切原くんお姉さん
歪んでいる

『千春、体育館裏ってどっち!!』

「右!!」



千春に道を聞きながら走って体育館裏へ向かう。



「アハハハハ!!」



そんな耳障りな声が体育館裏から聞こえてきた。
私は急いで声の元へ向かう。



「あー…良いざま」



ドンッ



「イタッ!!」

『っ』



体育館裏に行こうと角を曲がったら、女の子とぶつかった。



「ちょっと!痛いじゃない!!」



ぶつかった女の子がそう言ってきた、だけど私の耳には聞こえて来なかった。


理由は簡単、私の大好きな後輩の女の子が地面に倒れていたから。



『ち…春』

「な、何じゃ!?」

『天ちゃん保健室に連れていって…』

「わ、分かった!!」



千春は私の視線の先にいる天ちゃんの元へ走って行った。


私は天ちゃんから視線を外し目の前にいる女の子を見た。



「な、なによ!!」

『お前が天ちゃん呼び出したの?』

「っ…だ、だったら!?」

『ふーん…』



私は目を細めて彼女を見つめた。


どうしてやろうか。
いっその事、天ちゃんと同じ目に遭わせる?…でも、それはつまらない。
もっと痛い目に遇わさないと…



『馬鹿だね…お前』

「な、何がよ!!」

『私にぶつかって…天ちゃん傷つけた事バレちゃってさ』



私は笑いながら彼女を見る



「ゲホッ…」

「天!!大丈夫か!?」

「ちょっとー…まだー??」



私の後ろに何人か女子が出てきた。


私は彼女達の顔を見て覚える。
全員、知らない子。


千春に抱えられている天ちゃんは咳き込みながらも千春と会話している。



「誰よコイツ」

「ゲッ…高校生じゃん」

「あ、本当だ…先輩ダメじゃないですかぁ中学校に入っちゃ」


そう言って、私を馬鹿にするように笑いだした。


だけど目の前にいる彼女は笑えていない。



『千春、早く行きな…居ると邪魔だから』

「え」

「アハハ!!何?あんた馬鹿なの??」

「1人になったら私達に何されるか分かってるの?」



馬鹿はお前らだ。
そう小さく言って、千春に早く行けと目で訴えた。



「実奈!!」

『うるさい、黙れ、早く行け』


そう睨めば千春は黙って頷き、天ちゃんを抱えて走り出した。


瞬間、誰かに髪を掴まれた。



『いっ』

「良いオモチャはっけーん」



その直後、私に蹴りを浴びせた彼女達。





狂気

感情が歪んでいるのは彼女達も一緒だ。
でも、許さないよ?




20120428
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