切原くんお姉さん
大声

ミチルからほうれん草を貰い食べていたら何処からか視線を感じた。
私は口にご飯を含んで校舎を見た。



『……あ』



見つけた。
私は上を向いたままお弁当を食べる。


屋上から誰が見ている。
私は木の下にいるから見えないのか気づいていない。


しばらくその人を見ていて気付いたが、どうやら天ちゃんを見ているようだ。



「実奈先輩どうしたんですか??」

『ん??…ああ、ちょっと気になることがあってね』

「??」

『………赤也??』

「へっ!!!?」



そう言ってキョロキョロしだした天ちゃん。
私は天ちゃんよりも屋上に居る少年と赤也を見る。



「あ、蓮二」



ミチルが私の視線に気づいて上を見てそう言った。
私は聞き慣れない名前を聞いて首を傾げた。



「…ああ、私の弟ですアレ」



そう言って赤也の隣の少年を指差した。



「…ゲッ!!目合った!!」



千春も私達と同じ様に上を向いてそう言った。
千春が嫌そうな顔をした直後、白髪が増えた。


仁王弟は千春に向かってかは分からないが笑顔で手を振ってきた。
千春はそれが気にいらなかったのか立ち上がった。



「雅は」

『待て待て待て!!』



千春が叫びそうになり私は慌て千春の口を塞いだ。



「ふぁにすんのふぁ!!」

『何言ってるか分かんないんだけど』

「姉ちゃん!?」

『………』



屋上から赤也の声が聞こえた。
しかも大声で…


私は恐る恐る上を見上げた。



『ハハハ…』



千春の口から手を離して赤也に向かって手を振った。
赤也は口を開けたままこちらを見て固まっている。


私は上を向いたまま笑顔で言った。



『私等やばくない??』



千春とミチルは言葉の意味を理解してくれたのか急いでお弁当の残っているおかずを掻き込んだ。
私も急いでお弁当を袋に入れる。



『天ちゃんまたね!!』

「じゃあ!!」

「ちょ!!」

「実奈先輩また!!」



急いでフェンスを登り飛び越える。
チラッとフェンスの上から天ちゃんの方を見ると笑いながら手を振っていた。
私も天ちゃんに手を降り返しておいた。



「実奈先輩は早いですね…」

『そう??』

「はい…千春先輩とは大違い」

『アハハハ…』



私はフェンスを震えながら降りてくる千春を見て笑った。





危ない所だった

赤也のバカ。
大声で"姉ちゃん"とか言うなよな…




20120308
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