切原くんお姉さん
笑顔

暫く天ちゃんを抱き締めていた。



「もう…大丈夫です…」

『そ??』



そう言って天ちゃんを離す。
天ちゃんは泣いたせいか鼻の頭が赤くなっていた。



『…中に戻る??』

「………は」



ぐぅーーー…



『「………」』



天ちゃんのお腹がなった。
それはそれは大きな音で…



「あ、私!!」



顔を真っ赤にして立ち上がった天ちゃん。
私は思わず笑ってしまった。



「わ、笑わないでよ!!」

『アハハ!!……ゴメッ…クフッ』

「も、もう!」



そう言って茂みから出ようとする天ちゃん、私はとっさに天ちゃんの手を掴んだ。



『私のお弁当食べる??』

「……結構です」

『中に戻りたくなさそうだけど?』

「っ!!」

『うーん…あ、お弁当持ってきてる??』

「…いいえ」

『じゃあ私のお弁当食べなよ、この時間じゃ間に合わないだろうし』

「………」

『ね?』



天ちゃんはケータイで時間を確認した。



「…でも貴方のは??」

『パンあるから』



そう言って一緒に持ってきたチョココロネを指差す。



『一緒に食べよう??』

「…はい」



天ちゃんは私の隣に座って遠慮がちにお弁当を開ける。
私もコロネの袋を開けた。



「……美味しい」



天ちゃんは卵焼きを食べてそう言った。



『それはどうも』



それから黙ってご飯を食べる。



「…何も聞かないんですね」

『さっき聞いたし』

「………」

『…明日も一緒に食べようか』

「え??」

『天ちゃんが良ければ明日もここでお昼ご飯食べよう…?』

「……はいっ」



そう言ってはにかんだ天ちゃん。


初めて見せたその笑顔はとても可愛いくて、天使みたいだと思った。


この笑顔を忘れないでほしい、そう私は願った。





天使の笑顔
彼女に暗い顔は似合わない。
そう思うのは何故だろうか…




20120121
|57/139|


TOP