切原くんお姉さん
楽しい

次の日の朝、何ら変わりなく学校に向かう。
学校に近づくにつれ千春の顔色が悪くなっていく。


原因は昨日のアレだと思うが…
ミチルはそんな千春を見て心配しているのか挙動不審だ。



『ミチル…』

「は、はい!!」

『………千春が心配??』

「違います!!」

『ふーん…』



私はニヤニヤしながらミチルを見つめる。
ミチルは恥ずかしいのか顔を見られないよう外方を向いた。



「あ…あー…」



と千春がぶつぶつ独り言を言い出した。



『何、前田くん??』

「アハッ」



とか言って走り去った千春。
色々楽しくて仕方ない私は笑いながら千春を見つめる。



「何かあったんですか??」

『千春がクラスの男の子に告白されたのよ』

「へー……へ!?」

『もー…楽しくて仕方がない』

「…ちょ!!詳しく教えてくださいよ!!」

『今度ね』



ミチルと下駄箱で別れ教室に行く。
教室について千春を見ると机に伏せていた。
私はそんな千春の旋毛を押した。



「………ハゲるじゃろ!!」

『アハハハハ!!』

「………ムウッ」

『可愛くないけど』

「実奈は可愛いぜよ」

『キモッ』



何て会話をしながら時間を潰していたら前田くんと羽山くんが後ろのドアから入ってきた。



『あ、前田くん羽山くんおはよー』

「!!!?」



前田くんと聞いた瞬間、千春が固まった。
前田くんは私に手を上げて挨拶を返してくれた。
羽山くんは何故かこちらに向かって歩いて来た。



「ねえ、切原」

『ん…ん?』

「ちょっと良い??」

『あ、ああ…うん…』



私は席を立ち羽山くんの後について行く。



「あのさ…」

『うん…』

「悠季が仁王さんの事好きみたいなんだよね…」

『うん』

「え??」

『え?』

「…知ってたの??」

『いや、昨日の反応で分かるでしよ…』

「さすが切原」

『意味わかんないし』

「まあ、そんな訳だから協力してよ」

『ん…ん?羽山くんは千春の事好きなんじゃないの??』

「うん、好きだよ」

『は!?』

「フフ」

『………えー』



私は"えー"に色々な思いを込めた。
そんな私とは違い清々しい笑顔の羽山くん。



「教室戻ろっか」

『……うん』



何だか羽山くんには色んな意味で勝てない気がする。





友情か恋か

羽山くんは良く分からないな…
前田くんは分かりやすいし…




20120324
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