切原くんお姉さん
手を繋ぐ

オムライスを食べ終え食器を洗い私は久しぶりに動いたせいか疲れてソファーに倒れこんだ。


え?跡部くん??
いるよ??普通にお茶飲んでるよ



「実奈」

『んー??』

「…見えてるぞ」

『………』



私は無言で起き上がり姿勢を正して座る。
跡部くんは特に気にしてないのかお茶を飲んでいる。
私はスカートの中を見られた事で色々ダメージを受け項垂れた。



「で?」

『……何』

「どうするんだ?」

『…どっか行く??』

「…そうだな」



ニヤリ、そんな風に笑った跡部くん。
私はその笑顔を見て嫌な予感がした…



「じゃあ行くか」

『ちょっ!!』



そう言って跡部くんは立ち上がり玄関に向かった。
私も慌てて後を追う。


玄関の鍵を閉めて駅の方へ歩いて行く跡部くんに小走りでついていく。


私、退院したばかりなんだけど!!
そんな思いを跡部くんにぶちまけたい衝動に駆られた。



「早く来い!!」

『んのヤロウ…』

「フン」



何とか跡部くんに追いついて隣を歩く。
跡部くんのお陰か周りからジロジロ見られる。
流石イケメン…



『で?どこ行くの??』

「あそこだ」

『あそこ??』

「………」

『ハァー…』



私はため息を吐いて跡部くんについて行くことにした。


何を言っても無駄な気がするからね…
また、ため息を吐きそうになったが跡部くんが手を握ってきた為何とか吐かずにすんだ。



「……何だよ」

『いや…別に…』



自分から手を握っといて照れている跡部くん。
私もつられて少し照れくさい。


ブーッブーッ


携帯が鳴り画面を開くとメールが来ていた。
相手は赤也。



"今日食べに行くって!!"
私は"りょーかい"とだけ返す。


食べに行くって事は早めに帰らなければならない。



『跡部くん…』

「なんだ?」

『ごめん、急用できた』

「は…」



私は母から来たメールを跡部くんに見せた。
跡部くんはポカンとした表情で固まった。



"今すぐ帰ってきなさい"
母からのメールは何故か恐かった…



『駅まで送るからさ…』

「……分かった」



そう言うと跡部くんはいつもの表情に戻った。
それからずっと跡部くんが降りる駅まで手を繋いでいた。





本当にごめんね…

今度、埋め合わせするから…
本当にごめんね…




20120302
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