切原くんお姉さん
誘い

羽山くんと一緒に教室に戻ると岬先生が既に来ていた。



「お、おおお前達…つつ付き合って」

『ませんから』

「そ、そうかー」



そう言って岬先生は肩の力を抜いた。
私も羽山くんも自分の席に座り朝のHRを受ける。



「羽山と何話してたの??」

『んー…内緒』

「内緒って何だよ」

『………先生、近いです』

「良いだろ…たまには」

『………いや、駄目でしょ』

「何、冷静に話してるのさ…」

『先生、もうすぐチャイム鳴りますよ』

「ゲッ…」



岬先生は項垂れながら教室を出ていった。
千春は岬先生に冷たい視線を送りながら私から羽山くんと何を話していたか聞き出そうとしてきた。


勿論私が"千春と前田くんを両想いにさせる協力をする"だなんて言える訳がないので無視してやる。


千春は不服そうだったが先生が来たので黙りこんだ。



「仁王さんこの問題解いてもらえるかしら」

「は、はい」



先生に当てられた千春は緊張しているのか汗がヤバイ。


黒板に答えを書いている千春の後ろ姿を見ていたら何だか眠くなった私は机に伏して眠った。





















「実奈ー」

『………』

「あ、起きた」

『…何』

「もう昼じゃよ」

『…マジか』



まだボーッとする頭で時間を確認して鞄からお弁当を取り出して立ち上がる。



「切原」



名前を呼ばれ私はゆっくり振り返る。



「今日一緒に食べよう」



にっこり笑顔で羽山くんがそう言った。



『千春ど』

「切原と一緒に食べたいんだけど」

『「へ?」』



羽山くんの発言に驚いて固まっていると羽山くんの背後からチラッと前田くんが顔を出した。

え、前田くん何か女の子みたいなんだけど!!
行動が乙女なんですけど!!
突っ込み所満載な前田くんを白い目で見てしまうのは当然だよね??



「一緒に食べよ…ね?」



ニコッと笑顔で言われた。



『……はい』

「実奈!?」

『千春は天ちゃん達と食べてね』

「は!?ちょ!!」



無理矢理、千春を教室から出した。



「ありがとう切原」

『ハハハ…』



"ありがとう"って言ってる割には目が笑ってないよ羽山くん…
私は遠い目をしながら外方を向いた。





協力と言う名の…

天ちゃん達と食べたい…
でも羽山くんの目が…目が…




20120325
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