切原くんお姉さん
検査入院

『入院だけは絶対嫌ですからっ』

「だけど!!」

『嫌って言ったら嫌です!!』



私は全力で入院は嫌だと訴える。
そんな私に先生は頭を抱えた…



「検査入院だけだから…ね??」



まるで子供に言い聞かす様に言う看護師さん。


私は餓鬼か!!
と普段なら内心突っ込むが今日はそんな余裕がない。


前世のお陰で"入院=死"と私の中で方程式ができている為、これを今更覆す事など無理に等しい。



「切原さん…入院して元気になるか入院しないで死ぬかどっちが良い??」

『………』



私は先生の言葉でピタッと止まる…



『…検査入院ですよね??』

「ああ…けれど君の体はボロボロ、もしも今日来なければ命を落とすところだったよ…」

『あはははは…』



先生はやれやれと言った感じで私の腕に注射の針を刺す。
少しチクッとした。



『で…いつから入院ですか??』

「もちろん今日からだよ…まあ、月曜日までには退院できるよ」

『あー…じゃあ後で家族に電話しときます』



注射が終わり先生に看護師についていくように言われた。


私は先生にお礼を言って診察室を出た。
すぐに病院から出てお母さんに電話をする…



≪どうしたの?≫

『えー…入院する事になりました…』

≪……………は?≫

『何か内臓がボロボロで今日病院来なかったら死んでたかもらしくて…』

≪は?え?……え!?≫



電話の向こうでお母さんがパニックになっているのが分かった
私は小さく溜め息を吐いて



『お金と私の着替えよろしくね』

≪OKー!!まかせなさい!!≫



私は無言で電話を切った。


自分の母親の切り替えの早さ…テンションの切り替えかたに呆れつつ病院の中に戻る。


椅子に座ろうかと思い歩いていたら看護師が早足で近付いてきてそのまま病室に連れていかれた…



「今、患者さんがいっぱいで…個室しか空いてないですけど…」

『あ…大丈夫です』



普通は個室が空いてないんじゃないの??
そんな疑問が浮かんだ。



「ここです」

『あ…はい…』



看護師さんはそう言って仕事があるからと隣の病室に入って行った…



「精市くーん」



隣の病室から看護師さんの猫なで声が聞こえてきたのは幻聴だと思いたい。





入院

まさか入院とは…
まあ、検査入院だし大丈夫だよね…??




20120208
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