切原くんお姉さん
予定日

私は窓際にある本棚の上に座る。
ミチルも同じ本棚の上に座る。



『で?』

「………」

『………』

「…天ちゃんは」

『うん』

「いじめ……まあ、暴力を女子から受けてるのは知ってますよね??」

『もちろん…実際、遭遇したしね』

「なら…その理由は??」

『……ミチルや千春と同じ理由でしょ??』

「…そうです……じゃあ、あの子が暴力をふられていると知っているのは誰か分かりますか??」

『……赤也と幸村兄?』

「え…あのガキ知ってんですか!?」

『あー…多分』



うん、多分知ってる。
私はそう思いながらミチルの目をジッと見つめる。


そんな私の視線が嫌なのかミチルの額には汗が滲み出ていた。


「…とりあえず私の弟と副部長の子は幸村くんから頼まれてるんですよ」

『天ちゃんを見張るように??』

「…見張る…って言うか…まあ、そうですね」



私はミチルから視線を外して外を見る。
ミチルは小さく息を吐いた。



『…天ちゃんは知ってるの?』

「…知らないと思いますよ」

『そう…でも気づいてるだろうね』

「何で…」

『お兄さんに似て勘が良いでしょう…天ちゃん』

「………確かに」



私は大きく息を吐いて伸びをした。
ボキボキ骨が鳴るのを耳にしながら欠伸をする。


あー…どうしよう。
そう思いながらミチルを見る。

ビクッと肩を揺らしたミチル。
私は気にしないでミチルの頭に手を乗せた



『…頑張るか』

「………え?」

『…今週の日曜日ヒマ??』

「え…あ、はい…」

『じゃあミチルの家行って良い??』

「へ!?」

『ついでに弟くんにも会わせて…後、副部長も』

「いやいやいや!!」

『……何』



ジトッとした目でミチルを見る。
ミチルは私の手を掴んで慌てている。



「な、何で!?」

『天ちゃんについて話し合うに決まってるだろバカタレ』

「ば、バカタレ!?」



ハァーと、ため息を吐いて遠くを見つめる。


本当は幸村くんの所が良いんだけどね…でも絶対、天ちゃん居るじゃん??


ミチルは深呼吸をした後、目を閉じた。



「…分かりました、弟に日曜日は空けとくよう言っときます」



真っ直ぐ私を見てそう言った。
私は笑ってミチルの髪をぐちゃぐちゃになるくらい撫でた。





第3日曜日

『ミチル、ありがとう』
「も、もう分かりましたから!!」




20120311
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