切原くん家のお姉さん
堪らなく
ミチルと別れ、私はモヤモヤした気持ちのまま家に帰った。
『ただいま…』
「おかえりー!!」
私はリビングに顔を出さずそのまま自分の部屋に行き引き出しからノートを取り出した。
ノートには忘れない様に思い出等を書き記してある。 中を読んで行くが氷帝での事ばかり…
『マジかよー……』
私はノートを閉じてその場に膝をついた。 泣きたい衝動に駆られたがグッと堪え制服を脱ぐ為立ち上がった。
何を忘れているんだろう… そう思いながら制服を脱いでいく。
『……この傷…』
背中にある傷、それはいつ出来た傷なのか全く思い出せない。 思い出せないと言う事は多分、私が忘れてしまった何かと関係があるからだと思う。
『………あ』
私は中途半端な格好のまま机の一番下の引き出しを開け中から錠のついたノートを取り出した。
『えっと…鍵は…』
ノートについている錠を開けるため鍵を探す。
確か箱の中に入れてたよね… 私はクローゼットの中にしまってある箱を取り出し中を開けた。
『……嘘』
全身の血が冷えた気がした。
私は箱の中にある物を全て出し鍵を探す…
『嘘…この間まであったじゃない…』
ノートの鍵には猫のストラップを着けていた為すぐに分かる。 だけど箱の中には鍵はもちろんストラップすら無い。
何だか"ノートの中身を見るな"、"忘れた事を思い出そうとするな"そう言われている様な気がしてならない。
『っ…』
寂しい、哀しい。 そんな感情が私の中で渦を巻いて大きくなっていく気がした。
「姉ちゃんご飯……ど、どうしたんだよ…」
『…赤也』
「え!?ちょ!!な、泣くなよ!!」
赤也の顔を見たら涙が溢れ出した。
赤也はボロボロと涙を流す私に戸惑いながらも近くに置いてあるティッシュの箱を手に取り私の前にしゃがみ込んでティッシュを1枚取り鼻に押し付けてきた。
「とりあえず鼻…」
『ありがと…』
赤也からティッシュを貰い鼻を拭く。
「何で泣いてんだよー…」
『…ごめ…っう…』
「ちょ!!」
恋しくて堪らない
赤也の頭を掻く仕草が誰かに良く似ていて… それが堪らなく恋しくて… また、涙が溢れ出した。
20120410
←|126/139|→
TOP
|