切原くん家のお姉さん
紛れる
うわぁーー…と内心思いながら氷帝に向かって歩く。
「実奈さっきから声漏れてるで?」
『いや、気にすんな』
「いや、無理やし」
『チッ』
「何か私に対する態度酷くない!?」
恵里奈とか恵里奈とか恵里奈を無視して私は目の前にある氷帝学園を睨み付けた…正確には中にいる跡部くんを。
「…実奈って景ちゃんの事好きやろ?」
『好きよ??後輩として…ね』
「あっそ…」
自分で聞いといてその反応は酷くない?? 恨めしい目で見ていたら恵里奈は慌てて
「ちゃうちゃうっ実奈と友達になってから恋愛話聞いたことないから!」
『…そうだっけ?』
「うん…」
『…私、好きな人いたよ…昔だけど』
「昔って??」
『なーいしょ!!早く侑士くんに会いに行こ!』
「ちょっ!!」
私は恵里奈の手を掴み小走りでテニスコートに向かった。 多分、跡部くんのファンクラブの子が沢山いるあの場所に…
『侑ちゃーん!!』
恵里奈の声真似で侑士くんに声をかける。 因みに群がっている女子達の1番後ろから…
「えっ!?恵里奈!!!?」
コートの方から侑士くんの声が聞こえた。 あ、恵里奈は息を整えている。
私はしゃがんで恵里奈しか見えないように隠れた。 隠れたって言っても女子達の後ろにピッタリくっついてファンクラブの子だと思わせるようにカモフラージュしただけなんだけどねっ
「…実奈ちゃんは!?」
「姉の私より実奈かっ!?」
侑士くんが恵里奈に気づいたらしく声をかけてきた。 恵里奈はすかさず侑士くんに突っ込んだ。
なんて言うか… この姉弟おもしろいよね。
「せやから実奈ちゃんどこなん!?」
「ココや!!」
恵里奈に手を引っ張られ私は恵里奈の腕の中にすっぽり収まった… つまりだ、私が侑士くんの目に写る…イコール跡部くんに見つかる。 サッと全身の血液が冷たくなる感覚がした私は恵里奈を突飛ばし勢い良く後ろを振り向いた。
正確には"侑士くん達がいるテニスコート"だ
「元気にしてたかよ…実奈ちゃんよー」
『…元気あり過ぎて今から家まで全力疾走したいぐらいよ』
冷や汗が頬を伝うのを感じながら仁王立ちして私を見下ろす跡部くんを見やる。
信頼できる後輩 相変わらず綺麗な顔してるな… にしてもどうやって跡部くんから逃げよう。
20111121
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