切原くんお姉さん
避難

跡部くんと睨み合ったまま私は一歩後ろに下がった。



「あー!実奈ちゃんだCー!!」

『グハッ』



いきなり背後からタックルされた。
このタックルの破壊力は半端ない…


ガシッと腰に回されている手を見て私は…つねった。



「痛い痛い!実奈ちゃん痛いCー!!」



ジローくんは相当痛かったらしく私から離れた。



『ごめーんねっ』



と、適当に謝って私はコートに目を移した…けれど其処には跡部くんは居なかった。



『………』



跡部くんがコートに居ない。
それは私に死亡フラグが立っている事になる…。
私は理解したと同時に回れ右をし…



『逃げるが勝ちって言うじゃなーい??』



と、言って逃げた。



「ちょ、実奈待ってー!!」

「実奈ちゃん!?」



後ろで恵里奈とジローくんが叫んでいるが無視だ無視!!


私は家に帰るっ!!
そう決意し校門まで全力で走る


『ハァ…ハッ……ゲホッ』



校門に着いて息を整える。
前世の影響か年を取るにつれ体が弱くなっている気がする。
…近い内、病院行って検査するか。



ガシッ



誰かに肩を掴まれた。
ゆっくり後ろを振り向く…



「なかなか…ッ…速いじゃねーか」

『そりゃ、どーも…』



跡部くんは私を全力で追ってきたのか息が乱れている…
何かエロいとか思ったのは跡部くんが無駄に大人びているからだと信じたい。



『…大丈夫?』

「あ…ああ…」



跡部くんの息が整うのを待つ…



『…何で手、握ってんの?』



空を見ながら息が整うのを待っていたら急に手を握られた。
疑問に思った私はそのまま跡部くんに問う。



「ハー…」

『ちょ、聞いてます?』

「うるせー…ちょと黙ってろよ」

『………』



私は言われた通り黙る。
…正直、私は跡部くんに逆らえない。


彼の真っ直ぐ見てくる瞳は…



「実奈」

『………何?』

「っ…何でもねー」

『なんだそれ…』

「…とりあえずコート行くぞ」

『あー…はいはい…』



跡部くんに従うまま私はコートに向かった。
さりげなく跡部くんが手を繋ごうとしていたので私は跡部くんの手を振りほどいて…



『手、繋ぎたいんでしょ?』



と、言って手を差し出したら跡部くんは驚いた顔をした後



「それは俺様の台詞だ」



そう言って私の手を取り
所謂恋人繋ぎをしてコートに向かった。





昔と今
私が死んでもうすぐ17年…
私は未だに彼を忘れられないでいる。




20111123
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