切原くん家のお姉さん
呼び名
ジッと仁王弟を見つめる。 赤也達は気を利かせてかコソコソと離れて行った。
千春はここに居たかったのか木に抱きつくように引っ付いていたが丸井くんとミチルちゃんに引き剥がされズルズルと引き摺られながら離れて行った。
みんな離れて行ったが多分会話が聞こえる距離にはいると思う。
『………早く答えなよ』
「………が」
『は?』
「魔がさしたんじゃ…」
゙魔がさした?゙だと… 私は立ち上がりゆっくり仁王弟目の前に行き腰を下ろした。
『ふざけんなよ』
「っ!!」
仁王弟の髪を掴み無理矢理、目線を合わせさせる。
仁王弟の瞳には不安が見え隠れしている。 その不安気な瞳に光のない目をして彼を睨む私がいた。
17年振りに見た昔の自分。 まさかこんな形で… そう思った瞬間、体の力が一気に抜けた。
『…彼女…せめて好きな人以外にキスなんてしたらダメだよ』
そう言って仁王弟の髪を掴んでいた手を離し替わりに頭を撫でた。
思ったより強く掴んでいたのか仁王弟の目にうっすら涙が浮かんでいた。
『…ごめん痛かった??』
「…大丈夫なり」
『………』
「そんな顔しなさんな…」
『いや…本当にごめん…』
相当、痛かったのか涙を一筋流した仁王弟… 何だか申し訳ない気持ちでいっぱいだ…
「……なあ」
『ん?』
「仁王弟じゃなくて…名前で呼んでくれないか??」
『………良いけど』
「本当か!?」
『う、うん…』
パッと顔が明るくなり私の手を握ってキラキラした瞳で私を見てくる仁王弟…
実を言うと名前が分からない… 千春が確か…ま…まさ…まさなり??……ん?…何か違うな。
「………」
『ま…』
「………」
『ま、まーくん??』
ズサーッと後ろから音がした。 振り向いて見ると赤也達が地面にうつ伏せになっている状態だった。
何やってんの?? そう思いながら見ていたら千春がバッと起き上がり
「まーくんじゃのうて雅治じゃ!!」
『あ…ああ…うん、知ってるよ』
「嘘じゃろ」
『本当だってー…』
「知ってたならまーくん何て言わんじゃろ?」
『…って何でなまってんの??』
「……き、気分じゃ!!」
『そう…』
フーッと息を吐いて空を見上げた。 その後、直ぐにガバッと後ろから誰かが抱きついてきた。
「まーくん…気に入ったなり」
『…あっそ』
「ちょっ!!俺の姉ちゃんに抱きつかないでくださいよ仁王先輩!!」
「無理じゃ」
「は!?」
「赤也は天にでも抱きついときんしゃい」
「ななななな!!」
「え……!?」
『…ナイス、まーくん』
こんな感じで今日のお昼は終わった。
仁王弟からまーくん
『あ、丸井くんー』 「何スか??」 『―――――』 「え…」 『じゃ、またねー』
20120320
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