切原くんお姉さん
2年の想い

ミチルを抱き締めたい衝動に駆られながら5限目は終わった。
チャイムが鳴り私達は図書館を出て教室に戻った。



「実奈ーっ」



そう言って私に抱きつこうとした千春を避けて席に座る。
次の時間は社会…

めんどくさ…
とか思いながらも机の中から教科書とノートを出して机の上に置く。


その後は千春と喋りながら先生が来るまでの時間を潰した。
先生が来て真面目に授業を受け、帰りのHRまで千春と近くの席の男子と話をした。


その男子に゙仁王って見た目と違って話しやすいのな゙って笑われながら言われていた。
その時の千春の顔は傑作だった。


帰りのHRは岬先生ではなく学年主任の先生だったので長引くかなぁ、とか思ったが案外早く終わった。



「実奈、何か食べに行かない??」

『………うん』

「あ、俺等も!!」

「は!?」

『うん、良いよ』

「ちょっ!実奈!!」



近くの席の男子、前田くんと連れの羽山くんと一緒に近くのファミレスに行くことになった。
千春は納得して無いようだが気にしない。



「切原は何食べる??」

『んー…』

「に、仁王は!?」

「…実奈」

「「『は??』」」

「実奈、食べたい!!」

『いや、全力でお断りします』

「「………」」



私は前田くんの隣に行く。


何となく分かると思うが羽山くんは千春に想いを寄せている。
さっき、こっそり前田くんが教えてくれた。


4人で下駄箱に向かっている途中、千春がイライラしつつも羽山くんと話しているので嫌いでは無いと思う。



「実奈のバカ」

『はいはい』



千春がボソッとそう言った。
前田くんと羽山くんは先に外にいる。



「…実奈は前田が好きなの?」


『…え?千春は前田くんが好きなの?』

「違う!!」

『……え、なら羽山くん??』

「違う違う!」

『…まあ、良いや』



私は千春の手を引いて外に出た。
千春は膨れっ面のまま…



「フハッ仁王の顔っ」



そう言って前田くんは笑った。
羽山くんは緊張しているのかとんでもない顔になっている。



『羽山くん顔怖い…』

「………」

「ブハッ」



千春は羽山くんの顔を見て吹き出した。


うん、早くファミレス行こう。
そう思って私は千春ではなく前田くんの手を引いて歩き出した。





片想い2年

うん、報われると良いね…
こんな所、知り合いに見られたら…




20120312
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