切原くん家のお姉さん
咳
お母さんが冷蔵庫から離れて私達と一緒にお昼ご飯を食べる。 お父さんに関してはスルーだ。
「…あ、実奈ちゃん宿題終わった?」
『後、世界史だけ』
「春休みも後3日だものね………赤也は??」
「………」
赤也は目を泳がしている。 まあ、予想はついてたけど…
「や、やってません…」
「春休みまでに終わらせなさいよ」
クワッと母が鬼になった… 赤也は母に怯えているのか涙目で首を縦に振っている。
私はお母さんに怒られた事ないからなー… 赤也ドンマイ…。
『ケホッ…ケホッ』
「あら、実奈ちゃん風邪??」
『ケホッ…ん、多分…』
知っている胸の痛みに私は嫌な予感が止まらない。
私は口に手をあてながら洗面所に向かった。
『ゲホッ…ケホッ……ッ』
なかなか止まらない咳。 知っている胸の痛み。 ギュッと内蔵を掴まれている様な感覚。
冷や汗が止まらない。 私の中で何かが崩れている… ここにアリスは無い、なのに何で??
疑問が疑問を呼んでどんどん増えていく。 恐怖、不安、疑問。 私の心はこの3つで埋め尽くされていく…
「……姉ちゃん大丈夫か??」
『…ゴホッ』
心配そうに私を見つめる赤也。 咳き込んでいる私の背中を撫でてくれる…
赤也のお陰か咳が治まってきた。
深呼吸をして心を落ち着かせる。 赤也はまだ私の背中を撫でてくれている。
『ハァ……ありがとう、赤也』
「別に…それよりは大丈夫かよ…」
『うん…もう大丈夫みたい』
「…病院行った方が良いんじゃねーの??」
『……明日行くよ』
「うん…」
『それより宿題ね…』
「ゲッ」
崩れている そんなに心配そうな顔しないで… お願いだから…
20120109
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