…
なーんか気に入らないけど…
こんな目されたらな…


私は幸村くんの目を見つめて



『…君が聞きたい事はそんな事じゃないでしょ??』





強い瞳

"守る"君の妹への気持ち。
嫌でも分かってしまうのは何故だろうね




20120213
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