切原くんお姉さん
ティラミス

「…切原って彼氏いないんだよな?」



そう、唐突に羽山くんが言った。



『いないけど…何で??』

「いや…聞いてみただけ」



何がしたいんだ羽山くん!!
とか思いながら見つめていたら千春がムスッとした顔で羽山くんの髪を引っ張った。
羽山くんは驚いた顔をしたが何だか嬉しそうだ。



「リア充め」



隣からそんな呟きが聞こえたが聞かなかった事にする。


チラッと前田くんを見たら死んだ魚の様な目をして千春と羽山くんを見つめていた…


うん、見なかったし聞かなかった。
気を紛らわす為、メニューからデザートを選ぶ。



「俺イチゴパフェな」

「俺はプリン」

「私はチョコレートアイス」

『…え、私が頼むの??』



"うん"、と3人に言われ私は仕方なくボタンを押して店員さんを呼んだ。



『あ、チョコレートアイスとプリンとイチゴパフェとティラミスお願いします』

「はい、かしこまりました」



それから岬先生の話や部活の話をした。
部活の話は聞いていただけだけど…



「お待たせしました」



店員さんが丁度、頼んだデザートを持ってきた。



「うまそっ」

「実奈、一口頂戴」

『良いけど私にも一口頂戴』

「もちろん」



私は千春に"あーん"をしてもらい私も"あーん"をする。


千春にチョコレートアイスを一口貰った時に仁王弟が席を立ったのが見えた。
ジッと仁王弟を見ていたら急に目の前にスプーンに乗った生クリームが表れた。



「一口やるよ」

『あ、ああ…ありがとう』

「…あーん」

『あーん』



流れで前田くんに"あーん"をしてそのままティラミスを食べる。
目の前で千春が喚いていたが羽山くんが千春の口にスプーンに乗せたプリンを突っ込んだら大人しくなった。


羽山くん、顔真っ赤…
そう思ってティラミスを口に含もうとしたら誰かに手首を掴まれた。



『あ…』

「…中々じゃな」



仁王弟にティラミスを食べられた。
私は驚きで呆然と仁王弟を見つめた。



「ちょっとずれてくれんか??」

『ああ…うん』



私は言われるがまま前田くんの方にずれた。
空いたスペースに仁王弟が座ってテーブルに肘をついて私達を探るように見てくる。



「…フッ」



そう笑ったと思った瞬間私のティラミス…最後の一口を食べた。



『ああ!!』

「やっぱり美味いのう…」

『…にゃろう』

「返してやろうか?」

『返せるなら今すぐ返せバカ!!』

「良いぜよ…」



そう仁王弟が言ったと同時にチュッと近くでリップ音が聞こえた。





只今の状況

「ま、おまっ!!」
「「え!?」」
「仁王先輩何やって!!」
「う、うわー…」




20120315
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