切原くんお姉さん
彼氏?

暫く無言で手を繋いでいたら駅についた。
私は引き返すため反対側のホームに行かなくてはならない。



「じゃあな」

『うん…また今度…』

「…連絡しろよバカ」

『はい…』



それだけ言うと跡部くんは改札口へ向かって行った。
私は跡部くんの後ろ姿を見つめ、申し訳ない気持ちになった…


これで私は連休に恵里奈の家に泊まらなくてはならない。



『あー…帰りたくない…』



母からのメールのアレは嘘だ、絶対。
憂鬱な気持ちのまま帰りの電車に乗った。
定期で良かったー…


私はとりあえず跡部くんに"ごめん"とメールで送ってから恵里奈にもメールを送った。
勿論、泊まる件について…


恵里奈と2、3通メールのやり取りをしたら駅についた。
今日は大変だと思いながらも電車を降りた。


改札口を出てそのまま家に帰る。



ガチャ



『ただいまー』

「お帰りー」



ニヤケ顔の母が出迎えてくれた。
嫌な予感的中。


私は引き吊る頬を気にしつつも母に笑顔で接する。



「…彼氏?」

『違うわ!!』



"えー…"とか言って頬を膨らしている母を無視してリビングに行くと仏頂面の赤也とお父さんがいた。


最悪だ…
そう呟いてしまうのも無理ないと思う。



「「誰!!」」

「彼氏よね彼氏ーっ」

『………』



赤也とお父さんは跡部くんから貰ったプレゼントを指差して、お母さんはニヤニヤしながら"彼氏彼氏"と煩い。


私は無視してプレゼントを取り2階へ行く。
後ろで赤也達が騒いでいたが無視に限る。



『本当に最悪だ…』



そのままベッドに倒れ込む。



『なんだろ…』



私はプレゼントを開ける。



『………』



中にはネックレスが入っていた。
箱の蓋の裏に跡部くんからのメッセージが書いてあった。


私はネックレスを近くに置いてあるウサギのぬいぐるみにつけた。



『私は乙女か!!……乙女か…』



独り言をぶつぶつ言いながら目を瞑った。





乙女?

後で赤也達に質問攻めだな…
まあ、良いか




20120303
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