切原くんお姉さん
無我夢中

近くでチュッとリップ音が聞こえた。
目の前には仁王弟の顔…


今の状況を何となく理解したと同時に私は仁王弟の背中に手を回した…



「ぐっ」



そして勢いよく髪を引っ張った。
唇が離れた瞬間私は仁王弟に頭突きをした。

私の頭突きは見事、仁王弟の顎に当たった。



『おっ前!!ふざけんなよ!!』



私は仁王弟の胸ぐらを掴んで前後に揺する。
何だか仁王弟が白目を向いている気がしたが気づいてないふりをした。



『き、キキキキキスとか!!』

「ちょ、実奈落ち着いて!!」

『落ち着いてられるか!!』



千春にそう言い私は無我夢中で仁王弟を揺する。


マジくそっ
ティラミス返してくれるんじゃなかったのかよ!!
キスなんて望んでないぞ!?
内心パニックな私は仁王弟を揺する。



「姉ちゃんストップ!ストップ!」

「流石にそれ以上はヤバイって!!」

「ちょ、仁王顔が!!」

「落ち着け実奈ー!!」



赤也と丸井くんは必死に私を仁王弟から離そうとする。
千春はちゃっかり私の腰に腕を回している。


私はとりあえず千春を蹴り、仁王弟の胸ぐらから手を離して足を軽く踏みつけた後イスに座った。



「き、切原…さん??」

『……何』

「あ…いや…ハハハ」



前田くんはそう言って目の前にいる羽山くんの隣に移り何か話始めた。
私は気にしないで赤也達を睨む。


赤也は睨まれたせいか顔が真っ青。
丸井くんは蹲っている仁王弟を揺らして何か語りかけている。
千春は良い所に蹴りが入ったのか呻き声を漏らしながら弟と同じように床に蹲っている。



『…帰る』

「「「「「え」」」」」

『お金置いてくから…じゃっ』



そう言って早足で家に向かった。


冷静になろう。
取り敢えず…冷静に…
自分に言い聞かせるように心の中で何度も言い続ける。



『ただいま…』



真っ暗な家に帰り直ぐ様お風呂にお湯を入れ自分の部屋に行き制服を脱ぐ。
下着姿のままベッドに座りファミレスでの事を思い出す。


お風呂にお湯が溜まるまで15分。
……え??何でキス?
そもそも何でこうなった!?


思い出してキスされた理由を考えれば考えるほど混乱する。



『だー!!もうっお風呂入ろ!!』



私はまだお湯が溜まってないであろうお風呂に向かった。



「あ…」

『…おかえり』



そっと帰ってきた赤也と階段の前で会い私は笑顔でおかえりを言って脱衣場に行った。





初キス??

何で口!?せめて頬っぺたにしろよな!!
うぁー…最悪…。




20120316
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