切原くんお姉さん
喧嘩を売る

私は席を立ち廊下に行く。
千春が私の名前を呼んだ聞こえないフリをする。


廊下には化粧バリバリの女子が2人いた。
私は黙って彼女達を見つめた…



「見た目が良いからって生意気」

「また男に媚び始めるんじゃない??」



呆れて何も言えない…
多分こいつ等、この学校で逆らっちゃいけないって感じのアレですか??
いやいや、寧ろ注意するか先生に言えよ


ブツブツ独り言を言っていたら2人がこちらを向いた。



「さっきから何ブツブツ言ってんの?キモいんですけどー」

「さっさとどっか行けよ」

『…いや、寧ろお前等がどっか行けよ』



そう言った瞬間、騒がしかった廊下もクラスも静まり返った。
千春は慌ててこちらに来た



「…あんた誰に口聞いてるか知ってるの!?」

『知るか、大体さっきから何だよウザイ』

「なっ!」

「実奈っ」



千春は私を止めようとしているのか制服の裾を引っ張る。


2人はフルフルと拳を震わせている。



「……あんたも仁王みたく地獄を見せてあげるわっ」

「覚悟しなさいよ!!」



地獄ねー…
本当の死も、人を殺めた事もないガキんちょが…



『返り討ちにしてやるよ』

「っ」



挑発的な笑みでそう言ってやった。
彼女達は1回舌打ちをし自分達の教室に戻って行った



「あんたバカ!?」

『は?』

「あいつらに喧嘩売ったんだよ!?」

『それが??』

「っ…あの2人はこの学校で一番の権力者なの!!だから」

『それがどうしたの??あー地獄ってやつ??あれなら大丈夫、寧ろあんなガキに負けるつもりもない』

「でもっ」



千春の唇に自分の人差し指を当て、私は笑う。



『大丈夫…』

「実奈…」

『…それに友達の悪口言われて黙ってるなんて友達じゃないでしょ??』

「…っ」



また千春に笑いかける。
千春は目に涙を溜めて笑った。


千春が私の言葉で何を感じたのかは分からない。
でも千春が私を友達だと言ってくれるなら一緒に居よう、そう私は決めた。





権力者…
『で、何で権力者なの??』
「え…今聞く所…?」




20120125
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